2018.02.19 | 事例

世界210以上の国と地域で保険事業、金融事業を展開しているチューリッヒ・インシュアランス・グループ。その日本拠点であるチューリッヒ保険会社様に、マーケティングオートメーション導入の目的や背景についてお聞きしました。


チューリッヒ保険会社 個人保険部門 個人保険デジタルマーケティング室
統括部長  薄井 祐騎 氏

個人保険部門 個人保険デジタルマーケティング室 
課長補佐  石原 明 氏

【チューリッヒ保険会社】
チューリッヒ保険会社は、チューリッヒ・インシュアランス・グループのアジアにおける重要拠点として1986年に開設されました。1998年に「スーパー自動車保険」を販売開始し、日本におけるダイレクト自動車保険の先駆けとして、業界をリードしてきた保険会社です。

– まずは御社の事業内容について教えてください。

石原(敬称略):
当社は、個人向けの自動車保険、バイク保険、傷害保険などを販売しています。また、提携しているクレジットカード会社の会員様向けの傷害保険、医療保険、自転車保険、こども保険なども取り扱っています。

– このたび御社では、薄井様、石原様が所属されている「個人保険デジタルマーケティング室」が中心となって、マーケティングオートメーション(以下「MA」)を導入されました。導入を決められた経緯や、その目的などについてお聞かせください。

薄井(同上):
会社全体のデジタル化を進めることによってビジネスを推進させていくという業務を担当しているのが、「個人保険デジタルマーケティング室」です。
当社では、お客様の期待を上回るサービスと「カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)」の提供に会社全体として力を注いでいます。我々のミッションは、デジタルマーケティングを軸足にしてカスタマーエクスペリエンスを高めていくこと、そしてそれをリードしていくことです。
個人向け保険をWebサイトで販売している当社にとっては、Webサイトでどれだけパーソナライズされたコンテンツを提供できるかが、カスタマーエクスペリエンスを高めるうえで非常に重要と考えております。ただ単にWebサイトのコンテンツを管理するというだけではなく、より攻めのコンテンツを出すということ。例えば当社は、株式会社J.D. パワー アジア・パシフィックが実施した「2017年日本自動車保険事故対応満足度調査」において、第1位を受賞しました。株式会社J.D. パワー アジア・パシフィックはCS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関で、保険以外にも様々な分野の調査結果を発表しています。こういった情報はお客様の大きな安心感につながりますので、ぜひお伝えしたい内容です。
お客様の関心事に合った情報を伝えていくためには、どのようなコンテンツが適しているのかをしっかり考えていく必要があります。それを実現するために、今般、MA機能を有する新たなCMSプラットフォームの導入を決定しました。

– MAの実装・導入を進めるにあたり、プラットフォームやツールの検討から開発会社の選定、パーソナライズ/リコメンドの戦略・シナリオ策定開発要件定義への反映といったステップがありますが、難しかった点や苦労した点はありましたでしょうか。

石原:
日本では導入実績が多くないCMSプラットフォームだったこともあり、それぞれのステップで試行錯誤の繰り返しでした。
薄井:
特に開発会社の選定が難しかったですね。IT部門またはビジネス推進部門のどちらかが主体となって進めると、どうしてもどちらかの視点に偏ってしまう。IT部門とビジネス推進部門の両方にとって最適なパートナーの選定に苦労がありました。
石原:
パーソナライズ/リコメンドの戦略・シナリオ策定に関しては、ルグランによるファシリテーションのもと、関係部門を集め、ワークショップ形式で「エクスペリエンスマップ」を作成しました。ITや顧客対応などの実務を担当する部門とビジネス推進部門が一堂に会して課題を洗い出すことによって、顧客行動をいったん整理できたというのは大きな成果だったと思います。戦略づくりの前に顧客行動の全体像を見るという、重要なステップでした。
薄井:
今回はルグランにこうしたプロジェクトの進め方に関するノウハウがあったため、スムーズに進めていくことができたと感じます。たとえば、洗い出されたパーソナライズ戦略を開発会社に共有するために準備した「ユースケースシート」もその一つ。これがあったおかげで、関係者がこのシートを元に相互理解・共有した上でプロジェクトを進めることができました。
石原:
「ユースケースシート」は本当に重宝しましたね。このシートによって全体像が見えるようになったため、予算面・スケジュール面での優先順位づけや、DB情報の管理など、様々な場面で大きな役割を果たしました。


– パーソナライズ戦略の効果を高めていくためには導入後のPDCAが重要になると思いますが、今後はどのような体制で運用していく予定ですか。

薄井:
当社はお客様対応を重視しているダイレクト保険会社ですので、たとえば先ほどの事故対応満足度NO.1という情報などについても、それをどれだけ分かりやすく伝えることが出来るかということが非常に重要です。
行動データの分析、コンテンツのパーソナライゼーションについては、個人保険デジタルマーケティング室でリードしながら関連部署と連携して進めていきます。
石原:
今後は、行動データを蓄積するだけでなく、それを各部署で使いやすい、分かりやすい形で渡すことが重要になります。適切なデータを適切な形で渡し、各部門の売り上げに貢献していくということが我々のミッションです。


– そのようなデータのクリーンナップなどもチーム内で行う予定ですか?

薄井:
今後は、収集・蓄積されていくデータを使った分析によってこれまでより高度な結果を出していくことが求められます。我々のチームが主体となって、社内や社外に協力を求めながら推進していきます。

– アメリカの有名私立大学で、パーソナライズ戦略に関するスペシャリストチームを作り、応募者に適切なコンテンツを表示して成功したという事例をはじめ、欧米ではMA機能を活用したサクセスストーリーがたくさんあります。一方で、こうしたプラットフォームを、これからどう使いこなしていくかというところが、一番面白くもあり、難しい部分でもありますね。

薄井:
そういう意味では、グローバルでBtoC事業を進めている国や企業の活用事例などを見てみたいですね。どのようなデータでどこまで活用できるのかを勉強して、当社でも実装していきたいです。

– 海外を見ると、Webの掲示板や勉強会など、MAの導入やパーソナライズ戦略の立案や実施に関する情報交換をする場がたくさんあります。今後日本でもそういう場を作っていく必要がありますね。

薄井:
同様の取組を進めている企業とも連携していきたいですね。業界は違っても目標とするところは共通なので、業界に関係なくお互い学習し合いたいです。
石原:
たとえば、どのステップにどれくらい時間を割かれるのか、どのような苦労があるか、そのためには何を準備しておけば良いのかといった具体的な情報も共有していきたいですね。

– では最後に、今後のMAを活用したデジタルマーケティング戦略の最終的な目標について教えてください。

薄井:
デジタルの観点で目標として掲げているのは、カスタマーエクスペリエンスにおいて、2020年までに、他社をリードする存在になることです。チューリッヒがダイレクト保険会社の中でも、サービス品質に優れ、高い顧客満足度を維持する。その結果としてビジネスが継続的に成長し続ける事が目標になります。
それには、コンテンツのパーソナライズ、CMSコンテンツの有効活用が鍵になると考えています。ダイレクト保険会社の中でも特に優れたサービスを提供し、高い顧客満足度を維持し続けた結果として、ビジネスが継続的に成長し続ける事が目標です。
石原:
「とにかく使いやすい、わかりやすい」という印象をもってもらえるWebサイトを目指します。
薄井:
「カスタマーエクスペリエンスにおいて他社をリードする」というのは、まさにそこです。保険の申し込みは面倒、煩わしいというイメージをもたれやすい。それをいかに払拭できるかというところが鍵になると思います。

– 究極のUXを目指すということですね

石原:
保険の申し込みをする時のネガティブな感情に対して、デジタルでどこまでそのハードルを下げられるか。契約したいのに手続きが面倒で途中で投げ出したくなる、というマインドにさせないUXをWebサイトで実現したいですね。

 

 

CNET Japan

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