2019.10.07 | ビッグデータ

ここ数年で最もユーザー数を伸ばしたSNSと言っても過言ではないInstagram。日常生活の中でInstagramを定期的に利用する方は多いと思います。数あるSNSの中でもアクティブ率の高さやユーザー数の多さに目を付けて、Instagramをビジネス活用する企業が増えてきました。

以前に比べて、友人の投稿やストーリーに紛れて広告を目にする機会も多くなりました。ここで一旦、Instagram広告の配信について簡単に触れておきたいと思います。

Instagram広告は非常に細かくターゲティングすることが可能です。GoogleやYahoo!を始めとするインターネット広告にも様々なターゲティングが存在しますが、Instagramでは、より詳細なユーザー属性が加わります。

ユーザー属性はFacebookとも連動するため、性別や年齢はもちろんのこと、出身大学や職場、既婚者か未婚者か、などのプロフィールをもとに細かいターゲティングをすることができます。TwitterなどのSNSとは違い、より詳細なプロフィールを求められるFacebookと連動しているが故の強みであると言えます。

ここまで話せば、「なるほど、通りでInstagramのターゲティング精度は高くなるわけだ」と思うかもしれません。しかし、私自身思うところがありました。

そう、あまりにもターゲティングの精度が高すぎるのです。

私のInstagramでは、普段仕事で使っているツールやクライアントの広告などが表示されます。これらの広告は、世間から見ればかなりニッチな部類であり、どう考えても私を狙い撃ちしてきたとしか思えません。あまりのターゲティングの精度の高さに、少し気味悪さを感じました。

上述のように非常に精度の高いターゲティングを実現可能にしているのが、Instagramの行動ターゲティングです。これは、Instagram上での行動データ(いいねや閲覧履歴)に加え、デバイスの利用状況(Googleなどの検索履歴やECサイトのショッピング履歴)をもとにターゲティングするという仕組みです。肝心のデバイスの利用状況に関しては、どこまでの範囲を指しているのかは公に明言されていません。

効率の良い広告配信システムは広告主からすれば大きなメリットですが、ユーザー側からすれば、自分のデータがデータドリブンなUXの実現に資する運用がなされているのか、個人情報・プライバシーは厳重に保護されているのか、という懸念があります。

このような懸念は、近年のデータ活用問題で実際にいくつか取り上げられています。特に印象深いのは、「リクルートの内定辞退予測」や「Alexaの盗聴問題」などです。

これらのニュースの影響もあって、以前よりもユーザーのデータ活用に対する不安は強くなったと思われます。データが様々な分野で活用される一方で、本ブログ『データドリブンなUXデザインを』でも触れた通り、企業側は、ユーザーの課題解決につながるデータドリブンなUXの実現に真摯に取り組むことが求められています。

Instagram広告の行動ターゲティングなどに見られるデータ活用は、非常に便利な仕組みである一方で、企業側はユーザーに対する説明責任、厳重なデータ保護、データ活用に対する倫理観などを全て持ち合わせている必要があります。今後も世間でデータ活用の動きが高まる中で、企業側は上記で述べた要因に気をつけなければいけません。

自社サービス等でデータ活用を行っている企業のご担当者さまは、本記事をきっかけに一度立ち止まり、「データドリブンなUXデザイン」ができているかどうか、考えてみてはいかがでしょうか?



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