「興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである」。世界的な物理学者であり随筆家としても有名な、寺田寅彦氏の言葉です。
さて、いきなり質問です。都会の若者に対し、「漁師」という職業に興味を持ってもらおうとしたとき、あなたならどうしますか?
漁師によるモーニングコールサービス
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンは、「未来の世代が憧れる水産業を目指す」と目的とし、宮城県石巻市を拠点に、漁師への興味を喚起する様々な取り組みを行っています。そのフィッシャーマン・ジャパンが今回、漁師が若者へと送るモーニングコールサービス「FISHERMAN CALL(フィッシャーマンコール)」という期間限定サービスを開始したとのことです。
“海の上から、「おいしい」の次は「おはよう」を届けます。”がコンセプト
このサービスは、特設サイトから漁師を選択し、モーニングコールしてもらう希望日や早起きしたい理由などを添え、応募する仕組みとなっております。また、サイト上で漁師の声も聞けるので、好みの声の漁師に起こしてもらうことも可能。受付は5月から始まっておりますが、抽選に当選しないと、モーニングコールを受けることができないとのことです。
新しいエクスペリエンスで繋げる
漁業の担い手不足という課題を、若者の課題である「早起き」と絡めたこの企画。今までに無いサービスということもあり、試験や面接の為にとの理由で応募したり、また親御さんからの依頼もあるとのこと。
この企画は、漁師には興味などなくとも、男性であれ女性であれ、早起きには興味を持っている、という点に着目した事に意味があります。なぜなら、モーニングコールしてくれるなら誰でもいいが、結果として漁師であった為に話す事ができた、というだけで、利用者は漁師という職業の存在を改めて意識します。これにより、利用者はその後、TVやSNS、または旅行先などで、水産に関する情報を得たり、実際に漁師の方に会う等の体験した時、他人事ではなく、自分事として捉えるようになるのではないでしょうか。
このサービスを通じ、漁師には元々興味がない人が、早起きのために利用し、結果として漁師に興味を持ってしまう、ということもあるかもしれません。正に、冒頭で添えた寺田氏の言葉と重なる事例となるのではないでしょうか。
ルグランでは、この事例のように、接点が無かったもの同士を、今までにないエクスペリエンスを通じ、繋げるというストーリー作りを、エクスペリエンスマップの作成やワークショップを行い、お手伝いをさせていただいております。何かサービスや商品の展開でお困りのある方は、是非一度ご相談ください。
[参考]