先週6/12(金)に、第1回ルグランモーニングセミナー『グローバルなUXデザインのこれから 〜コロナによって変わること、変わらないこと〜』を開催しました。
ルグランではこれまで、毎月1回、渋谷周辺のカフェで、UXやDX、AI・機械学習など、デジタルマーケティングに関する様々なテーマで情報交換を行う「ルグラン朝会」というネットワーキングイベントを開催してきました。
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、今後は「ルグランモーニングセミナー」というオンラインセミナーに衣替えをして、開催することとなりました。今まで朝会に参加することが難しかった、東京近郊以外に住まわれている方も、ぜひ、ご参加下さい。
さて、モーニングセミナーの第1回目となる今回は、アメリカのサンディエゴに本拠を置き、サイボウズや日立・トヨタ・リコーなど、グローバルにビジネスを展開する日本企業のUXデザインをサポートしてきたUXPRESS Consulting社代表の井出健太郎氏をお迎えし、新型コロナウィルスの感染拡大が、これからのUXデザインやコミュニケーションにどのように影響を与えるのかについて、アメリカでの最新事情なども交えながら、お話を頂きました。
まず冒頭で、井出さんからは、新型コロナウィルス感染拡大は日本でも海外でも、社会や経済に大きなインパクトを与えてはいるものの、その程度やレベルは、日本と海外ではかなり違うことから、特に海外の人に向けたサービスを提供されている人は、日本におけるコロナの影響だけを念頭にUXデザインやコミュニケーションを行ってしまうと、海外の人に誤ったメッセージを送ってしまう可能性があるので注意が必要である、というお話がありました。
続いて、井出さんには、コロナ時代のUXを考える上で重要となるキーワードとして、以下の4つを挙げていただきました。
Remote: 距離の増加
Touchless: 接触の減少
Humanity: 人間味の低下
Diversity: 多様性の増加
まずは、リモート化が進むことで、人と人との物理的な距離が増加し、必然的に接触の機会も減少。また、飲食店や小売店など、対面での接客を伴うビジネスにおいても、今後は、動線やタッチポイントの見直しが必要になりそうです。
また、地理的な制約がなくなることから、ビジネスのグローバル化が一層進み、国内にいながら海外の人を対象とすることを前提としたサービスが増えたり、優秀な人材を国外に求めたりする企業が増える一方、リモート化のデメリットとして、人との距離が遠くなってしまうことで、コミュニケーションにおける人間味・人情味が希薄になってしまうという課題も生まれてきます。
そこで、セミナーの後半では、コロナ時代に希薄化しがちな「人間味」や「人情味」を補うための試みについて、いくつか海外の事例をご紹介頂きました。
まず、コロナ以前の社会において、欧米ではチャットやSNSでのイラストや絵文字の使用率は「子どもっぽい」といった理由で、アジアと比べると圧倒的に低かったそうですが、コロナの影響で、人々が家にいる時間が多くなり、ストレスが高まるにつれて、欧米においても視覚的に癒やされるイラストやスタンプの絵文字の使用率が、以前と比べて高くなっているとのことです。
次に、オフィスで働く社員とリモートで働く社員のコミュニケーションのギャップ埋めるテレプレゼンスロボットについて。遠隔操作により、あたかもそこに存在しているように振る舞うことが出来るテレプレゼンスロボットを導入することで、リモートで仕事をしていても「社員同士が廊下で立ち話する」といったカジュアルなコミュニケーションを実現でき、コロナを機に海外でも注目が高まっているとのことです。
コロナをきっかけに、人と人との距離や、コミュニケーションのギャップを、埋めるためのサービス・商品のデザインが求められているといえそうです。
最後に井出さんからは、例えば、絵文字やイラストが欧米でも頻繁に使われるようになっているといった流れを見ても、日本人・日本企業にとってグローバルにビジネスを広げるチャンスが増えている一方で、海外の人々に受け入れられる商品やサービスをデザインするためには、ユーザー調査などもしっかりと行った上で、相手と深く共感できる、最適なエクスペリエンスを提供しましょう、というお話がありました。
ルグランモーニングセミナーでは、今後も様々な業界の人をお招きして、皆さまの業務のお役に立てるような、国内外の最新情報をお届けします。
なお、次回もアメリカから、Search Engine Journalの創業者であり、SEOやコンテンツマーケティングの第一人者として活躍するLoren Baker氏をゲストにお迎えし、6/17(金)に開催を予定しておりますので、ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
6/17（金）AM8:00から
コロナ時代のSEO & コンテンツマーケティング 〜米国からの最新報告〜（日本語解説付）