2015.06.18 | セミナー

カンヌライオンズ2015では、どんな風が吹くのだろうか?今年の風を身体で感じるために、いざ、カンヌへ。

カンヌライオンズ2015の「傾向」って、あるのでしょうか?


2002年に初めてカンヌを訪れ、2004年にフィルム部門日本代表審査員を経験して以来、ずっと“カンヌ・ウオッチング”を続けています。カンヌを訪れた回数は、ゆうに10回を越えているでしょう。

“カンヌ”と言えば、広告業界では映画祭のことではなく、世界最高峰の広告界の祭典=カンヌライオンズ(旧カンヌ国際広告祭)を指します。世界の広告界の俊英12,000人以上が集まり、37,000点を越える応募作について語り合い、100を越えるセミナーやワークショップに参加。ここカンヌライオンズでその後の広告界の流れが形づくられると言っても、過言ではありません。

そして10回以上もカンヌを訪れているうちに、僕のことを“カンヌ・ウオッチャー”と認識している方も増えて来ました。そうすると、毎年毎年、「今年のカンヌの傾向を教えてください」と尋ねられるようになって来ました。

しかし、部門が増え(僕が審査員をした2004年はわずか7部門だったのに対し、10年後の2014年では17部門に増えています)、応募点数が飛躍的に増えた今、銅賞以上を獲得する応募作品だけでも、1,000点を越えています。

1,000点!です。どだい、ぜんぶ見るのは無理ですし、ぜんぶ見る意味もありません。そういう意味では、厳密に言えば、カンヌライオンズの年ごとの「傾向」を探ろうとすること自体に無理があるわけです。


それでも、複数部門で受賞する話題作の中に、ある傾向が見て取れる。

しかしながら、ある種の「傾向のようなもの」は、毎年、なにがしか出現します。それは、複数部門に渡って金賞やグランプリを獲得するような、いわゆる「話題作」に現れます。それは、一種の「風」と呼べるようなものでもあります。
一昨年2013年であれば、ソーシャル・グッド(社会に良いことをした広告やブランドが結果的に消費者からも支持される)であり、昨年2014年は、僕の言い方で言えば、DBC(データ・ベースド・クリエイティブ)です。

ビッグデータは情報産業のさまざまな分野で注目を浴びていますが、ここで言うDBCは、「データを発想のベースにするクリエイティブ」とは一線を画す、「データそのものがクリエイティブのベースとなっている企画」です。

その代表作は、英国航空(British Airways)のMAGIC OF FLYING。ダイレクト部門のグランプリを始めとして、アウトドア部門ゴールド、プロモ&アクティベーション部門ゴールドなど複数部門で多数受賞しました。

ロンドン繁華街のビルの上層階部分にあるデジタルサイネージ。そこには小さい男の子が映っています。英国航空の飛行機が上空を通るとその男の子は、頼りない足取りで飛行機を追いかけます。男の子の脇には、その飛行機の便名と行く先が表示されるのです。道行く人が見上げると、リアルな飛行機とデジタルサイネージ上の男の子がリンクして興味をそそられる、という企画です。

このMAGIC OF FLYINGでは、上空を英国航空の飛行機が通ると、その飛行機からのGPSデータをキャッチし、自動的に男の子が追いかけ、飛行情報まで表示されます。まさしくデータをベースにして、“飛行機への憧れ”というエモーショナルなコミュニケーションにつなげた点が評価されたのでしょう。

そして、今年も、風を感じて来ます。7月中旬には、ご報告する予定です。


このデータ・ベースド・クリエイティブが元になって、今年は、その名も「クリエイティブ・データ」と呼ばれる新しい部門が登場します。ルグランの業務にも近く、多くの企業が注目する部門になりそうです。

カンヌライオンズの受賞作を見るだけなら、少し工夫すればネットでほとんどを見ることが出来ます。しかし、1,000点もの受賞作を個別に見ているだけでは、傾向や風は感じられず、つまりは明日からの仕事のヒントも得られません。僕が10回以上もわざわざ現地に出かけている理由も、まさしくそこにあります。現地に行って、参加者の反応を見聞きし、参加者がカフェやバーで語っていることに耳を傾けることでこそ体感できる「風」を手に入れに出かけて行くのです。

その風や傾向について、7月中旬にセミナーでご報告する予定です。ぜひ、楽しみにしていてください。

いざ、カンヌへ。行って来ます!

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7/15(水)に『どこよりも早い2015年カンヌライオンズ速報』と題し、佐藤達郎さんによるカンヌ報告会を開催。

現地での評判などカンヌに長く関わってきた佐藤さんならではの視点で解説。まるでカンヌに行ってきたような気持ちになれる内容になっています。

さらに今回は、2014年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルの「Lions Health (ライオンズヘルス)」「ブロンズ賞」を受賞した1-10HOLDINGSのシニア・クリエイティブ・ディレクター 小川丈人氏にもご参加いただき、受賞者が今年のカンヌを通じて感じ取ったブランドコミュニケーションの潮流についてお話いただきます。

セミナーの最後は、クリエイター2人とデータからストーリーを読み解くことを得意とするデジタルマーケター泉浩人のトークセッションを予定しています。

皆さまお誘いあわせの上、ぜひご参加ください!

お申し込みはこちら
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【日 時】2015年7月15日(水) 18:00~20:00(受付開始 17:30)
【場 所】7seven.(東京都渋谷区恵比寿1-22-20 恵比寿幸和ビル7F
【講演者】多摩美術大学教授/コミュニケーション・ラボ 代表 佐藤達郎氏
【定 員】50名(定員になり次第、受付終了) 
【費 用】一人 5,000円 / ペアチケット 8,000円(ドリンク付き)
【主 催】株式会社ルグラン、1-10 HOLDINGS

【プログラム】
■講演
多摩美術大学教授 佐藤達郎氏
「どこよりも早い2015年カンヌライオンズ速報」

1-10 HOLDINGS シニア・クリエイティブ・ディレクター 小川丈人氏
「CannesLions2015—ブランドコミュニケーションの新潮流」

■パネルディスカッション
佐藤達郎氏×泉浩人
弊社代表、泉浩人と共に、これからのマーケターの在り方についてディスカッションします。

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