2019.10.17 | UX

自宅で料理するのが面倒な時や、天気が悪くて外出するのも億劫な時につい頼んでしまう宅配ピザ。注文したピザが届くまでの時間は、長いような短いような、なんともいえない時間です。この時間をやきもきせずに過ごせるよう、ドミノピザは自分の注文したピザが調理から配達までどの工程にあるのか、もしくは配達ドライバーが今どの辺りにいるのかをチェックできる「ピザ・トラッカー」を導入したり、追加料金を支払うと20分での配達を保証するサービスを実施したりしています。

普通、配達は早ければ早いほどいいですよね。それが料理ならなおさらです。ところが、アメリカの食品会社「Sargento Foods」は、「世界で最も配達が遅いピザ」というプロモーションを実施し話題になりました。

このSargento Foodsは実は熟成チーズのメーカーとして有名で、このキャンペーンではピザの注文を受けてから使用するチーズの熟成を待つため、短いもので4か月、長いもので18か月も待つ必要があります。あまりにも長すぎて注文したことすら忘れてしまいそうですが、ウェブサイト上でいつでも配達までの待ち時間を確認することができる上に、なんとチーズが熟成する様子をライブカメラで眺めることもできます。

各社がいかに早く配達できるかを競い合い、アピールしている中で、あえて真逆のメッセージを伝えることで人々の注目を引きながら、「時間をかけて熟成させたチーズを作っている」という自社の強みや特色を知ってもらうことに成功したプロモーション企画でした。(Sargento Foodsはピザメーカーというわけではありませんけどね)

これは単に、奇をてらっただけのプロモーションではなく、「ファストフードは品質を犠牲にして成り立っているのではないか」とか「手間や時間がかかっても、本当に美味しいものを食べたい」など、昨今、多くの人が感じ始めているであろうことをしっかりとおさえた上で、周到に練られたコミュニケーションだったと言えそうです。

ルグランでも、様々なデータの収集・解析や調査を通じて、人々の気持ちや、置かれている状況を、できるだけ正確に理解した上で、それをウェブサイトやアプリの設計に活かしたり、広告やコンテンツマーケティング、SNSなどのプロモーション戦略設計に繋げる「データドリブンなUXデザイン」に力を入れています。ご興味がある方は下記「Contact Us」から是非お問い合わせください。



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