2020.04.30 | コラム

思い返すと、私はよく図書館に足を運んでいたのだなと感じます。

小さい頃は学校の図書館よりも地域の図書館に通っていました。本を読むというよりは、図書館の横にあるフリースペースで学校の友達と遊んでいただけですが。その後、大学生や社会人になってからは、知識を得る場として、生活圏内にある様々な図書館を利用させてもらいました。

そんな、私たちの身近にある図書館ですが、実は、とある理由で、ゲーム空間に図書館が建てられたことを、皆さまはご存知ですか?

■検閲されない図書館

国境なき記者団(Reporters Sans Frontières)」は、本部をパリに置く国際的な非政府組織で、各国におけるメディア規制の改善や、世界中のジャーナリストを支援する活動などを行っています。

現在、国によっては、インターネット上のコンテンツへの検閲が厳しく、その多くはWebサイトやブログ記事、SNSが対象で、あらゆる情報に制限がかけられてしまいます。これは深刻な問題であると捉えた「国境なき記者団」は、意外な盲点を見つけました。そう、ゲームは検閲の対象になっていなかったのです。

そこで、立方体のブロックを配置して自由に世界を構築することが出来る「マインクラフト」という、ユーザー数が1億人以上を誇る有名なゲームの中に、検閲されていない本を収めた『The Uncensored Library』という図書館を作り上げました。

このゲームについて、自由に世界を構築出来る、とお伝えましたが、建物や椅子、机は勿論、文字を入れ込んだ本も作る事ができます。この図書館にはあらゆる理由によって制限をかけられた書物が所蔵され、私達は「マインクラフト」のプレイヤーとしてこの図書館に入ることで、その本を手に取ることが出来るのです。

この図書館は1,250万個ものブロックを使い、3ヶ月以上の制作期間を要したそうです。また、これはあくまでもゲーム上のデータなので、建物の増築も本の蔵書も簡単です。

■真実の情報を伝えるために

ルグランでは、世界最大級の広告の祭典である「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」での内容を、日本のマーケター向けに解説する、カンヌライオンズ報告会というセミナーを毎年行っております。昨年ご登壇いただいた、多摩美術大学教授の佐藤達郎氏は、評価を受けた広告の中で見られた一つの特徴として、「乗っかりクリエイティブ」という発言をしています。これは、4マスといわれるような従来の枠に囚われずに、オンラインゲームのような新しい情報伝達手段を活用して、ユーザーへ伝えたいメッセージを届ける取り組みを指しています。

今回、「国境なき記者団」が行ったのも、真実の情報を届けるというただ一つの目的の為に、人気ゲームである「マインクラフト」を大胆に活用した、素晴らしい取り組みであったと思います。

ルグランでは、お客様がユーザーへ伝えたいメッセージを届ける為の、ストーリー作りをお手伝いしております。UXに関するコンサルティングやペルソナ設計など、幅広くご相談を承っておりますので、ご興味がありましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

【参考】Ad Gang



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