最近、IoTとデータの活用という点で注目を集めている企業の一つに、ロレアルがあります。皆さんはロレアルと聞くと、どのような印象を持ちますか?
実はロレアルは、10年以上前からデジタル領域に投資や開発を行っており、近年ではIoT技術を活用して、ユーザー一人ひとりに最適化された化粧品や美容ケアの提案を行っています。特に注目すべきは、ユーザーの肌状態だけでなく、周囲の環境データ、特に気温や湿度を重要な要素として取り入れていることです。
ロレアルのIoTアプローチの中心にあるのは、スマートフォンアプリと連携したIoTデバイスです。このデバイスは、ユーザーの肌の状態を分析するだけでなく、周囲の環境データも同時に収集します。具体的には、気温、湿度、UV指数などの情報をリアルタイムで取得し、これらのデータを総合的に分析することで、より精密な製品提案やスキンケアアドバイスを可能にしています。
例えば、夏の蒸し暑い日には、肌の水分量や皮脂分泌が通常とは異なる状態になります。このような状況下では、通常のスキンケア製品では十分な効果が得られない可能性があります。ロレアルのIoTシステムは、高温多湿の環境を検知し、それに適した軽めのテクスチャーの製品や、皮脂コントロール効果の高い成分を含む製品をリコメンドします。
一方、冬の乾燥した環境下では、肌の水分量が急激に低下し、バリア機能が低下することがあります。このような状況では、システムは保湿力の高い製品や、肌のバリア機能を強化する成分を含む製品を提案します。さらに、室内の暖房使用による乾燥も考慮し、適切な保湿ケアの頻度や方法についてもアドバイスを提供します。
ロレアルのシステムの価値は、これらの環境データと肌の状態を継続的にモニタリングし、長期的な傾向を分析できる点にあります。例えば、季節の変わり目や旅行先での環境の変化が肌に与える影響を詳細に把握し、それに応じた製品やケア方法の提案を行うことができます。
さらに、ロレアルはこの環境データを製品開発にも活用しています。世界中の様々な気候条件下でのユーザーデータを収集・分析することで、特定の環境に適した新製品の開発や、既存製品の改良に役立てています。例えば、高温多湿の熱帯地域向けの製品ラインや、極寒の地域向けの特殊な保湿製品など、地域特性に合わせた製品開発が可能になっています。
このようなIoTアプローチは、ユーザーにとって大きなメリットをもたらします。自分の肌状態と周囲の環境に最適化されたスキンケアを行うことで、より効果的な美容ケアが可能になります。また、環境の変化に応じて適切なケアを行うことで、肌トラブルの予防にもつながります。
一方で、ロレアルにとっても、このアプローチは大きな価値をもたらします。ユーザーの肌状態と環境データの膨大なデータベースを構築することで、より精度の高い製品開発や、パーソナライズされたマーケティング戦略の立案が可能になります。また、ユーザーとの継続的なエンゲージメントを通じて、ブランドロイヤリティの向上にも寄与します。
これらの取り組みは、非テクノロジー企業がIoTを活用してビジネスモデルを革新する興味深い事例です。従来の化粧品メーカーの枠を超え、テクノロジーカンパニーとしての側面を強化することで、新たな価値創造を提供しています。
今後、このようなアプローチがさらに進化し、より多くの環境要因(大気汚染レベルや水質など)も考慮に入れた、より包括的なパーソナライズド・ビューティーソリューションが登場することが期待されます。ユーザーデータと環境データを統合したプラットフォームが構築され、様々な企業がサービスを提供するエコシステムが形成される可能性もあります。
株式会社ルグランでは、ユーザーの置かれている環境、つまり気象に連動して広告を配信できる広告配信ツール「weathermarketing.net」を提供しており、天気や降水確率、湿度、気温などの様々な気象条件を使って広告配信を行うことができます。詳しくは「weathermarketing.net」もしくは下記の「Contact Us」からお気軽にお問い合わせください。
参考URL:
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000011184.html
https://www.advertimes.com/20240111/article445516/
https://www.wwdjapan.com/articles/1789968
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000183.000004813.html