2015.02.11 | イベント
今回は、前回に続き、昨年10月に参加したClickZ Bangkokのセッションをご紹介します。

検索エンジンマーケティングに関する専門イベントSearch Engine Strategiesとして始まったイベントが、SES~ClickZへと、発展的に成長していった背景には、カンファレンスで扱うテーマが、検索からディスプレイやソーシャルメディアにも広がっていったという事情があります。それに伴い、戦略立案や効果検証に関するセッションにおいても、オンライン~オフラインまでを俯瞰した、よりメディアニュートラルな視点からの議論が年々増えています。

先般のClickZ Live Bangkokにおいても、こうした流れを象徴するように、たとえば、データドリブンマーケティングに関するセッションでは、部門や担当・組織の壁を超えた統合的な視野・視点が求められるといった話が行われていました。

また、アトリビューションに関するセッションでは、SAPがタグマネージメントの専任担当者を採用し、各メディアの役割を踏まえたアトリビューションモデルの策定について、試行錯誤を繰り返しながら理想のモデルを模索している、といった興味深い事例も紹介されました。

こうした流れの中、非常に興味深かったセッションの1つが、ニューヨークを本拠に、世界各国で広告ビジネスを展開する広告代理店JWTのアジア地区CEOであるTom Doctorof氏の”Twitter is not strategy”というセッションでした。

広告メッセージの変化について語るJWTアジア地区CEO Doctorof氏

冒頭、Doctorof氏は

「テレビの時代が終わったという見方は間違いだ。ただ、ソーシャルメディアの出現で、人々がお互いに情報や感情を共有する方法は劇的に変わった。その事実を受け止めた上で、こうした時代にふさわしいメッセージの出し方を考える必要があるということだ。」

と強調した上で、「トップダウン」と「ボトムアップ」という言葉を使って、広告やマーケティングコミュニケーションを考える上で、押さえておくべき変化について話をしました。

テレビ広告に代表されるマス広告においては、長年、企業・ブランドは「トップダウン」の視点、つまり「競争に勝って、市場シェアを取るためには、どういうイメージを人々に植え付ける必要があるのか」を最も重要な課題・目的として、広告メッセージを考えてきました。

しかし、こういう発想から生まれるメッセージは、独裁政党が出すスローガンと一緒で、退屈で人々の心を打つことはありません。

ブランドや製品に対するイメージというのは、人々の中から生まれ、共有されるものであり、マーケターの仕事は、それをコントロールすることではなく、受け入れることだとDoctorof氏は言います。

さらに、アップル社の「Designed by Apple in California」というキャンペーンを紹介した上で、これからのマーケターに求められるのは「ボトムアップで作られ、共有されるイメージに、いかにしてトップダウンのメッセージを織り込むか」である、として講演を締めくくりました。

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2015.02.05 | イベント
いよいよ、来週に開催されるSESロンドン。世界各国の会場でSESからClickZ Liveへと名称が変わる中で、SESが引き継がれたSESロンドンではありますが、そのプログラム構成は、これまでの3日間から2日間の日程に凝縮される一方、1セッションが45分から60分に延長される等、今年から大きく刷新されています。

特に最終日には、基調講演に加え、クロージングに2つの全体セッションが予定されています。今回は、ルグランが注目するこの2つの全体セッションについてご紹介します。


1つ目のセッションは、Googleで商品広告のヨーロッパ責任者がスピーカーを務める「The Evolution of Digital Marketing(デジタルマーケティング革命)」です。年初めに開催されるSESロンドンにおいて、今年一年のデジタルマーケティング業界の展望をうらなうにはぴったりの内容と言えます。Googleで10年以上に渡り、モバイル広告からソーシャル広告まで携わってきたスペシャリストが、急速に変化するデジタルマーケティング業界について、どのような予測をし何を語るか要注目です。

そして、2つ目は、「Digital Marketing Insights for 2015 and Beyond」とタイトルされているように、こちらも今年のデジタルマーケティングを展望するパネルディスカッションが予定されています。プラットフォームを提供するMarin Softwareと大手PR会社のWeber Shandwicのデジタル部門のトップたちが見据えるこれからのデジタルマーケティング業界。白熱したディスカッションに期待したいと思います。

他にも注目のセッションは色々とありますが、次回はセッションレポートでご紹介して参りますので、どうぞお楽しみに!

SES London 2015 Agenda

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2015.02.05 | セミナー
今週2/2(月)、Osaka Hackers Club事務局主催「G7 Hackers Club Meeting」において、弊社代表 泉が『世界標準のUXを提供するためには』というテーマで講演させていただきました。


昨年出展したアドテック関西がご縁で、Keynote Speakerとしてご招待いただいた今回のセミナー。

参加者の皆様は、Osaka Hackers Clubに登録されており、日本にとどまらず、世界を視野に、日夜、努力を重ねる関西の企業家の方々がお集まりいただいているということから、泉からは、ルグランLAデザインセンターの紹介をはじめ、年末に発表した関西主要企業ウェブサイトのUXランキングの詳しい解説、さらには、世界に出るためには、世界の人々に受け入れられるユーザーエクスペリエンス(UX)を考えてサイトやアプリ、商品やサービスをデザインする必要がある、とお話ししました。

会場では、参加者の皆様が熱心にメモを取られる姿が多くみられ、UXへの関心度の高さをあらためて実感致しました。

さらに、泉の講演後には、グローバル展開を目指す方々の集まりらしく、英語で自社の商品やサービスを紹介する”ライトニングトークセッション”が行われ、また、2/10には、「Hack Osaka 2015」というグローバルイノベーションをテーマに、すべてのセッションが英語で行われるカンファレンスの開催が予定されているそうです。

世界を意識した取り組みに、我々も大きな刺激を受けたセミナーとなりました。


Osaka Hackers Club
大阪市が開設したグローバルイノベーション支援拠点「大阪イノベーションハブ」で活動する会員組織で、起業や新規事業の創出、また、グローバル展開を目指して、仲間集めやイノベーションに取り組まれています。

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2015.01.29 | イベント
まだまだ厳しい寒さが続く1/28(水)の早朝、2015年最初のルグラン朝会を開催致しました。

例年、年始の忙しさとベッドから出るのが億劫になる時期ということもあり、この時期はこじんまりと(笑)と開催されるのですが、朝会開催から約5年を迎える今年は、リピーター、初参加の方々含め総勢11名で賑やかなスタートとなりました。

参加者の皆さんの職種も立場も多彩な方々が参加された今回、最も白熱したテーマとなったのが、”コミュニケーションの取り方”でした。
マーケターと制作者の視点、経営者と担当者の視点というように、立場が変われば、たとえばWeb制作ひとつにしても、思い描くコンテンツにズレが生じていることが多々あり、お互いにそのズレに気付くことなく最終段階にきて議論になるというパターンが増えているとのお話に、参加者の皆さんも同意。

特に、エンジニアとマーケターとのコミュニケーションの取り方の難しさを感じている参加者の方々も多く、その解決策の一つとして、マーケターがプログラミングを積極的に学び、エンジニアの視点でコミュニケーションを取ろうという動きが出てきているとのお話がありました。

今回、ご参加いただいた方が主催するエンジニア向けのセミナーでも、マーケターや経営者の参加が増えているということから、ぜひとも参加したいという声もあがっており、主催者として、今回の朝会をきっかけに、新たなつながりや動きが生まれればと思っております。

ルグランでは、朝会をはじめ様々なセミナー、イベントを開催して参ります。詳細は弊社Webサイトやニュースレターでご案内して参りますので、皆さまのご参加をお待ちしております。

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2015.01.27 | 一般
年末年始をはさみ、少し時間が経ってしまいましたが、今回は、昨年11月に参加したClickZ Live Bangkokというイベントの内容を少し紹介したいと思います。


ClizkZ Liveという名称は、あまり馴染みがないかもしれませんが、このイベントの起源をたどると、現在はSMXという別の検索系イベントを主催しているDanny Sullivan氏が、1999年に、サンフランシスコで初めて開催したSearch Engine Strategiesまで遡ることができます。

ただ、SES時代を通じて、バンコクでは初めての開催ということもあってか、プログラムは2トラック x 1日という構成でしたが、以前参加したSES Hong Kong同様、アジアでのイベントは、移動時間や時差も少ないので、欧米で開催されるイベントの雰囲気やエッセンスに触れてみたいという人にとっても、初めて参加してみるには良い機会かもしれません。

ちなみに、参加者のほとんどはタイ人で、セッションにも多くのタイ人が登壇していますが、タイ語(英語の同時通訳付)で行われたのはわずか1セッションのみで、あとは全て、英語によるセッションでした。

ClickZ Live Bangkokの会場となったのは市内中心部にあるルネサンスホテル

基調講演に登壇したのは、永年SESのイベントを主催する立場から、現在は、ニューヨークに本拠を置き、SEOを中心にデジタルマーケティングに関するサービスを提供するacronym社のCMOに転じたMike Grehan氏。

講演のテーマは”A State of Digital Address”、あえて意訳するなら、「顧客よ、どこへ行った?」といった感じでしょうか。

今日、私たちは、シーンや目的によって、あるいは、特段、明確な理由もなく、様々なデバイスやツール・メディアを気ままに渡り歩くことが当たり前になっており、顧客を正しく理解し、適切なメッセージを、適切なタイミングと方法で発信することは、どんどん難しくなっているという現実と、マーケターは向き合わねばならない、とGrehan氏は言います。

基調講演に登壇したMike Grehan氏

そんな彼の主張を端的に表していたのは、

“Talk to me, not my demographic.”(私の「属性情報」ではなく、「私」に話しかけて)

という一言であったと思います。

今日のネットユーザの行動を考えれば、1つのブラウザに蓄積されたCookie情報といった、断片的な情報だけを見て、顧客の姿や行動を分かった気になってはいけない。データを見ることが重要なのは言うまでもないが、これからのマーケターには、様々なツールに分散・蓄積されたデータを統合して、顧客の姿を正しく描き出す力が問われている、ということをGrehan氏は強調していました。

その一例として、彼は、社会学者 Duncan Watts氏が、あるインタビューで行った発言を紹介しました。

“「バイラル動画」(=クチコミで広がった動画コンテンツ)というと、文字通り、ウイルスが感染するように、人から人へと広がって、最終的に多くの人に見られるようになったと思うだろう。ソーシャルメディアに代表される、「バイラルメディア」戦略が重要だと言われる理由もそこにある。だが、データを丹念に分析していくと、「バイラル動画」と呼ばれているものの多くは、実は、ヤフーやテレビなどの「マスメディア」に取り上げられたことをきっかけに、多くの人に見られるようになったことが分かる。”

次回のエントリーでは、この基調講演を受けて、その後のセッションでは、具体的に、どういった話が展開されたのかについて、ご紹介をしたいと思います。どうぞお楽しみに。

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