2015.01.27 | 一般
年末年始をはさみ、少し時間が経ってしまいましたが、今回は、昨年11月に参加したClickZ Live Bangkokというイベントの内容を少し紹介したいと思います。


ClizkZ Liveという名称は、あまり馴染みがないかもしれませんが、このイベントの起源をたどると、現在はSMXという別の検索系イベントを主催しているDanny Sullivan氏が、1999年に、サンフランシスコで初めて開催したSearch Engine Strategiesまで遡ることができます。

ただ、SES時代を通じて、バンコクでは初めての開催ということもあってか、プログラムは2トラック x 1日という構成でしたが、以前参加したSES Hong Kong同様、アジアでのイベントは、移動時間や時差も少ないので、欧米で開催されるイベントの雰囲気やエッセンスに触れてみたいという人にとっても、初めて参加してみるには良い機会かもしれません。

ちなみに、参加者のほとんどはタイ人で、セッションにも多くのタイ人が登壇していますが、タイ語(英語の同時通訳付)で行われたのはわずか1セッションのみで、あとは全て、英語によるセッションでした。

ClickZ Live Bangkokの会場となったのは市内中心部にあるルネサンスホテル

基調講演に登壇したのは、永年SESのイベントを主催する立場から、現在は、ニューヨークに本拠を置き、SEOを中心にデジタルマーケティングに関するサービスを提供するacronym社のCMOに転じたMike Grehan氏。

講演のテーマは”A State of Digital Address”、あえて意訳するなら、「顧客よ、どこへ行った?」といった感じでしょうか。

今日、私たちは、シーンや目的によって、あるいは、特段、明確な理由もなく、様々なデバイスやツール・メディアを気ままに渡り歩くことが当たり前になっており、顧客を正しく理解し、適切なメッセージを、適切なタイミングと方法で発信することは、どんどん難しくなっているという現実と、マーケターは向き合わねばならない、とGrehan氏は言います。

基調講演に登壇したMike Grehan氏

そんな彼の主張を端的に表していたのは、

“Talk to me, not my demographic.”(私の「属性情報」ではなく、「私」に話しかけて)

という一言であったと思います。

今日のネットユーザの行動を考えれば、1つのブラウザに蓄積されたCookie情報といった、断片的な情報だけを見て、顧客の姿や行動を分かった気になってはいけない。データを見ることが重要なのは言うまでもないが、これからのマーケターには、様々なツールに分散・蓄積されたデータを統合して、顧客の姿を正しく描き出す力が問われている、ということをGrehan氏は強調していました。

その一例として、彼は、社会学者 Duncan Watts氏が、あるインタビューで行った発言を紹介しました。

“「バイラル動画」(=クチコミで広がった動画コンテンツ)というと、文字通り、ウイルスが感染するように、人から人へと広がって、最終的に多くの人に見られるようになったと思うだろう。ソーシャルメディアに代表される、「バイラルメディア」戦略が重要だと言われる理由もそこにある。だが、データを丹念に分析していくと、「バイラル動画」と呼ばれているものの多くは、実は、ヤフーやテレビなどの「マスメディア」に取り上げられたことをきっかけに、多くの人に見られるようになったことが分かる。”

次回のエントリーでは、この基調講演を受けて、その後のセッションでは、具体的に、どういった話が展開されたのかについて、ご紹介をしたいと思います。どうぞお楽しみに。

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