東京オリンピック・パラリンピックの開催を3年後にひかえ、昨年から、弊社にも、訪日観光客の誘客やおもてなしに関する様々なご相談が寄せられています。
そこで、航空業界を中心とした観光産業におけるマーケティング戦略や、ソリューションに関する最新情報の入手を目的に、今週、ロンドンで開催されているAviation Festivalというイベントに参加しています。
Aviation Festivalの会場 Business Design Centre
初日の基調講演では、9年前に、ユナイテッド航空に預けたギターが乱暴に扱われて壊されたエピソードを”United Breaks Guitars”というミュージックビデオにしてYouTubeに公開したところ、世界中から大きな反響を集めたカナダのミュージシャン Dave Caroll氏が登壇。
動画の公開から9年たった今も、良質なカスタマーサポートは、ブランドイメージの改善に大きく貢献するということを、多くの航空会社は、まだまだ学ぶべきだとした上で、大切なことは”Compassionate Design”、つまり人々が抱える不満やフラストレーションを解決することを目指せば、自ずとブランドの価値も向上するはずだ、と強調しました。
続いて登壇したのが、KLMオランダ航空でソーシャルメディア戦略を担当するCarolijn Hauwert氏。
KLMでは、ソーシャル戦略を考える上で、自ら発信するメッセージをソーシャルメディアで拡散させるようなことはあまり重要視しておらず、むしろ、自分自身で問題を解決したいと考える消費者が増える中、適切な方法、タイミングで正しい情報を提供し、解決の手段を与えるためにソーシャルメディアを積極的に活用しているという話がありました。
その一つがFacebookメッセンジャーにおけるChatbotの活用です。同社ではAIも導入し、顧客からの問い合わせ内容を解析し、それに対する回答文案を自動的に生成するようなシステムも構築しています。
ただ、Hauwert氏の話でとても興味深かったのは、Facebookメッセージで顧客と対話するということは、企業も、利用者の「友だち」の一人となって対話をするということであり、そこには大変な責任を伴うという点です。
このためKLMでは、AIを使って、回答文案などの自動生成は行いますが、すべてを機械任せにするのではなく、特に複雑な質問や回答については、適宜、カスタマーサポートの担当者が介入して、正確かつ適切な回答が送信されることを何よりも重視しているそうです。
AIやChatbotが注目を集めていますが、「友だちの一人として責任ある会話を心がける」という視点を欠くと、最新のテクノロジーが、むしろUXを悪化させることにつながってしまいます。
本ブログでは、この後も、引き続き、このイベントの様子をお伝えしていきたいと思いますので、お楽しみに。