2015.08.20 | UX
前回のコラムでは、Googleが本当に推奨しているのは「モバイルサイトにおいても最良なユーザーエクスペリエンス(UX)を提供すること」であり、「レスポンシブデザイン」は、それを比較的簡単に実現するための選択肢の一つとして勧められているに過ぎない、というお話をしました。

モバイルサイトのデザインに関しては「アダプティブデザイン」という言葉も良く聞かれます。両者の間には、細かな技術的な違いはあるものの、いずれも「閲覧するデバイスの画面サイズに合わせて、コンテンツのサイズや配置が自動的に調整されるデザイン手法」という点は同じです。

確かに、PCに比べて、遙かに小さなスマートフォンの画面で見ても、閲覧や操作がしやすいようにしておくことは、モバイルサイトのUXを考える上での「必要条件」ではありますが、「十分条件」とは言い切れません。

実際、Googleも『スマートフォンのユーザーがモバイルサイトで必要とする最も重要なタスクは何か、という問いから始めることが重要である』と明言しています。

もし、モバイルサイトでは、PCサイトと大きく異なる意図や目的での利用が想定される場合、「レスポンシブデザイン」「アダプティブデザイン」でモバイルサイトを作ってしまうと、かえって「モバイルフレンドリー」から遠ざかってしまうことにもなりかねないので注意が必要です。

<コンビニエンスストアのスマホサイト例>


 
たとえば、このファミリーマートのモバイルサイトは、PCサイトに掲載されているコンテンツが、スマホでも見やすいようレイアウトされています。そういう意味では、「モバイルフレンドリー」なサイトにしようという努力はしていると思われます。

一方で、もし、コンビニチェーンのサイトをスマートフォンで閲覧する人の多くが、近くにある店舗を探す目的でサイトに来訪しているのだとしたらどうでしょう?モバイルサイトについては、店舗検索機能を中心に据えたデザイン・設計にした方が、ユーザーは、より簡単に「タスク」が実行できるようになるはずです。

このようにモバイルサイトを閲覧・利用するユーザーが実行したい「タスク」は何かを考えて、モバイルサイトを設計するという考え方こそが「モバイルファースト」であり、「レスポンシブデザイン」「アダプティブデザイン」も、「モバイルフレンドリー」なサイトを実現する万能薬ではないのだという点は、くれぐれもお忘れなきよう。

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