2015.03.26 | イベント
SESロンドン2日目の冒頭では、ブランドやメディア・エージェンシーなど、異なる立場でマーケティングに関わる4人のパネリストによるディスカッションが行われました。

モデレータ役を努めたMarin Software社のJon Myers氏から投げかけられた「ブランドが、多様なメディアを通じて一貫性のあるメッセージを伝えるために考えるべきことは何か?」という質問に応える形で、ディスカッションはスタートしました。


左から、Myer・Day・Murray・Gomez・Wallaceの各氏。

LEGO社で検索エンジンマーケティングを統括するGomez氏が、「LEGOでは、多様なチャネル・デバイスを通じて、共通のカスタマーエクスペリエンスを提供することが大切だと考えている。」と答えたのに続き、Facebookで金融関係のクライアントを担当しているDay氏は、昨年のスーパーボウルで、会場が停電した際にオレオが見せた当意即妙な対応を紹介し、「ブランドメッセージを効果的に伝えるためにはシチュエーションとの適合性が大切なのではないか」と答えました。

これに対し、Mindshare社でデジタル戦略を統括するWallace氏は、「ちょっと待ってよ。オレオの事例は確かに秀逸だと思うけど、あんなシチュエーションは滅多に起こらないのだから、あれを真似しようなどと考えない方が良い。」と切り返し、会場は笑いに。

するとMicrosoft のMurray氏は、「そもそも、検索エンジンやFacebook・Twitterなど、メディアによって、ブランドに関する情報を探そうとする人の目的や態度は違うはず。とすると、ブランドアイデンティティは1つでも、探されるシチュエーションごとに、コミュニケーションの方法やスタイルは変えるべきでは。」という問題を提起。

モデレータ役のMyers氏は、これを引き取って「ブランドメッセージは1つでも、その伝え方はオーディエンスによってパーソナライズが必要ということだね。」とまとめたところ、再び、MindshareのWallace氏は、「パーソナライズの重要性に議論の余地はないが、1to1の実現は言うほど簡単じゃない。だいたい、言わせてもらうと、Facebookは戦略や仕様を頻繁に変えすぎ。マネタイズの重要性も理解はするが、データにもとづくパーソナライズが実現できるよう、もっと努力して欲しい。」と厳しいツッコミをいれ、会場からは拍手も。

これに対してFacebookのDay氏は、「Facebook広告の出稿量が劇的に増える中、広告=ノイズにならないよう、適切なシチュエーションで広告を配信するようアルゴリズムの改良を進め、ブランドの期待に応えようと努力はしている。」と防戦に回る一幕も。

さらに「カスタムオーディエンスや類似ユーザーターゲティングといった機能も、積極的に活用して欲しい。」と、やや宣伝めいた発言をしたところ、MicrosoftのMurray氏は「みなさんがアドワーズやFacebook広告の最適化にかけている時間と労力のほんの一部をbing広告にも向けてくれれば、まだまだ成果はあげられると思いますよ。」という、これこそ「当意即妙」な発言で会場の笑いを誘ったところで、ディスカッションは終了となりました。

日本では、どうしても予定調和的になってしまいがちなパネルディスカッションですが、ユーモアをはさみながらも、時にガチンコで本音トークが始まるディスカッションが聞けるのも、海外カンファレンスならではの楽しみと言えそうです。



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