セッションの原題は”CreateContents that Matters”となっており、日本語に訳すと、『(多くの人々に)意味がある、あるいは大切だと感じてもらえるような、心に響くコンテンツを作るには』というような意味になるかと思います。
<CreateContents that Matters>
面白かったのは、登壇したのが、広告業界の関係者ではなく、All India Bakchod(AIB)というインドのお笑いグループに所属するコメディアンだったということ。
<登壇したAIBのKhamba氏>
彼らのグループは、現在、YouTube上で人気を博していますが、そもそも、インドでは、コメディを披露できるバーやクラブなどがあまり無く、また、お笑いネタの定番である「政府や政治家への不満や風刺」をテレビで流すと、政府が口をはさんでくるという事情もあり、ネットを活動の場にせざるをえないという事情があったそうです。
そして彼らのコメディに注目を集めるきっかけとなったのが、2013年に公開された”It’sYourFault”という動画。
<It’sYourFault>
インドでは、女性に対する権利・人権の侵害がしばしば問題になりますが、この動画も、レイプ被害にあった女性が、世間から「レイプされるのは被害に遭った女性の側に責任がある」という目でみられてしまう風潮に対し、痛烈な批判を、コメディタッチで世界に訴えかけて、注目を浴びました。
今日、ネット上では、膨大な量の情報やコンテンツが産まれ続ける中、どうすれば人々の注意や関心を惹くことができるのかは、多くのマーケターの重要な関心事となっています。実際、今回のSpikes Asiaでも多くのセッションで、このテーマが取り上げられていました。
そして、このセッションから得られた一つの示唆は、社会的な問題を提起したり、更には、その解決に資するアクションを取ったりすることで、そうしたメッセージは、多くの人々にも「自分事」として受けて止めてもらえる可能性が高い、ということでしょう。
実際、今回のSpikes Asiaでも、盲目の少年に最新の技術を使ってピアノを弾くという体験を提供した”EyePlay thePiano”(日本)や、自閉症の子供達に他人と視線を合わせる練習をさせる”Lookat Me”(韓国)など、いわゆるSocialGoodと呼ばれる取組みが注目されていました。
では、SocialGoodであることは、単なる慈善活動なのか、それとも、最終的には企業の利益に資することなのか?
これについては、別のセッションで取り上げられていましたので、また改めてレポートしたいと思います。