2016.04.07 | UX
UXランキング(航空会社編)の最後に登場するのは、第8位の春秋航空。

まずPCサイトの上部に掲載されているカルーセル(順番に表示されるバナー)ですが、その中の一つが、常にパイロットや客室乗務員の募集案内となっているのが気になります。

もちろん、ウェブサイト上で、採用・募集をすること自体には何の問題も無いのですが、なぜ、トップページ上の「一等地」を使う必要があるのか、どこを向いて作られたサイトなのか、という疑問が残ります。

<春秋航空PCサイトのトップページ>

また、春秋航空のサイトにおいては、様々な情報の見せ方・出し方に「一人よがり」な点が多く、「いったいその情報が何を意味するのか」が分かりづらいという、情報アーキテクチャについての深刻な問題を抱えています。

たとえば、トップページには就航便のリストが、それぞれの最安値とともに表示されていますが、出発地の横には企業ロゴに似たマークが付いています。そこで、ページ下部にある注釈を見ると、

・Spring Japan(IJ)により運航されています
・春秋航空股份有限公司 (9C)により運航されています。

というコメントは確認できるのですが、おそらく、殆どの人は、この違いが何を意味するのか、全くわからないはずです。

<何を意味するのかがわかりづらい春秋航空トップページの表記>

さらにページの下に進むと、コールセンターの電話番号も掲載されていますが、こちらも「Spring Japan」と「春秋航空股份有限公司」という2つのコールセンターが並列で存在する形になっています。

日本の国内線と成田発の国際線は「Spring Japan」のコールセンター、(成田発以外の?)国際線については、「春秋航空股份有限公司」のコールセンターに電話をしろ、と言っているように見えるのですが、よく見ると、日本国内からかけられる電話番号は、両者とも同じです。

もし、対応するコールセンターが別なら、なぜ両者で同じ電話番号を使うのか、あるいは、実際には1つのコールセンターで対応しているのなら、なぜ、2つのコールセンターがあるような表記にしているのか、非常に不可解です。

一方、フライトの検索メニュー自体は、経路にあわせて就航日がわかりやすく表示されるなど、使い勝手が考えられた作りになっています。

<春秋航空サイトでのフライト選択画面>

さらに、行き先や日程の選択が終わると、前後の日付も含めて、最安値の価格が表示・選択できる点も、一見すると、できるだけ安い便を探して乗りたいという、LCC利用者に求められるユーザーエクスペリエンスが考えられているように見えます。

ところが、「スプリングプラス」「一般クラス」「特典クラス」という3つの料金体系について、利用できるサービスがどう違うのかは、見ただけでは分からないので、試しに、一般クラス(24,500円)を選択してみると、むしろ、疑問は更に深まってしまいます。

たしかに「一般クラス」では、「15Kgまでの荷物が預けられて、変更・払戻もできるというプランらしい。」ということは分かります。(ここでは、まだ他のクラスとの違いは分かりませんが。)

<春秋航空サイトの料金選択画面>

ただ、「一般クラス」の情報を見ると、なぜか33,500円と、「スプリングプラス」の最低料金を上回るプランが表示されています。

マウスオーバーすると、24,500円のプランには無い特典も含まれてはいるようですが、1つ上の「スプリングプラス」との関係もよく分かりませんし、「無料体験したいです」にチェックすると、何が、どう無料になるのかもよく分かりません。

LCC利用者の多くは、利用するサービスや日程の選択を変えることで、どこまでコストを下げられるが知りたいと思っているはずですが、春秋航空のサイトで、そうした比較・検討作業を行うことは、かなりの苦痛と困難を伴うことでしょう。

最後に、春秋航空のサイトは、スマホでの利用に全く対応できておらず、これも、今回ランキング調査対象となった航空会社8社の中で、同社が最下位となる致命的な原因となっています。

<スマホでみてもPC用のサイトが表示されてしまう春秋航空>


Back to Blog Top