2016.08.19 | UX

UX Week 2016レポートの2回目となる今回は、初日の冒頭に行われた基調講演の内容をご紹介します。

登壇したAmber Case氏は、UXデザイナー兼Cyborg Anthropology(サイボーグ人類学者)という、ちょっと変わった肩書きの持ち主で、現在は、ハーバード大学のBERKMAN CLEIN CENTERの研究員として活動しています。

<Calm Technologyについて語るAmber Case氏>
19_UX_Week2_Case

位置情報サービス会社Geoloqi社(2012年にESRI社が買収)を立ち上げるなど起業家としての経験も踏まえ、現在は、テクノロジーと人間との関わりについて研究や情報発信を行っています。なぜ、彼女が「サイボーグ人類学者」という肩書きを名乗っているのかに興味のある方は、ぜひ、彼女がTEDで行ったスピーチもあわせてご覧下さい。(日本語字幕あり)

そんな経歴・肩書きを持つCase氏が、UX Week 2016の冒頭で行った基調講演のテーマは”Calm Technology”。

この言葉は、今から20年ほど前に、ゼロックスのパロアルト研究所で生まれたもので、『理想のテクノロジーとは、人々の生活の中心に入り込み、何かを声高に主張したり、人々を支配したりするものではなく、しかし、常に私たちに寄り添いながら、必要とされる時に、適切な機能や情報を提供してくれるもの』という考え方を示したものです。

あらゆるものがインターネットで結ばれる、IoT社会が現実のものとなりつつある今日、私たちは、多くのテクノロジーに囲まれて暮らしています。しかし、そうした時代だからこそ、新たな技術やサービスを開発・提供する人々は、「テクノロジーができることを追い求める」のではなく、「人々のためになるテクノロジーを開発する」というUX思考を忘れてはならず、そのためには、いま一度、”Calm Technology”という考え方に立ち戻る必要がある、とCase氏は語ります。

講演の中で、Case氏は、”Calm Technology”という考え方が反映されているサービスやプロダクトをいくつか紹介しましたが、その一つが、「睡眠サイクルが測定できる目覚ましアプリ」です。

<Sleep Meisterの画面キャプチャ>
19_UX_Week2_Sleep Meister

これはスマホの加速度センサーを使い、寝返りの有無などから睡眠の深さを測定し、指定した時間帯の中で、眠りが浅くなった時に起こしてくれるというアプリです。

最新の技術を使いながらも、私たちの快適な目覚めをさりげなくアシストしてくれるこうしたアプリは、まさに”Calm Technology”という考え方を体現する好例であると、Case氏は言います。

私たち人間にとって大切なことは、コンピュータを使いこなすことではなく、人間らしくあることだ。
19_UX_Week2_Slide

UX Week 2016の冒頭を飾るにふさわしいメッセージを残し、Case氏の基調講演は終了しました。

そして、先週もご紹介しましたが、ルグランでは、来る8/23(火)に、UXをテーマにしたセミナーを開催します。

当日は、弊社代表 泉とパナソニック株式会社 東京オリンピック・パラリンピ ック推進本部・原口氏による、2020年に向けた空港のUX改善をテーマに、キーノートディスカッションを行います。

「人々の役に立つテクノロジー」を実現するために、パナソニック x ルグランでは、技術とUXをどのように結びつけようとしているのか。私たちのこれからの取組についても、色々とお話ができればと思いますので、ぜひ、ご参加下さい。

<セミナーの詳細やお申込みは、こちらから。>
CNET Japan Marketers’ Conference 2016
あらゆる接点で通用するユーザーエクスペリエンス創造手法

主 催:朝日インタラクティブ株式会社(CNET Japan)
日 時:2016年8月23日(火)14:30開場・15:00開演
参加費:無料 定 員:50名
場 所:dots.(渋谷区宇田川町20-17)
詳細ページはこちら



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