2020.12.10 | コラム

「風が吹けば桶屋が儲かる」という古いことわざもありますが、「寒くなると〇〇が売れる」「雨が降ると△△に行く人が増える」など、気象の変化が様々なビジネスに影響を与えることは、多くの人が経験則としては理解をしています。

 季節の変わり目になると、風邪薬やセーターの広告を目にする機会が増えたり、店頭に並ぶ商品のディスプレイが変わったりするのも、こうした「経験則」にもとづいて行われている施策だと思います。

お天気は毎日変わりますし、地域によって晴れるところもあれば、雨のところもあります。また、北海道と九州では桜の開花時期が全然違うように、南北に長い日本では「季節が変わる」タイミングも地域によって異なります。

 店頭のディスプレイやテレビや新聞の広告であれば、天気にあわせて毎日変えることは難しいでしょうが、ウェブサイトやアプリ、あるいはネットワークに接続されたデジタルサイネージであれば、毎日変わる天気、地域によって異なる気象条件にあわせて、表示される情報やコンテンツを動的に変えることは可能になります。実際、海外では、数年前から、毎日変わる天気、地域によって異なる気象条件にあわせて、最適な情報・コンテンツあるいは商品をレコメンドしている事例が多くあります。

 一例を紹介すると、フランスでアパレルショップを展開するLa Redoute 社は、屋外に設置されたサイネージを活用し、気温や降水量の予報データにあわせて、様々なコーディネートを提案するという屋外広告を展開しました。この結果、同社が運営するインターネット通販サイトへの来訪は34%増加し、売上も17%増加したとされています。

 弊社でも、先般、千葉県船橋市にある三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAYのモール内に設置されたデジタルサイネージにおいて、お天気に合わせて、お薦めの商品を紹介するVMD施策のお手伝いをさせて頂きました。

 しかし、日本では「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」や「AIの活用」といった言葉が踊っている割に、こうした気象データの活用例はまだまだ少なく、経験則としては「やれば意味がありそうだ」と多くの人が感じているにもかかわらず、いまだに勘と経験、手作業にもとづく運用がほとんどです。この背景には、日本においては、気象データの活用・取扱に必要な知見がまだまだ不足していることが、大きく影響していると感じています。

 たとえば、もし、人々の行動の変化には前日との「気温差」が関係しているにもかかわらず、「毎日の気温」と「売上」の関係を機械的に分析しても、トンチンカンな予測モデルが出来上がってしまう可能性があります。こうしたことにならないよう、気象データを活用する上では、以下のような検討・プロセスが必要になります。

 1.人々の行動・生活を踏まえた気象データの解釈

たとえば、「1時間あたり0.5mmの雨」という降水量のデータは、ゴルフに行くかどうかという判断には影響を与える可能性がありますが、レインブーツを履くかどうかの判断には、あまり影響が無いでしょう。つまり、気象データを単なる数値としてとらえるだけでは不充分であり、それを私たちの生活のどのようなシーンに活用するのかによって、個々の気象データの持つ意味をきちんと理解した上で、活用することが不可欠です。

 2.時間軸や季節要素の考慮

最高気温15度を暖かいと感じるか、寒いと感じるかも、ケースによって様々です。たとえば、前日までは最高気温が連日20度以上だったとすれば、多くの人が寒いと感じるでしょうし、札幌と福岡に人では、15度の感じ方も違うでしょう。こうした要素を無視して、単に気温と売上の相関だけを分析しても、あまり意味の結果は得られないでしょう。

 3.行動データ・属性データの活用

気象データの活用について話をしていると、決まって「本当に気象データで売上を予測することはできる?」という話が出てきます。答えは簡単。気象データ【だけ】で売上を予測することは難しいでしょう。たとえば、男性と女性では、雨が降った時に、どういう素材・形状の靴を選ぶかは違うはずで、そうなると気象データだけでなく、そこに性別という「属性データ」を加味すれば、より意味のある予測ができることは明らかです。

 このように気象データをビジネスに活用し、成果をあげていくためには、気象データの取扱に必要な知見を踏まえて、予測のモデルやレコメンドのロジックを組み立てていくことが必要です。一方で、その課題をクリアできれば、近未来予測としての気象データの可能性は大きく広がるでしょう。

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