いよいよゴールデンウィークがスタートしますが、皆さま、今年はどのようにお過ごしですか?
さて、昨年11月に「広告体験の悪化」についてブログを書きましたが、その後もあちらこちらでインターネット広告をいやがる声が聞かれるようになってしまいました。悪化の責任は誰にあるのか、また、解決するためにはどうしたら良いのでしょうか?
「通せんぼ広告」やキタナイ広告が企業のブランド力を低下する
日本の総広告費の中でインターネット広告費は引き続き増加する一方で、利用者の閲覧・行動履歴や属性データをもとにしつこく追い回し、人々の注意を惹くための不快な広告が溢れています。最近新たに発表されたインターネット広告に関する調査では「興味がない・関係ない内容の広告」については40%以上の人が不快に感じると回答しています。(マイボイスコム「インターネット広告に関するアンケート調査(第6回))
私にとって広告は、知らない世界へ連れていってくれる夢のある情報でした。(その結果、その商品・サービスに憧れ、欲しくなる、というショッピングスパイラルに入ってしまうのですがw)
一方で昨今の広告はこちらの置かれている状況を全く理解せずに情報を表示し、不必要に追っかけ回してくる。これは広告とはいえず、邪魔意外の何者でもないでしょう。私のラインには頻繁にこの手のキタナイ広告が表示されます。
エイジングが気になる年齢ということでターゲットされているのだと思うのですが、広告の写真だけでなく、広告の説明文が不快極まりなく、即座に消したいのですが、右上の削除ボタンが極小。加齢、シワ、肌のたるみは勿論、現実問題としてある、つまり自分に全く関係ない内容ではないのですが、写真や説明文が不快を超え、この広告主に対する怒りすら感じてしまいます。エイジングが気になる女性をターゲットにした広告の説明文に「すげぇ」と書いているのは、どんな担当者なのでしょうか?このような広告は不快だけでなく、企業への不信感にも繋がると思います。
広告体験の悪化に関する前回のブログ記事はこちら
https://legrand.jp/Blog/2023/11/1115
エコシステムが解決する詐欺問題
表示された情報が事実でない昨今の詐欺広告はインターネット広告全体のイメージダウンになりかねません。特にMeta問題については、同じ業界にいる人間として、Metaの声明に怒りすら感じます。
“なりすまし詐欺広告”に対するMetaの声明
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2404/17/news119.html
約20年前にオーバーチュアでマーケティングを担当していた時にも、詐欺に近い広告を出そうとする広告主は多数存在しました。しかし、オーバーチュアが決して妥協しなかったことは、3者(媒体、広告主、ユーザー)の利害が一致するエコシステムを維持することでした。その中でも特に検索ユーザーへ有益な情報を提供することについては、徹底的にこだわり、悪質な広告の出稿を排除するガイドラインを策定、内容を定期的に見直し、また、人によるパトロールも頻繁に行っていました。
あれから20年近くが経過。テクノロージーも大きく進化した今、Metaのような資金も技術も潤沢にある企業が詐欺広告をパトロールできないというのは信じ難く、さらに、Meta側の声明に当事者意識が感じられないところが、今回の問題をさらに大きくしていると思います。
広告体験を改善するために、今、私達ができること
当たり前ですが、広告体験が悪化すると、広告主は広告費を払ってもクリックされず売上に繋がらない、人々は通せんぼ広告をよしとする媒体には近づかなくなり媒体価値は下がり、インターネットユーザーは必要な情報がネットでは入手できないということになり、エコシステムは大きくくずれていきます。
一方で、広告体験の悪化を問題にするだけでは、解決には繋がらず、それぞれの立場で何ができるかを考え、アクションを取ることが、大切だと思います。
ルグランでは、これまで人々の置かれている状況に合わせて広告配信をすることが重要であるとセミナーやブログ等でお話ししてきました。また、それを実現するための新たなシステム開発にも力を入れています。その人がいる状況に合わせて広告配信するために重要なデータは「気象」であると考え、数年前に気象に連動して広告を配信するシステム「weathermarketing.net」を開発、すでに多くの企業にご利用いただいております。
そして、今般、スマートフォン位置情報広告を提供する株式会社ジオロジックの位置情報広告システム「GeoLogic Ad」と連携させ、新たなサービス「天気連動型広告」を開発、4/24より提供を開始しました。天気連動型広告は、SmartNewsをはじめとするGeoLogic Ad Network内で利用が可能になります。
サードパーティークッキーの利用制限が進み、個人情報の取得が難しくなる中、気象データと位置情報を合わせたこれまでにない新たなサービスで、人々の置かれている状況やニーズにあった広告をタイムリーに配信することを実現し、ネット業界が直面している広告体験の悪化の解決に繋げていきたいと考えています。
今後も、私達ができる方法で、嫌がられる広告から「人の役に立つ広告」変える努力をしていきたいと思います。
プレスリリース:株式会社ルグランと株式会社ジオロジックが気象データと位置情報を融合した「天気連動型広告」を共同開発
天気連動型広告のイメージ: