2016.01.14 | UX
本ブログでも繰り返し書いている通り、本当の「おもてなし」を実現するには「どうすれば最良のユーザーエクスペリエンスを提供できるのか?」を考え続けることが大切です。

そのためには、普段から、みなさん自身が、自社のウェブやアプリ、あるいはサービスの使い勝手を、ユーザーの視点に立って考えてみるという能力、すなわち『ユーザーエクスペリエンス脳(UX脳)』を鍛えておくことが必要です。

といっても、そんなに難しいことではありません。UX脳を鍛えるための材料は、みなさんの身の回りにたくさん転がっています。

ルグランでは、2020年のオリンピックに向けて、日本を訪れる外国人旅行者に対し、最良のユーザーエクスペリエンスを提供するための手法や戦略を考える、というプロジェクトのお手伝いをする機会も増えていますが、そこで求められるのは、日本を知らない外国人旅行者の視点に立てるかどうか、ということです。

たとえば、この写真は、羽田空港の国際線到着ロビーで撮影したものですが、この写真を見て、みなさんは何を感じるでしょうか?

<羽田空港・国際線到着ロビー>

この先、左側にはモノレール、右側には京急線の改札があるのですが、東京近辺の鉄道事情に詳しい人なら、何の違和感も感じないかもしれません。しかし、初めて日本を訪れる外国人旅行客の立場になって考えてみたらどうでしょう?

確かに”Monorail”と、「英訳」はされていますが、羽田空港に降り立った外国人旅行客にとって、「一本のレールの上に乗って走る電車はこちら」という情報に、どんな意味があるのでしょうか?彼らが知りたいことは、自分の行きたい場所に向かうには、モノレールと京急線のどちらに乗れば良いの?ということでしょう。(実際、この看板の下には案内係の人が立っていて、聞いていると、多くの外国人が、○○に行くには、どの電車に乗れば良いのか?という質問をしていました。) 

このように、一見、当たり前と思えることでも、一歩下がって、ユーザー視点で見直してみると、より良いエクスペリエンスを考えるヒントが色々と見えてくるものです。

みなさんも、ぜひ、今日の帰り道から、ユーザーエクスペリエンスを考える「脳トレ」を始めてみて下さい。本ブログでは、これからも「UX脳トレ」のヒントを、随時、ご紹介していきたいと思います。

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2016.01.07 | UX
みなさん、あけましておめでとうございます。

昨年末に配信した「クリスマスニュースレター」では、「2016年はエクスペリエンスデザイン元年」というテーマで、ウェブサイトやモバイルアプリ、更にはサービスそのもののデザインを考える上で、「どうすればより良いユーザーエクスペリエンスが提供できるのか?」という視点、つまり「エクペリエンスデザイン(XD)」という考え方が、大変重要になってくる、というお話をしました。

ルグランでは、このXDの重要性を、多くの方に、できるだけ具体的に理解をしてもらうことを目的に、毎年、いくつかの業種・業界を選び、ユーザーエクスペリエンスという視点から、ウェブサイトを評価する「UXランキング」を発表しています。

アドテック東京のルグランルーム、およびアドテック関西のルグランブースにご来場頂いた方々には、既に先行して公開しておりますが、昨年は、航空業界とメガネ業界について、UXランキングを実施しました。

そこで、本ブログでは、これらのUXランキングの内容、および各社のウェブサイトに対する評価のポイントや改善点について、順次、ご案内していきます。今後、みなさんがユーザーエクスペリエンスを中心に据えたデザインを考えていく上で、何か参考にして頂ければ幸いです。(もちろん、最良のユーザーエクスペリエンスを実現するための方法を、ルグランも一緒に考えて欲しい、というご相談も大歓迎です!)

今回は、航空業界各社のウェブサイトに関するランキングを発表します。

<航空業界各社のUXランキング>

ちなみに、ユーザービリティ調査などを実施する場合にも言えることですが、ユーザーエクスペリエンスという切り口でウェブサイトを評価する場合、サイトの見た目にばかりに注目しても意味がありません。大切なことは、評価の基準となる「タスク」を明確に設定するということです。

つまり、「そのウェブサイトで来訪者に何をさせるのか?」というタスクを明確に設定した上で、個々のウェブサイトは、来訪者に対して、適切なユーザーエクスペリエンスを提供できているかどうか、という視点で評価を行います。

航空各社のウェブサイトの評価にあたっては、「特に利用頻度が高いと思われるビジネスユーザーを主たるターゲットと考え、PCもしくはモバイルサイトから、経路や運賃・運行状況といった情報を確認したり、実際にチケットの予約や購入を行ったりする」というタスクに対し、各社のウェブサイトが、どういったユーザーエクスペリエンスを提供できているか、という観点から評価を行いました。

なお、本評価は、ルグラン・LAデザインセンターのメンバーが中心となり、2015年9月に実施したものですが、その後、各社のウェブサイトには、改修・改良が加えられたものもありますので、その点は予めご了承下さい。

<ランキング(評点※)>
※100点満点
1. ジェットスタージャパン 76点
2. 日本航空(JAL) 73点
3. 全日本空輸(ANA) 65点
4. スカイマーク 57点
5. バニラ・エア 51点
6. エアアジアジャパン 50点
7. ピーチアビエーション 47点
8. 春秋航空日本 40点

次回からは、各社のウェブサイトに対する評価の内容について、個別にご紹介をしていきますので、どうぞお楽しみに。

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2015.12.24 | UX
日本でも、『ユーザーエクスペリエンス(UX)』という言葉を耳にする機会が増えてきました。

ウェブサイトやモバイルアプリなどを制作・開発する際に、ユーザー目線で考えようという流れが生まれつつあることは、決して悪いことではありません。

しかし、制作・開発の現場を見ていると、まだまだ、見た目のデザインなど、いわゆる『ユーザーインターフェイス(UI)』に関心が集中しており、『エクスペリエンスデザイン(XD)』という域には達していないケースが多いように感じています。

もちろん、使いやすいサイトやアプリを作るには、ユーザーとのタッチポイントをつかさどるUIの設計は非常に重要です。しかし、UXとは「そのサイトやアプリを使って、何かのタスクを行おうとする際の、一連の行為から得られる体験」を指します。従って、よく考えられたUIは、最良のUXを提供するための必要条件ではありますが、充分条件とは言えません。

最近、成田空港を利用する機会がありましたので、試しに空港が提供しているアプリの案内機能を使ってみました。

日本に来た観光客が、ちょっとお腹が空いたので、バゲージクレームで荷物を待つ間に、空港内で食事のできるレストランを探しているという想定で、行き先を指定し、ナビ機能を選択したところ、このような画面が。

<成田空港アプリのナビ画面>

この矢印に従って歩けば、目的のレストランに辿りつけるということなのですが、片手でスーツケースを乗せたカートを押しながら、もう一つの手で、税関で見せるパスポートと一緒に持ったスマートフォンをかざして歩くのは、力のある男性でもちょっと大変です。そもそも、混雑した空港の中での「ながらスマホ」は、かなり危なっかしい感じです。

しかも、現在地を特定するには、成田空港のFree WiFiに接続しないといけないのですが、接続するには、利用規約を読んで同意ボタンを押すというプロセスが必要です。そして、苦労の末に、ようやく行きついた「レストラン」は、実はスタンド形式の売店で、座って食事をすることはできないという有様です。

もうおわかりになったと思いますが、UIを工夫することで「ナビゲーションの画面をどう分かりやすく見せるか」という問題は解決できます。しかし、「成田に着いた外国人観光客が、食事のできるレストランを探し、そこまで簡単に行けるようにするためには何が必要か」という視点から、全体のエクスペリエンスをデザインしない限り、いくらUIばかりを考えても、このアプリで最良のUXを提供することはできないのです。

2020年の東京オリンピックをひかえ、ルグランにも、訪日旅行客をターゲットにしたウェブサイトやアプリ、サービスの設計に関するご相談が増えています。

ただ、お話を聞いていると、ウェブやアプリの表示を多言語化する、といった見た目にばかり関心が向いていることも少なくありません。ルグランでは、クライアントさんと一緒に「エクスペリエンスマップ」を作成し、まずは、文化も常識も違う人たちが、どういう状況で、何を期待して、ウェブやアプリを利用するのかを深く掘り下げてみる、という作業から始めることをお薦めしています。

年が明ければ、オリンピックまであと4年。ルグランでは、2016年を「エクスペリエンスデザイン(XD)元年」と位置付け、最良のエクスペリエンスを提供するウェブサイトやアプリ、サービスを、1つでも多く、世に送り出すお手伝いができるよう、来年も全速で走り続けたいと思います!

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2015.12.24 | コラム
今年も残すところ、あとわずかとなりましたが、皆さまにとっては、2015年は良い一年となりましたでしょうか?

2015年、ルグランは”experience first.”を旗印に、LAに開設したデザインセンターと共に、最良のユーザーエクスペリエンス(UX)を提供するためには何が必要か?という視点から、ウェブサイトやモバイルアプリやサービスなどのユーザーエクスペリエンスの設計・デザインを積極的に手がけてきました。

また、12月のアドテック東京では、建設業界のイメージアップを目的とした、一連のキャンペーン・企画についてもお披露目を行うなど、クリエイティブエージェンシーとしても本格的に活動を始めた1年となりました。
 
おかげさまで、ルグランは、2016年で創業10周年を迎えます。
 
これからも、『データドリブン、なのにクリエイティブ』を合言葉に、クライアントのみなさまの課題解決をお手伝いするクリエイティブ・パフォーマンス・エージェンシーとして、2016年も全力で駆け抜けたいと思います。
 
2016年が皆さまにとって実りの多い一年になりますよう、心からお祈り申し上げます。

Merry Christmas & Happy New Year!

株式会社ルグラン スタッフ一同

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