2016.03.24 | UX
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは世界的な祭典ということもあり、世界中から多くの観光客が日本に来ることが予測されています。


北米旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー誌」の読者アンケートでは、京都がフローレンスやローマを抑え、人気観光地ランキング1位に選ばれ、また、2014年には年間観光客数が過去最高の5,564万人を記録(京都観光総合調査)するなど、京都人気の勢いは止まらない様子です。この背景には京都が世界で影響力の強いトラベル・アンド・レジャー誌に2年連続で掲載されたことはもちろんのこと、京都が海外から訪れた旅行者等の期待通り、あるいは、期待以上の場所であったと言えるのではないでしょうか。

京都人気に拍車がかかる中、京都以外にも日本には素晴らしい場所が沢山あるが、実際に人気観光地として取り上げられないのは何故でしょうか。

その一つには、海外向けに作成された観光動画のコンテンツの多くは京都、大阪、東京などの主要な観光地をメインにしたものばかりであること。また、海外の人達が何を求めて日本を訪れているのか充分に理解せずに、誤った情報を発信しているのではないでしょうか?
日本政府観光局のデータによると、中国などアジアを中心に訪日ブームが続いていることから、2015年の訪日外客数は前の年から大幅に増加しているとのこと。一見すると日本のインバウンドには明るいように見えますが、中国からの海外旅行者に占める日本のシェアは4%前後。ベイン・カンパニー・ジャパンがまとめた記事によると(日経MJ3月9日付)
海外へ旅行に出掛ける中国人の9割以上は日本以外の国や地域を選んでいて、必ずしも海外の旅行者にとって日本は魅力的に映っていないことがわかります。

また、トラベル・アンド・レジャーのブログ記事には、世界各国を旅行しているトラベラーの多くは、訪れる場所に受け継がれている歴史を理解し、まだあまり知られていないその土地の良さを発見したいという気持ちを強くもっていると書かれています。日本に来る観光客の多くは、ありのままの日本を知り、新たな発見をしたいと思いを持っているといった内容の記事もあり、アニメやエンターテーメントを求めに日本に来るといった内容のブログは見当りません。

今、海外観光客の中で日本人でもあまり行かなくなった「銭湯」が密かに人気のスポットになっているそうです。その理由としては、銭湯は、素朴な日本の良さ、リアルな日本を感じられる場所だからだと思います。

実際に「augment5 Inc」が作成した動画の海外からの反応はというと、「Delightful. Well done!」、「Beautiful...amazing Japan.」といった称賛するコメントが多く、外国人観光客がありのままの日本を知りたがっていることがわかります。

 
2016.03.17 | サーチ
リスティング広告の運用を行っている方であれば、既にご存じかと思いますが、Google は、2月20日以降、PC の検索結果画面の右側に置かれていたリスティング広告の表示枠を廃止すると発表しました。


リスティング広告の表示件数は、最大でもページ上部に4つ、下部に3つに減るため、上位の表示枠を巡って、価格競争が激しくなるのではないかと予想されていました。

今般、カナダに本拠を置く広告管理ツール会社Acquisio社が、自社のプラットフォームで管理されている約9万件のキャンペーンを分析し、アドワーズで1位~4位に掲載されている広告のクリック単価は10.5%上昇し、クリック率も4.5%上昇している、という調査結果を発表しました。(2016年1月21 日~2月17日までの4週間と、2月19日~3月3日までの2週間を比較)

ルグランは、日本で最初にAcquisioを採用したデジタルエージェンシーであり、リスティング広告やFacebookをはじめとするディスプレイ広告のモニタリングやレポーティング・管理運用には、同社のプラットフォームを使っています。


このAcquisioには、予め設定した目標に対し、機械学習によってキャンペーンを自動的に最適化するBBM(Bid & Budget Management)という機能があります。

今般、Acquisioでは、BBMの自動最適化機能を適用したキャンペーンと、そうでないキャンペーンの比較調査も行っていますが、その結果を見ると、下図の通り、BBMを使うことで、上位4位以上に広告が掲載された場合でも、クリック単価の上昇を約37%も低く抑えることができました。

<上位4位以上に掲載された広告の変化>

ちなみに、掲載順位が5位以下になると、インプレッション数は32%、クリック数は45%減少しています。(BBMによる最適化が無い場合)もし、売上や集客への貢献度が高いキーワードからの流入が45%も減ってしまったら、死活問題にもなりかねません。

とはいえ、やみくもに入札価格を上げて上位掲載を狙えば、今度はクリック単価が高騰し、費用対効果が悪化してしまいます。そういう場合に役に立つのが、キャンペーンの予算やキーワードの入札価格などを調整・最適化してくれるBBM のような自動化最適化ツールです。

もちろん、広告の費用対効果は、キーワードの設定やマッチタイプの選択、品質スコアを高めるためのキャンペーンや広告グループの構成、効果の高い広告文やリンク先ページを見極めるためのA/Bテストや多変量解析の実施、等々、様々な要因の影響を受けます。

ルグランでは、リスティング広告が日本に上陸してから今日まで、13年に渡って、リスティング広告の管理・運用に携わり続けてきました。その経験を踏まえて蓄積された知見・ノウハウと、Acquisioの機械学習による自動最適化機能を適切に組み合わせることで、お預かりしているキャンペーンの効果を最大化・最適化するお手伝いをしています。

アドワーズの仕様変更によって、入札価格の高騰やクリック数の減少にお悩みの方、自動最適化ツールも組み入れたキャンペーンの運用や最適化にご興味のある方、そして、日本でも随一のノウハウを持つ、ルグランにキャンペーンの運用を相談して見たい方、等々、この機会に、ぜひご相談下さい。

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電話:0120-066-898(フリーダイヤル)

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2016.03.10 | UX
UXランキング(航空会社編)の個別ランキング解説。第5位にランクインしたのはバニラ・エアですが、後に続くエアアジアジャパン・ピーチアビエーションを含め、5位~7位のLCC3社の評価は僅差となっています。

バニラ・エアのサイトは、良く言えば、ストレートでシンプルなデザインという印象ですが、一方で、全体的に手抜き感のあるUIという印象も受けます。

<バニラ・エア PC サイト>

例えば、ページの右上に配置されているハンバーガーメニュー。タブレットやスマートフォンなどモバイルユースを意識したデザインかと思いきや、実際にはページの真ん中にあるメニューリスト部分に遷移するだけなので、PCサイトで表示させる意味は余り無いように感じます。

<バニラ・エア PC サイトのメニュー表示>

一方、モバイルサイトでこのボタンを押すと、PCサイトに比べると「ハンバーガーメニューらしい動き」はしています。

<バニラ・エア モバイルサイトのメニュー表示>

ただ、表示されたメニューリストの中に、他のメニューとは全く見た目が異なる形で、ホテル・レンタカー予約に誘導する「バナー」が表示されてしまっているため、メニュー全体の統一感が崩れ、結果的に、メインメニューとサブメニューの関係など、表示されている情報の関係性が直感的にわかりづらくなってしまっています。

一方、PCサイトでは、通常の予約フォームに加え、ページ中央から行き先を選ぶと、自動的に日付や価格などを見ながら、搭乗便を選択できるようになっています。(就航地が少ないからできるという面もありますが。)

惜しむらくは、照会期間を「1ヶ月」にしても、どうやら当月末までの期間を表示する設定になっているようで、2/28に予約をしようとすると、翌日の2/29の1日分しか料金グラフが表示されない点でしょうか。とはいえ、各月の最低料金を横線で表示し、それぞれの日の料金がどのくらい高いかをビジュアルで分かりやすく表示している点は評価できます。

<バニラ・エア 搭乗便の選択画面(PC)>

一方、モバイルサイトにおいては、PCサイトのトップにある「予約フォーム」は表示させず、予約メニューに表示された選択肢をタッチしていくと、自然に予約完了までの流れをたどれるナビゲーションにしている点は、モバイルのユーザーエクペリエンスに対する考慮・配慮が感じられる作りになっています。

<バニラ・エア 搭乗便の選択画面(モバイル)>

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2016.03.03 | UX
3月に入りましたが、UXランキング(航空会社編)の個別ランキング解説は、まだまだ続きます!(笑)

第4位には、格安航空会社(LCC)の草分けともいえるスカイマークがランクインしました。

サイト全体は、横幅も広く設定され、見やすく、使い易い作りになっているものの、その見た目からは、ちょっと時代から取り残されてしまったような古くささが感じられるのも事実です。最大の原因は、ビジュアルイメージの少なさにあると考えられます。

<スカイマークのPC サイト>

もちろん、航空券の予約や運行情報の確認といった「タスク」が簡単に実行できることは大切ですが、企業からのメッセージや、ブランドのイメージを効果的に伝えるためには、ビジュアルイメージの適切な活用も重要です。

近年、PCやタブレットの画面は大型化し、解像度も上がっていますので、画像や動画を効果的に活用することは、企業やブランドのイメージやメッセージを伝えるためにも有効です。一方、スマートフォンの小さな画面では、メニューやボタンなどにビジュアルイメージを適切に活用することは、単なる見栄えだけの問題ではなく、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながります。

そこで、スカイマークのモバイルサイトを見ると、確かに「スマホ対応」はされており、相対的には一定の評価を得る結果となりましたが、ご覧の通り、トップ画面は、必要最低限のメニューリストというデザインになっています。

<スカイマークのスマホサイト>

もちろん、モバイルサイトにおいては、タスクの遂行を最優先にするため、PCサイトよりも、掲載・搭載する機能や情報を絞り込むというのも一つの方法ではあります。

ただ、モバイルサイトで実際に搭乗便を選択すると、設定した日付の便名がリストで表示されますが、残念なことに、モバイルサイトでは便ごとの価格の違いを確認することができなくなっています。

<スマホサイトでの搭乗便選択>

スカイマークの場合、1つの便に対して、複数の料金プランが設定されているため、その全てをモバイルサイトで表示することは難しいと判断したのかもしれません。しかしながら、日付や時刻など細かな条件の選び方で価格が変わるというLCCの特性を考えれば、できるだけ価格の安い便を選びたいと考える利用者も多いはずです。

実際、このランキングで1位になったジェットスタージャパンでは、スマホサイトでも、搭乗便の選択による価格の違いが把握できるようになっており、スカイマークでも、例えば、代表的なプランの価格だけでも表示するなど、LCC 利用者の気持ちやニーズに応える工夫が欲しいところです。

さらに、モバイルサイトで搭乗便を選択した後、個人情報を入力するページに遷移すると、画面の左上に「便追加」というボタンが表示されます。

PCサイトを見ると、これは、例えば帰りの便もまとめて選択・予約できるようにするための機能だということは分かるのですが、スマホサイトでは、個人情報の入力画面で表示されるため、今ひとつ、このボタンの意味や役割が分かりづらくなっています。

<PC とスマホサイトで異なる追加便の選択画面>

スマホサイトでは、往路便の選択が終わると、すぐに個人情報入力ページに遷移してしまうことが一つの原因となっていますが、たとえば、PC サイトと同様、往路便の選択が終わった後で、【選択内容の確認画面】を表示するようにして、そこに「便追加」のボタンを表示するか、あるいはボタンの名前を「復路便の選択」といった形に変えることで、利用者が迷うことも少なくなるのではないでしょうか?

スカイマークのサイトでは、PC サイトとモバイルサイトで、提供・掲載する情報や機能を、どのように使い分けるのかについての考慮が不充分であるため、見た目はスマホ対応されているにもかかわらず、モバイルサイトのユーザーエクスペリエンスが犠牲になっている点が散見されます。

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2016.03.03 | クリエイティブ
先週に引き続き、2016年2月16日(火)から17日(水)に東京ビックサイトで開催されたマーケティング・テクノロジーイベント「tfm (technology for marketing)」で興味深かったセッションについてレポートします。


「全てのインダストリーはサービス業へ」、そう語っていたのは株式会社電通エグゼクティブコンサルティングディレクター 朝岡崇史氏。「エクスペリエンスデジタルの未来予想図」をセッションテーマに、IoT(Internet of Things)を中心にこれから起こりうる社会の変革について講演。IoTは「モノのインターネット」といわれ、あらゆるモノはインターネット(デジタル) とつながることを指します。例えば手紙がEメールとなり、買い物はECサイト、井戸端会議はSNSへと変化。朝岡氏曰く、あらゆる産業はデジタルとつながり、アクセス解析などによってモノに付加価値を与えられるようになるとのこと。将来、人々の生活を一変させるプロダクトが次々と流通すると予測されていました。


さらに米GE社を事例に、IoTの時代を生き抜くための大企業の具体的なアクションを紹介。昨年10月にCEOジェフリー・イメルト氏は時代の変化について「工業会社として眠りにつき翌朝起きると、ソフトウェア解析の会社になっているかもしれない」と表現。創業100年を超える様々な産業機器を製造する企業でありながら、長年蓄えたビッグデータを解析し、あらゆる分野で最適化した価値を提供。GE社が製造する航空エンジンはリアルタイムで状況がモニタリングでき、管制室とのオペレーションやトラブルの早期発見に役立っていると説明。GEのような大企業でさえも、来るIoT時代を生きるために舵を切ったそうです。

これからは企業規模を問わず、誰もが破壊者 (destroyer) にならなければならないと締めくくられた朝岡氏のセッション。IoT時代にマーケターとして生き抜くためには、思考の枠を超えたモノの見方が大切であると感じました。