2016.02.04 | UX
前回のブログでは、サービスデザイン・ジャパン・カンファレンス2016に登壇したAdaptive Path 社Jamie Hegeman 氏の基調講演の概要をご紹介しました。 Hegeman 氏は、社外のデザインエージェンシーという立場で、クライアントの サービスデザインをサポートしているのに対し、続いて登壇したKatrine Rau氏は、GE の工業用・産業用製品部門で、IoT 関連サービスを企画・設計すると いう立場から、サービスデザインという考え方を、社内で具現化し、定着させていくためのプロセスやチャレンジについて話をしました。

<GE でサービスデザインを担当するKatrine Rau 氏>

立場の違いこそあれ、Rau 氏も、GE に所属する様々なステークホルダーを相手に、サービスデザインの重要性を説き、必要なプロセスを実施・定着させてい くためには、「非デザイナー」である彼らをいかに巻き込むかが大切であると強調しました。

その上でRau 氏は、自身の経験から、サービスデザインを成功に導くために必 要なポイントを5 ヶ条にまとめて紹介をしました。

<サービスデザインを成功させるための5 ヶ条>
(Slideshare 公開資料より引用)


1. 現場で培われてきた文化や流儀を否定しない
2. 利用者・提供者双方の立場に立って考える
3. 人々が抱える問題を解決するのがデザインの役割
4. 常に「新参者」の視点を忘れない
5. 欲張らずにできるところから始める


詳しくは、Rau 氏のプレゼン資料がSlideshareに公開されていますので、そちらもぜひお読み下さい。
ユーザーエクスペリエンス(UX)が、エンドユーザーのエクスペリエンスに重点を置いているのに対し、利用者・提供者双方を満足させるエクスペリエンス の提供が求められるサービスデザインにおいては、”Co-Creation”のプロセス、つまり、「非デザイナーである、ステークホルダー達も、サービスデザインのプ ロセスに参加できるよう後押しをすること」が非常に大切であるとRau 氏は強調します。

ちなみに、Hegeman 氏は、”Embed”という言葉を使っていましたが、サービスデザインにおいて、「非デザイナー」であるステークホルダーをいかに巻き込む かが大切、という点では、二人とも、同じことを繰り返し強調していたのが大変印象的でした。

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2016.01.28 | UX
1月23日に慶應義塾大学・日吉キャンパスで、サービスデザイン・ジャパン・カンファレンス 2016というイベントが開催されました。

<Service Design Japan Conference 2016>

このイベントを主催している
サービスデザインネットワーク(SDN)という団体は、サービスデザインに関わるプロフェッショナルや研究者たちが集まるグローバルな組織で、日本においても2013年から、サービスデザイン・ジャパン・カンファレンスというイベントを開催しています。

冒頭の基調講演に登壇したのは、SDN本部の代表メンバーでもある、米国のサービスデザイン・エージェンシー Adaptive Path社のJamie Hegeman氏。

<Adaptive Path社のJamie Hegeman氏>

Hegeman氏は、サービスデザインの検討・設計にあたり、『利用者のエクスペリエンス(いわゆるカスタマーエクスペリエンス)』だけを考えるのでは不充分だと指摘します。

サービスが利用・提供されるためには、『利用者』に加えて、サービスを提供する側の『現場のスタッフ』さらには『経営層』の存在も不可欠であり、これら3つのステークホルダーが、全て満足するようなエクスペリエンスを提供できるかどうかが、サービスデザインを考える上で、大変重要だとHegeman氏は強調します。

一方で、これらのステークホルダーは、通常、エクスペリエンスデザイン(XD)の専門家ではないため、サービスデザインの現場では、常に、「デザイナー」と「非デザイナー」との間に生ずる様々なギャップや軋轢をどう解消するかが大きな課題となります。

このため、デザイナー側には、非デザイナーであるステークホルダーに対して、何かを「伝える」「教える」という姿勢よりも、かれらを「巻き込む」ための工夫が求められます。(Hegeman氏は、これを”Embed”という言葉で表現していました。)

その際に重要となるのは、「デザイナー」と「非デザイナー」がスムーズに会話できるための共通の言語を持つことです。

そこで役に立つのが”Experience Map” や”Blueprint”といったツールです。こうしたツールを使うことで、サービスの利用にまつわる利用者・提供者側の体験を、言葉や概念だけでなく、ビジュアルなイメージとしても共有できるようになるので、サービスデザインの専門家ではないステークホルダーの人たちも、積極的に議論に参加することができるようになります。

ルグランでも、ウェブサイトの制作・リニューアルや、モバイルアプリの開発にあたっては、”Experience Map”などのツールを使い、まずは、クライアントや利用者の方々と一緒に、利用者・提供者それぞれの立場からみたエクスペリエンスを、1つのストーリーとして視覚化していくというプロセスを大切にしています。

サービスの利用者や提供者が、どこで不満やストレスを感じているかが見えてくると、ウェブサイトやモバイルアプリのエクスペリエンスをどのようにデザインするべきかが、おのずと見えてきます。クライアントに対してエクスペリエンスデザインを支援するという、同じ立場で仕事をする今回のHegeman氏の講演は、多くの示唆に富むものでした。

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2016.01.28 | 一般
1月25日に青山から渋谷へと拠点を移し、新たな環境でのスタートを切りました。


渋谷区役所に近い新オフィスからは、渋谷のビル群から代々木公園の緑、そして箱根の山々まで一望でき、変わりゆく季節を感じながら仕事ができる環境です。

そして、新オフィスのコンセプトは「Experience」。

ルグランのスタッフはフルタイム、パートタイム、そしてインターンまで、ワークスタイルは様々。また、クライアントとの打合せも、コンセプト作りからデータ分析までテーマは多岐にわたります。
新オフィスには、たとえ目的は違っても、ここで時間を過ごす皆さんが、いつでも良い「Experience(経験)」ができるような工夫とこだわりが随所に盛り込まれています。

2016年、ルグランはこのオフィスから、よりクリエイティブなビジネスを創出していきます。ご期待ください。

近々、新オフィスでのイベントも企画進行中ですので、お楽しみに!

■新オフィス住所
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町2-1-13F
■TEL/FAX
TEL:03-6416-9845/FAX:03-6416-9846

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2016.01.14 | UX
さて、ここからはUXランキング(航空会社編)で評価対象となった航空会社8社について、それぞれ、ルグラン・LAデザインセンターのメンバーによる、評価のポイントや改善点について解説をしていきます。

まずは、8社の中で、最高の評価を獲得したジェットスタージャパンについて解説を始める前に、このランキングの評価基準と配点について、簡単にご説明をしておきます。

<UXランキングの評価基準と配点について>

ルグランでは、ウェブサイトの使い勝手を評価する上で、以下の5つの評価基準を設け、合計100点満点で、各社のサイトを採点・評価をしています。

(1) Accessibility: サイトの読込速度やテキストの読みやすさなど(9点)
(2) Identity: 会社やブランドロゴの使い方、サイトの概要や目的の分かりやすさ(15点)
(3) Navigation: ボタンやリンクの配置や動線設計の分かりやすさ(15点)
(4) Contents: 重要なコンテンツの配置やコピー・色合いの適切さ(18点)
(5) Task-Oriented: 設定された課題の解決をサポートする使いやすさ(43点 → 内、モバイル対応評価分が28点)

これらの基準をもとに、ジェットスタージャパンのサイトが、どのような理由で最高の評価を得たのか、そのポイントを見ていきましょう。

入力フォーム等のインフォメーションアーキテクチャー面には、多少の戸惑いを覚える部分がありましたが、ブランドメッセージの表示は明確で一貫性があり、更には、操作性の良い検索機能など、全体的なユーザビリティー面が高い評価につながりました。

例えば、LCCと呼ばれる格安航空会社の場合、利用する便の日時の選択によって料金が大きく変わることがありますが、ジェットスターのウェブサイトでは、選択した日だけでなく、その前後の旅程の運賃も一覧で見せることで、利用者が「賢い選択」をできるよう手助けをしています。

<おトクな運賃を簡単に選択できるようサポート>

更に、LCCでは、預入荷物の有無や変更の可否など、細かな条件によっても、料金が変わってきますが、ジェットスターのウェブサイトでは、「この料金では何ができる(できない)のか」を分かりやすく表示することで、利用者の誤解や混乱を最小限に留める工夫も見られます。

<料金プラン毎に含まれるサービスを分かりやすく表示>

一方で、サイトのデザインには、少し古くささも感じますが、他社にはないチャットサービスが用意され、また、モバイルサイトのUX/UIについては、全体的にレベルの低い日本の航空業界の中では、最もモバイルに最適化されている点も、相対的に高い評価を得る結果につながりました。

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2016.01.14 | UX
本ブログでも繰り返し書いている通り、本当の「おもてなし」を実現するには「どうすれば最良のユーザーエクスペリエンスを提供できるのか?」を考え続けることが大切です。

そのためには、普段から、みなさん自身が、自社のウェブやアプリ、あるいはサービスの使い勝手を、ユーザーの視点に立って考えてみるという能力、すなわち『ユーザーエクスペリエンス脳(UX脳)』を鍛えておくことが必要です。

といっても、そんなに難しいことではありません。UX脳を鍛えるための材料は、みなさんの身の回りにたくさん転がっています。

ルグランでは、2020年のオリンピックに向けて、日本を訪れる外国人旅行者に対し、最良のユーザーエクスペリエンスを提供するための手法や戦略を考える、というプロジェクトのお手伝いをする機会も増えていますが、そこで求められるのは、日本を知らない外国人旅行者の視点に立てるかどうか、ということです。

たとえば、この写真は、羽田空港の国際線到着ロビーで撮影したものですが、この写真を見て、みなさんは何を感じるでしょうか?

<羽田空港・国際線到着ロビー>

この先、左側にはモノレール、右側には京急線の改札があるのですが、東京近辺の鉄道事情に詳しい人なら、何の違和感も感じないかもしれません。しかし、初めて日本を訪れる外国人旅行客の立場になって考えてみたらどうでしょう?

確かに”Monorail”と、「英訳」はされていますが、羽田空港に降り立った外国人旅行客にとって、「一本のレールの上に乗って走る電車はこちら」という情報に、どんな意味があるのでしょうか?彼らが知りたいことは、自分の行きたい場所に向かうには、モノレールと京急線のどちらに乗れば良いの?ということでしょう。(実際、この看板の下には案内係の人が立っていて、聞いていると、多くの外国人が、○○に行くには、どの電車に乗れば良いのか?という質問をしていました。) 

このように、一見、当たり前と思えることでも、一歩下がって、ユーザー視点で見直してみると、より良いエクスペリエンスを考えるヒントが色々と見えてくるものです。

みなさんも、ぜひ、今日の帰り道から、ユーザーエクスペリエンスを考える「脳トレ」を始めてみて下さい。本ブログでは、これからも「UX脳トレ」のヒントを、随時、ご紹介していきたいと思います。

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