2016.03.24 | UX
UXランキング(航空会社編)の個別 ランキング解説。バニラ・エアとは1 点差で第6位となったのはエアアジア・ジャパンでした。

同社はマレーシアに本拠を置く格安航空会社(LCC)で、2012 年にANAとの 提携により日本市場に参入しましたが、翌年には提携を解消。その後、楽天などの出資を得て、中部国際空港を拠点に日本への再参入に向けて準備中ですが、昨年末には経営トップが交代。本年4月と言われていた就航予定も夏に延期されるなど、就航開始までの道程は、まだ視界不良が続いているようです。

こうした事情から、まだ厳密な意味では日本での「開業前」という状態にあるせいか、ウェブサイトには、本国のサイトを「翻訳」したということが感じられる粗さも目立ちます。

<エアアジア・ジャパンTOP ページ>

それでも、本国のサイト自体が、ユーザーエクスペリエンスも考慮された設計となっているため、たとえば、予約フォームでは、出発地→目的地→出発日などを、順次リストやカレンダーから選択できるようガイドされるなど、使い勝手は悪くありません。

エアアジアは、アジアを中心に、多くの国・都市に就航していますが、出発地を選ぶと、その出発地から選択可能な目的地が自動的に絞り込まれて表示されるようになっている点にも工夫が感じられます。

<使い勝手の良い予約フォーム>

ただ、選択した日付に該当するフライトもしくは空席が無い場合、「いつなら予約できるのか」が分かりにくく、この点は改善が望まれます。

エアアジア・ジャパンの最大の難点は、モバイル対応が全くできておらず、スマホで閲覧しても、PCサイトが表示されてしまう点です。ちなみに、今回調査対象とした8社の中で、モバイル対応が全く行われていなかったのは、エアアジア・ジャパンと春秋航空の「外資」2社でした。

<スマホで見たTOP ページ>

また、PCサイトでは、出発地をリストから選ぶことができましたが、スマホから閲覧すると、残念ながら、この機能は使えなくなってしまいます。その代わりに出発地を入力するようキーボードが表示されますが、「東京」や「成田」と入力しても成田空港は表示されず、「NRT」という空港コードを入れたら、ようやく成田が表示されるなど、入力・検索機能にも改善が必要です。

<スマホでの出発地入力はちょっと面倒>

来たるべき本格的な日本参入に向けて、モバイル対応が急がれることは言うまでもありませんが、せめて、入力が面倒なスマホでの閲覧こそ、出発地などをリストから簡単に選べるようにするだけでも、使い勝手はかなり改善されるでしょう。

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2016.03.17 | サーチ
リスティング広告の運用を行っている方であれば、既にご存じかと思いますが、Google は、2月20日以降、PC の検索結果画面の右側に置かれていたリスティング広告の表示枠を廃止すると発表しました。


リスティング広告の表示件数は、最大でもページ上部に4つ、下部に3つに減るため、上位の表示枠を巡って、価格競争が激しくなるのではないかと予想されていました。

今般、カナダに本拠を置く広告管理ツール会社Acquisio社が、自社のプラットフォームで管理されている約9万件のキャンペーンを分析し、アドワーズで1位~4位に掲載されている広告のクリック単価は10.5%上昇し、クリック率も4.5%上昇している、という調査結果を発表しました。(2016年1月21 日~2月17日までの4週間と、2月19日~3月3日までの2週間を比較)

ルグランは、日本で最初にAcquisioを採用したデジタルエージェンシーであり、リスティング広告やFacebookをはじめとするディスプレイ広告のモニタリングやレポーティング・管理運用には、同社のプラットフォームを使っています。


このAcquisioには、予め設定した目標に対し、機械学習によってキャンペーンを自動的に最適化するBBM(Bid & Budget Management)という機能があります。

今般、Acquisioでは、BBMの自動最適化機能を適用したキャンペーンと、そうでないキャンペーンの比較調査も行っていますが、その結果を見ると、下図の通り、BBMを使うことで、上位4位以上に広告が掲載された場合でも、クリック単価の上昇を約37%も低く抑えることができました。

<上位4位以上に掲載された広告の変化>

ちなみに、掲載順位が5位以下になると、インプレッション数は32%、クリック数は45%減少しています。(BBMによる最適化が無い場合)もし、売上や集客への貢献度が高いキーワードからの流入が45%も減ってしまったら、死活問題にもなりかねません。

とはいえ、やみくもに入札価格を上げて上位掲載を狙えば、今度はクリック単価が高騰し、費用対効果が悪化してしまいます。そういう場合に役に立つのが、キャンペーンの予算やキーワードの入札価格などを調整・最適化してくれるBBM のような自動化最適化ツールです。

もちろん、広告の費用対効果は、キーワードの設定やマッチタイプの選択、品質スコアを高めるためのキャンペーンや広告グループの構成、効果の高い広告文やリンク先ページを見極めるためのA/Bテストや多変量解析の実施、等々、様々な要因の影響を受けます。

ルグランでは、リスティング広告が日本に上陸してから今日まで、13年に渡って、リスティング広告の管理・運用に携わり続けてきました。その経験を踏まえて蓄積された知見・ノウハウと、Acquisioの機械学習による自動最適化機能を適切に組み合わせることで、お預かりしているキャンペーンの効果を最大化・最適化するお手伝いをしています。

アドワーズの仕様変更によって、入札価格の高騰やクリック数の減少にお悩みの方、自動最適化ツールも組み入れたキャンペーンの運用や最適化にご興味のある方、そして、日本でも随一のノウハウを持つ、ルグランにキャンペーンの運用を相談して見たい方、等々、この機会に、ぜひご相談下さい。

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2016.03.10 | UX
UXランキング(航空会社編)の個別ランキング解説。第5位にランクインしたのはバニラ・エアですが、後に続くエアアジアジャパン・ピーチアビエーションを含め、5位~7位のLCC3社の評価は僅差となっています。

バニラ・エアのサイトは、良く言えば、ストレートでシンプルなデザインという印象ですが、一方で、全体的に手抜き感のあるUIという印象も受けます。

<バニラ・エア PC サイト>

例えば、ページの右上に配置されているハンバーガーメニュー。タブレットやスマートフォンなどモバイルユースを意識したデザインかと思いきや、実際にはページの真ん中にあるメニューリスト部分に遷移するだけなので、PCサイトで表示させる意味は余り無いように感じます。

<バニラ・エア PC サイトのメニュー表示>

一方、モバイルサイトでこのボタンを押すと、PCサイトに比べると「ハンバーガーメニューらしい動き」はしています。

<バニラ・エア モバイルサイトのメニュー表示>

ただ、表示されたメニューリストの中に、他のメニューとは全く見た目が異なる形で、ホテル・レンタカー予約に誘導する「バナー」が表示されてしまっているため、メニュー全体の統一感が崩れ、結果的に、メインメニューとサブメニューの関係など、表示されている情報の関係性が直感的にわかりづらくなってしまっています。

一方、PCサイトでは、通常の予約フォームに加え、ページ中央から行き先を選ぶと、自動的に日付や価格などを見ながら、搭乗便を選択できるようになっています。(就航地が少ないからできるという面もありますが。)

惜しむらくは、照会期間を「1ヶ月」にしても、どうやら当月末までの期間を表示する設定になっているようで、2/28に予約をしようとすると、翌日の2/29の1日分しか料金グラフが表示されない点でしょうか。とはいえ、各月の最低料金を横線で表示し、それぞれの日の料金がどのくらい高いかをビジュアルで分かりやすく表示している点は評価できます。

<バニラ・エア 搭乗便の選択画面(PC)>

一方、モバイルサイトにおいては、PCサイトのトップにある「予約フォーム」は表示させず、予約メニューに表示された選択肢をタッチしていくと、自然に予約完了までの流れをたどれるナビゲーションにしている点は、モバイルのユーザーエクペリエンスに対する考慮・配慮が感じられる作りになっています。

<バニラ・エア 搭乗便の選択画面(モバイル)>

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2016.03.03 | UX
3月に入りましたが、UXランキング(航空会社編)の個別ランキング解説は、まだまだ続きます!(笑)

第4位には、格安航空会社(LCC)の草分けともいえるスカイマークがランクインしました。

サイト全体は、横幅も広く設定され、見やすく、使い易い作りになっているものの、その見た目からは、ちょっと時代から取り残されてしまったような古くささが感じられるのも事実です。最大の原因は、ビジュアルイメージの少なさにあると考えられます。

<スカイマークのPC サイト>

もちろん、航空券の予約や運行情報の確認といった「タスク」が簡単に実行できることは大切ですが、企業からのメッセージや、ブランドのイメージを効果的に伝えるためには、ビジュアルイメージの適切な活用も重要です。

近年、PCやタブレットの画面は大型化し、解像度も上がっていますので、画像や動画を効果的に活用することは、企業やブランドのイメージやメッセージを伝えるためにも有効です。一方、スマートフォンの小さな画面では、メニューやボタンなどにビジュアルイメージを適切に活用することは、単なる見栄えだけの問題ではなく、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながります。

そこで、スカイマークのモバイルサイトを見ると、確かに「スマホ対応」はされており、相対的には一定の評価を得る結果となりましたが、ご覧の通り、トップ画面は、必要最低限のメニューリストというデザインになっています。

<スカイマークのスマホサイト>

もちろん、モバイルサイトにおいては、タスクの遂行を最優先にするため、PCサイトよりも、掲載・搭載する機能や情報を絞り込むというのも一つの方法ではあります。

ただ、モバイルサイトで実際に搭乗便を選択すると、設定した日付の便名がリストで表示されますが、残念なことに、モバイルサイトでは便ごとの価格の違いを確認することができなくなっています。

<スマホサイトでの搭乗便選択>

スカイマークの場合、1つの便に対して、複数の料金プランが設定されているため、その全てをモバイルサイトで表示することは難しいと判断したのかもしれません。しかしながら、日付や時刻など細かな条件の選び方で価格が変わるというLCCの特性を考えれば、できるだけ価格の安い便を選びたいと考える利用者も多いはずです。

実際、このランキングで1位になったジェットスタージャパンでは、スマホサイトでも、搭乗便の選択による価格の違いが把握できるようになっており、スカイマークでも、例えば、代表的なプランの価格だけでも表示するなど、LCC 利用者の気持ちやニーズに応える工夫が欲しいところです。

さらに、モバイルサイトで搭乗便を選択した後、個人情報を入力するページに遷移すると、画面の左上に「便追加」というボタンが表示されます。

PCサイトを見ると、これは、例えば帰りの便もまとめて選択・予約できるようにするための機能だということは分かるのですが、スマホサイトでは、個人情報の入力画面で表示されるため、今ひとつ、このボタンの意味や役割が分かりづらくなっています。

<PC とスマホサイトで異なる追加便の選択画面>

スマホサイトでは、往路便の選択が終わると、すぐに個人情報入力ページに遷移してしまうことが一つの原因となっていますが、たとえば、PC サイトと同様、往路便の選択が終わった後で、【選択内容の確認画面】を表示するようにして、そこに「便追加」のボタンを表示するか、あるいはボタンの名前を「復路便の選択」といった形に変えることで、利用者が迷うことも少なくなるのではないでしょうか?

スカイマークのサイトでは、PC サイトとモバイルサイトで、提供・掲載する情報や機能を、どのように使い分けるのかについての考慮が不充分であるため、見た目はスマホ対応されているにもかかわらず、モバイルサイトのユーザーエクスペリエンスが犠牲になっている点が散見されます。

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2016.02.25 | UX
先日、『ユーザーエクスペリエンス(UX)脳の鍛え方』というコラムで、羽田空港を題材に、普段から自社のウェブやアプリ、あるいはサービスの使い勝手を、ユーザーの視点に立って考えてみるという能力を鍛えておくことの大切さについて書きました。

その際にも書きましたが、『UX脳トレ』の題材は、みなさんの意識の持ち方次第で、日常生活のあらゆるところに転がっています。そこで、今回はスポーツクラブでのある体験から、UXについて考えてみたいと思います。

筆者が通っているスポーツクラブでは、受付を済ませると、会員証と引換にロッカーの扉に差し込むカードが渡されます。(このカードを差し込まないと、ロッカーのカギがかけられないので、一人で複数のロッカーを使うことはできないようになっています。)

ところが、先日、ロッカールームで困っている様子の人がいたので話を聞いてみると、『自分のロッカーが誰かに使われている』とのこと。このスポーツクラブでは、別途契約をしない限り、自分専用のロッカーというのは無いので、おかしいなと思い、改めて、この方が手に持っていたカードを見て納得。

<受付で渡されるカードにも番号が>

受付で渡されたカードには番号が振られているため、この方は、同じ番号のロッカーを使わなければならない、と勘違いしたのです。実際には、このスポーツクラブの場合、カードの番号とロッカーの番号の間には何の関係もないので、みな、空いているロッカーを見つけてカードを差し込んで使っています。

しかし、ゴルフ場などの施設では、受付でロッカー番号が書かれたカードやキーを渡されることも多く、カードに番号が書かれていたら、ロッカーの番号と結びつけて考えても不思議ではありません。

このように、ある環境や場面において、人々が自然に『これはこういう意味なのだろう』と考えることを、『アフォーダンス』と言います。ドアの取っ手に関する話は、『アフォーダンス』を考える身近な例として、よく取り上げられていますので、聞いたことがあるかもしれません。

<ドアの取っ手のアフォーダンス>

このドアは押して開ける構造になっているのですが、おそらく『引いて開ける (ために取っ手が付いている)』と考える人が多いので、仕方なく、後から 【PUSH】というシールを貼ったのでしょう。

これはドアに限った話ではなく、ウェブサイトやモバイルアプリなどでも同じです。『アフォーダンス』を無視したデザインや設計は、人々に戸惑いやフラストレーションを与えることになり、最終的には、離脱者を増やしてしまうリスクを高めてしまいます。

快適なユーザーエクスペリエンスを考える基本は、”Don’t make me think.”

つまり、考えなくとも直感的に分かる作りやデザインになっていることが重要であり、そのためには、日頃から、利用者の立場に立って考える『UX脳』を鍛えておくことが大切なのです。

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