夏休み真っただ中ですが、東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・沖縄では緊急事態宣言も8月31日まで続くこととなり、新型コロナウイルスは日本経済に大きな影響を与え続けています。
まん延防止等重点措置も13の道府県が対象となっており、外出自粛などで人々の活動が依然として低迷しています。そのため、特に対人接触業務が前提である旅行業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業などにおいては、売り上げの減少に歯止めがかからない状態が続いているようです。
ライブやコンサート、観劇を愉しみとしている私も、ようやく手にしたチケットを何度払い戻したことか知れません。
このまま、公演が延期になったり、中止になったりという日常が続けば、音楽や演劇に限らず、さまざまな芸術が失われて行ってしまうのではないかと危惧していらっしゃる方も少なくないと思います。
会場にお客さんを呼べないならと、最近はオンライン配信をされるアーティストも増えていますね。しかしこれはあくまで私が感じていることですが、せめて配信でもとチケットを購入して鑑賞するも、そこにはやはり何かが欠けているような感覚があり、時間と空間を共有する中で生まれる特別なものは、そこには存在しえないのだと感じています。
そしてこの1年、残念ながら経営難で閉鎖して行く劇場やライブハウスをいくつも見てきました。この先アフターコロナの時が来たとしても、無くなってしまったものは簡単には元には戻りません。何とかして乗り越えて行ける術を見つけて欲しいと願うばかりです。
そんな中、コロナ禍に伴い、観客が安心して鑑賞できるニューノーマルな鑑賞形式を提案することを目的とされた、ちょっと変わった劇場を見つけました。
「月灯りの移動劇場」サイトより
穴から覗く「ソーシャルディスタンス円形劇場」
数十枚のドアを円形に囲うように配置して生まれた舞台。それぞれのドアは仕切られていて、それぞれが自分の目の前にある鍵穴や郵便受けの穴から、その向こうの舞台で繰り広げられるパフォーマンスを覗き見る。
そんなちょっと変わったカンパニーが名古屋にありました。パリを拠点に活動してきた浅井信好氏と奥野衆英氏によって、2015年に名古屋で創設されたフィジカルシアターカンパニー「月灯りの移動劇場」です。
この公演の興味深いところは、「穴から覗く」という行為によって、カメラのファインダーを覗く時と同じように画角が限定され、円形の限られた舞台の中で演じる人々のパフォーマンスに、より注視することになるという効果が期待されるところです。そのことによって、自分は外に居ながら、何かパフォーマーと自分だけの世界があるような感覚が生まれるのではないかと想像されます。
私が思うに、「覗き見る」という行為はまた、ヒッチコックの「裏窓」や江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」のような、何かちょっと後ろめたさを秘めていて、見てはいけないものを見てしまっているような感覚に襲われる。誰しもではないかも知れませんが、そういう感覚に惹かれてしまう。じつはそこがまた一つの魅力なのではないかと思うのです。
「月灯りの移動劇場」サイトより
覗き部屋や飾り窓そして、見せ物小屋などからの発展
この「Peeping Garden」という公演は昨年、新作として発表されたものですが、【名古屋芸術大学舞台芸術領域開設記念事業Peeping Garden | re:creation】として、この夏8月21日から再演されるようです。
「月灯りの移動劇場」のサイトには、こんなことが書かれています。
――ソーシャルディスタンス型移動劇場は、負の文化として過去のものとなった、覗き部屋や飾り窓そして、見せ物小屋などからアイデアを発展し、美しい舞台美術に昇華した。覗き見るという鑑賞手法に注目することで、鑑賞者と演者が互いの視線を通常の舞台より強く感じるように舞台美術を緻密に設計している。
コロナ禍に伴い、経済や社会情勢、SNSなどの情報化によって互いが互いを監視し、検閲するような歪な関係性などの現代社会の問題を覗き見るという視点によって体感して欲しいと考える。――
名古屋芸術大学を皮切りに、全国8都市10会場で10月24日まで開催されるそうですので、ちょっと体験してみるのも面白いかも知れませんね。
ルグランでは、二酸化炭素の濃度をセンサーで測定して数値化するシステムを利用した、店舗・施設向けサービス【seeO2now】を取り扱っております。
ライブハウスや飲食店など、安全であることをアピールすることが難しい店舗や施設の経営者様に、集客のひとつの策として是非ご利用いただければと思います。
ご興味のある方は是非こちらもご覧ください。