今回、広告やマーケティング関連のイベントで世界最大と言われる「Advertising Week 」(以後Ad week)が、アジアとして初めて東京で開催、それを聞きつけたルグラン若手社員が、イベントの様子をレポートします。
今年で13年目となるAd weekは、毎年ニューヨーク・ロンドンを舞台に、広告業界の先端を走る人々が集まり、セミナーやワークショップイベントを行っているそうです。5月30日から4日間、東京ミッドタウンで行われたアジア初のイベントでは、毎日30以上のセッションが開催され、様々な業界のプロフェッショナル達が登壇するとのこと。
このイベントに参加するには、有料パスが必要となりますが、25才以下と学生は特別割引が適用され、基本料金よりも安く参加することができます。おそらく、今後この業界を盛り上げるため、若い人達にも学びに来て欲しいという意図でしょう。
私達も、若さを利用し、割引料金で参加。大変参考となるお話を十二分に聞かせていただきました。
では、その中のひとつ。
レオス・キャピタルワークス株式会社CIO、藤野英人氏のお話をご紹介します。
この方は投資運用会社の最高投資責任者(CIO)であり、自身が運用する投資信託、「ひふみ投信」のファンドマネージャーでもあり、投資のプロの目から見た、今の広告やマーケティングについてお話しされていました。
その中で、三菱の創業者、岩崎弥太郎の原点についてのお話しがとても印象的でしたので、内容について簡単にご紹介します。
日本を代表する財閥、三菱グループの礎を築いた岩崎弥太郎。しかし、生まれは決して裕福とは言えず、弥太郎は材木商として生計を立てていました。ところが商売を始めた当初は、なかなか材木は売れませんでした。頭を抱えていた弥太郎に対し、妻は「おまけをつけてみたら?」と助言します。そこで弥太郎は、木彫りの観音様を彫り、それをおまけとして材木を売り始めます。
が、一向に売れる気配がありません。
ある時、売りに訪れた家の主人から、「トイレが壊れているから、その材木で直してくれ。そしたら、修繕に使った分の材木代を払ってやる」という依頼があったそうです。弥太郎は藁にもすがる想いで、トイレを丁寧に治すと、主人は大喜びで代金を払ったそうです。 そこで弥太郎は思いました。おまけは材木自体なのであったと。自分が売っていたのは材木ではなく、安心や安全という心の体験を売っていたのだ。
この学びが、三菱を創業した岩崎弥太郎の原点になったそうです。
人は嬉しいとか、快適、安心という気持ち、つまり、ユーザーエクスペリエンス(UX)に対してお金を払うのだということを、再認識させてくれた岩崎弥太郎のエピソード。
どんな時代でも、ビジネスで成功した人達は、UXの重要性に気づいていたのですね。
次回も印象に残ったセッションについて、いくつかレポートさせていただきます。