2016.09.29 | ソーシャル

ここ数年、世界的な和食ブームに引っ張られるように、日本酒の輸出が拡大しており、世界最高クラスの醸造技術をもって造られた日本酒の味は外国人をも魅了しているようです。
日本酒を好きな方なら、『獺祭(だっさい)』という名を耳にしたことがあるのではないでしょうか。獺祭は、酒造好適米として知られる酒米『山田錦』を使って造られている純米大吟醸酒で、飲みやすさからこれまで日本酒に接してこなかった人にも好まれ、その人気は海外にも及び、パリのソムリエも絶賛しているそうです。2015年4月の安倍首相訪米の際にホワイトハウスで開かれた公式晩餐会の乾杯に、獺祭大吟醸が選ばれたということが報じられ、国内外で評判となりました。世界22か国で販売され、“SAKE”といえば獺祭と言われるほどの地位を確立。あまりの人気ぶりに、入手困難な状況になっているようです。

獺祭

和食ブームに乗じて、年々輸出量を伸ばしている日本酒。一方、焼酎の輸出量は横ばい。海外における焼酎の知名度が低いほか、日本と海外との間での蒸留酒に対する捉え方の違いなどの影響もあって、焼酎の輸出は伸び悩んでいるようです。(国税庁調査参照)

国税庁

この背景の一つに「飲み方の提案の乏しさ」があるのではないでしょうか?
海外では、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒(スピリッツ)は食後酒であることが多いのですが、焼酎は食中酒として日本で根付いており、この違いが輸出を困難にしている面もあるようです。例えば、清酒は醸造酒であるため、「ライスワイン」と表現することで馴染み易くなりますが、焼酎の場合、「これはワインなのかスピリッツなのか」と消費者を惑わせる場合があるようです。食中酒として売り込む場合は、どのような和食や現地の食事と組み合わせ、また、どのようなかたちで(お湯割り、水割り、ロック等)飲むのが良いか、現地の食習慣も踏まえつつ具体的に提案していくことが重要なのかもしれません。

もう一つの理由は、「焼酎」の知名度の低さが挙げられます。焼酎を知らない国において、消費者が輸送コストや課税がかかった高価な焼酎を買う、というアクションを起こすためには、製造側が他のアルコールよりも割高な焼酎を買う理由を示さなければなりません。例えば、ワインのように本格焼酎や酒蔵の歴史、各素材の特質、製造工程の特徴点などを分かり易く伝え、焼酎をより多くの消費者に理解してもらう施策も必要になるでしょう。※2015年国税庁調査
アベノミクスの成長戦略のひとつとして、日本酒を含むコメ類関連製品の輸出拡大を挙げています。TPP可決に向け、関税を清酒や焼酎を10年間で段階的に撤廃する方向とのことです。関税が撤廃されることで、これまで海外への販路拡大ができなかった酒造メーカーは新規市場の開拓など様々なプラスの効果を生み出すことができるでしょう。

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