2018.08.24 | イベント

先日8/1(水)にて、「カンヌライオンズ報告会:新生カンヌはどう変わったのか?総合的な分析をどこよりも早く」を開催いたしました。

今年も、多摩美術大学教授で元カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員の佐藤達郎さん、株式会社ワントゥーテンデザイン最高経営責任者の小川丈人さん、弊社共同CEOの泉浩人の講演、ならびに登壇者3名でのトークセッションを行いました。2回目となる本レポートは、小川さんのセッション内容をご紹介します。

65回目となるカンヌライオンズにとって、今年は変革の年でありました。セッションの冒頭では「新生カンヌライオンズ」にどのような変革が起きたのかを解説。

今年のカンヌに見られた5つの変化

 1.会期を8日間から5日間に短縮

2.重複受賞を防ぐため、エントリーは最大6つまでに限定

3.部門とカテゴリ数の削減

4.パスの種類の簡素化と低価格化

5.肥大化していた部門を統廃合、9つのトラックに整理(なお、サイバーライオン、インテグレイテッドライオンを廃止し、ソーシャル&インフルエンサーライオン、インダストリークラフトライオン、クリエイティブeコマースライオン、SDGsライオンを新たに追加)

Publicisグループの不参加やWPPのトップが資金の不正利用で会社を離れるなど、広告業界が激震の中カンヌが開かれたことも影響してか、今年の出品総数は前年比で20%程減少したとのことです。

次に、カンヌライオンズの歴史についてお話しいただきました。小川さんは2011年のカンヌから参加。2011年というのは、「International Advertising Film Festival」という言葉から「International Festival of Creativity」 という言葉に変わったタイミングで、既存の広告枠内のクリエイティブだけでなく、色々な仕掛けやコミュニケーションも評価しようという節目の年だそうです。

2013年には、電車事故防止を啓蒙する広告で、過去最大の最多受賞「dumb ways to die」が話題に。広告には社会をより良くする力があるという方向に象徴的なこの事例以降動きはじめ、それによりソーシャルグッドへの注目が集まっていったとのこと。また、昨年からブランドの存在意義というのが問われてきましたが、今年もその流れは変わらない等、カンヌの潮流についてお話をしていただきました。

今年は米大統領の言動やLGBTQ、難民問題といったテーマが多く見られ、2015年に国連が制定した「SDGs」が今年のライオンの一つとして新たに取り上げられたことにより、「SDGs」に関連するコミュニケーションが多く見られたようです。

その中から、フィルムのグランプリを受賞したP&Gの「The Talk」をご紹介。

事例①:「The Talk

概要:黒人家族の中で行われる黒人差別についての会話を描いたフィルム。プロダクトを想起させるシーンを一切排除し、徹底的にブランドの姿勢のみをフォーカスしたCMとなっています。家族の間で、人種差別や偏見に関する会話がなくなることを目指した本キャンペーンは、大きな話題になりました。消費者が毎日使う商品を販売するP&Gが、消費者にブランドに対する理解を深めてもらうために、社会問題をテーマに創られたこの作品は、巧みなブランド戦略とも言えそうです。

次にバーガーキングの「The RISE of Hackvertising」のセッションの中から、「Whopper Neutrality」を解説。Hackvertisingとは、何かをハッキングし、ブランドメッセージを入れる新たな広告手法だそうです。

事例②:「Whopper Neutrality

概要:ネットワークの中立性に対する問題点をワッパーの購入速度で表現。ネットワークの中立性というわかりにくい話題を、エンターティメント性を合わせてハックした本施策は、大きな話題を呼びました。教育的な観点からも評価され、また、ネットワークの中立性の規定を守るため、結果として200万人以上の署名が集まったそうです。

次回は、弊社共同代表泉浩人の講演とトークセッションのレポートとなります。ぜひ、お楽しみに!



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