2018.10.16 | コラム

・はじめに
こんにちは。ルグランCTOの佐藤です。この記事がはじめての記事になります。今後もホットなマーケティングテクノロジーの記事を書いてまいります!ぜひご愛顧ください。

つい先日、日本版ハイプ・サイクルの2018年版が発表されました。

プレスリリース

ガートナー社によりほぼ毎年発表されているこの資料、テクノロジートレンドを理解するための基礎資料として年々注目が高まっているようです。リリースをうけて人工知能やブロックチェーンなどの注目技術がピークアウトしたという報道がいくつか目に付きます。

しかし、私としてはリリース中にある「代表的な40のキーワード」の中に、ほぼ初見の単語がいくつか含まれていることが気になります。ブロックチェーンがピークアウトの記事を書いている記者には馴染みのある単語なのだろうか。。などと考えてしまいます。仮になんとなく雰囲気的に意味がわかるとしても、その正確な内容が間違っていると打ち合わせで恥をかくかもしれません。そこで、今回は意味のわからないキーワードについて検討してみます。

・ヒューリスティック・オートメーション
ヒューリスティックとは、意思決定や課題解決において体験的に得られた判断ロジックぐらいの意味で捉えるのが妥当かと思いますが、ヒューリスティックを活用したオートメーション(自動化)が注目されているということは寡聞にして知りませんでした。そもそも、ヒューリィティックという用語自身が生命体による判断の自動化・省力化というニュアンスをもつというのもあり、今ひとつ意味がわかりません。ちなみに、”Heuristic Automation”をgoogle schalerで検索してもあまり満足な結果が出てきません。ちなみにこの語は2016年から黎明期の単語として3年連続ランクインしていますが、一体誰が使っているのか想像もできません。バズワードとして流行らせたい勢力がいるのならせめて説明ページが検索に出てくるようにしてほしいものです。ドメインを取るなら今かなという気もします。

・WebスケールIT
“web”,“スケール”,”IT”いずれもとてもエンジニアに親しみのある単語ですが、一つになると全然意味がわかりません。しかし、検索すると少し解説記事が出てきます。

WebスケールIT | 製品情報 | 東京エレクトロンデバイス株式会社
の紹介によると

WebスケールITとは、クラウドサービス事業者が採用する分散システムによるインフラ構築の考え方です。運用管理に高度な自動化機能を実装することにより、ビジネスの俊敏性や予測に基づく自在な拡張、コスト削減を実現しています。

とのことです。
しかし、これだけ見ると、例えばAWSならECSとかLambdaといった、マネージドなインフラサービスを使った場合とどう違うのか全くわかりません。どなたか解説していただきたいものです。
一方で、マネージドサービスという概念で言えば、関連すると思われるDevOpsが幻滅期に入っています。おおお。大丈夫か俺たちのDevOps。かわいそうなDevOps。個人的には幻滅してる現場なんてないと思っておりますが。DevOpsの重要性が理解できない現場があるとしても。。。

・市民データ・サイエンス
個人的にはシビックテック界隈にすくなくない知人がいるし、一応研究でデータサイエンスの端くれにいた私ではあるのですが、それでも何を指しているのか私にはわかりません。
そう思って検索してみると、【Infostand海外ITトピックス】「市民データサイエンティスト」が活躍? 専門家でなくてもデータ分析 – クラウド Watchが出てきました。

この記事によれば、このプレスを行っているガートナー社の定義した単語のようで、

Gartnerは市民データサイエンティストを「高度な分析、あるいは診断的・処方的な機能でモデルを生成・作成するが、統計や分析を専門としない人材」と定義している。例えば、研究者でも専門の分析担当でもない営業マンが、Excelでデータを分析して仕事に活用する姿の延長上と言ってもいいだろう。

ということですが、正直一読しただけでは意味がわからない。

まず、市民データサイエンティストというのは定義からして「統計や分析を専門としない人材」ということは確定ですね。それってデータサイエンティストなのだろうか。。と言う疑問は別にして、非専門的人材であるにもかかわらず、「高度な分析(略)でモデルを生成・作成する」ということらしい。おそらく統計モデルはわからないながらも「俺達は雰囲気で◯◯をやってる」といった感じで分析する人が市民データサイエンティストなのだろう。ずいぶん市民もバカにされたものである。しかもシビックテックと全く無関係とは意外すぎる。

・ポストモダンERP
個人的には毎日読みたいかっこいい日本語にラインクインしました。しかしカタカナで”ポストモダン”と書かれるとどうして前世紀に流行した思想的な専門用語を考えてしまいます。というか他にあるのか。仮にそう考えると、かっこよすぎる形容矛盾!。なぜなら従来のERP(Enterprise Resource Planning)こそ、常に変化する外部環境に俊敏に対応する、効率化された組織観に基づいているからです。要はコテコテの近代的組織観を元にしているERP、それにポストモダンをつけるセンス。おそらく私の思考回路のどこかが間違ってるのだろう。

なお、検索した結果の中にガートナー社自身の説明リンクがありました。

Postmodern ERP – Enterprise Resource Planning – Gartner

Postmodern ERP is a technology strategy that automates and links administrative and operational business capabilities (such as finance, HR, purchasing, manufacturing and distribution) with appropriate levels of integration that balance the benefits of vendor-delivered integration against business flexibility and agility. This definition highlights that there are two categories of ERP strategy: administrative and operational.

何かを語っているようで何も語ってない文章の見本のようだ。。。

とこんな調子で書いていたら分量が大幅にオーバーしたのでこの辺でやめておきます。

そんなわけで、デジタルマーケターの皆さんには、技術的本質を見誤らせるバズワードにだまされることなく正しい施策を検討していただければと思います。ルグランでは正しい技術知識に基づいた効果的なマーケティングをサポートしています。



Back to Blog Top