2018.08.09 | UX

北風と太陽の話をご存じでしょうか。力比べをしようとした北風と太陽が、どちらが旅人の上着を脱がせることができるか勝負する話です。北風は思い切り風を吹きつけることで旅人の上着を脱がせようとしますが、旅人はかえって上着にしがみついてしまいます。一方で太陽が照りつけると、旅人は暑くなって自分から上着を脱いでしまう、という結末ですね。
一般的にこの寓話の教訓は、「手っ取り早く物事を解決しようとするより、ゆっくり着実に行う方が大きな効果を得ることができる」もしくは「冷たく厳しい態度で人を動かそうとするより、暖かく優しい言葉を掛けることで初めて人は自分から行動してくれる」ということだと言われています。
北風が用いた手法と太陽が用いた手法の最も大きな違いは、太陽は旅人が「自分から」上着を脱ぐように仕向けた、ということです。このブログでは、相手の自発的な行動を促すような工夫が見られる事例を紹介したいと思います。

– ゴミの分別で様々な「報酬」がもらえるサービス「WASTED」
紙パックを集めてトイレットペーパーと交換してもらった経験のある方も多いと思いますが、オランダの首都であるアムステルダムでは、ゴミを分別することで様々な報酬が受け取れるサービス、「WASTED」というサービスがあります。市内のごみ箱に設置されているQRコードを読み取り、ガラス、段ボール、プラスチック、衣類など、分別されたごみの写真をアップロードすると、利用者に「コイン」が与えられ、このコインを使って提携している店舗から様々なサービスが受けられる、という仕組みになっています。


– 一杯のコーヒーから自転車の割引まで!魅力的な報酬の数々
貯めたコインを利用して受けれるサービスには様々なものがあります。カフェやレストランならコーヒーやビールなどの飲み物が無料でついてきたり、アパレルショップで好きな商品を割引できるだけでなく、自転車ショップでの割引やヨガのコース、スケートボードのレッスン割引なんていうものまであります。
QRコードを使ったシステムも、コインと引き換えにサービスを利用する仕組みも、すべてはこの「報酬」によって利用者に自発的にごみの分別を促すことが目的なので、肝心の報酬が幅広く用意されているのは魅力的です。

– 面倒なことをいかに自発的にやってもらえるか
何かサービスを提供する上で、提供する側がやって欲しいことの中には、利用者からすると面倒だったり、やり辛いと感じることが沢山あります。
ありがちなのが「会員登録」。せっかく会員登録したのに特にありがたみが感じられなかったり、登録するのに必要な手続きや入力しなくてはならない情報が多すぎたりして、効果的に活用するのは案外難しかったりします。場合によっては会員登録をしなくてもサービスを利用できるのに、わざと会員登録が不要な方法への導線をわかり辛くしているサービスもありますが、これでは冒頭の北風とやっていることが同じで、最悪の場合会員登録どころかサービスの利用を思いとどまってしまうかもしれません。そうならないように、利用者に選択肢を与えた上で、それでも自発的に登録してくれるような工夫が必要です。

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