2019.10.21 | UX

10月1日からの消費税10%への引き上げに伴い、政府による需要平準化施策として、増税後の9か月間に限り、キャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援するという「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施されていますね。

キャッシュレス決済サービスとひとくくりにすると、クレジットカードに始まり、Suicaなどの交通系電子マネー、プリペイドカードなど、様々なタイプがあります。その中でも最近、最も注目が集まっているのが、ポイント還元などを積極的に行っているQRコード決済サービスなのではないでしょうか?

最近はPayPay、メルペイ、LINE Pay、d払い等々多くのQRコード決済サービスが乱立しています。消費者にとっては、どのサービスを使うべきなのか判断がつきにくいと考えられます。消費者があるサービスを選ぶにあたり、また、継続して使用するにあたり、そのサービスのUX(ユーザーエクスペリエンス)が非常に重要だと考えます。

そこで今回は、一大学生である筆者が実際に使ったことがあり、また、QRコード決済サービスの中でもメジャーな「PayPay(ペイペイ)」と「メルペイ」について、UXの観点から優れている点と改善したほうが良いと思う点について考察してみました。

■PayPay

優れている点

・アプリダウンロードから登録までが簡単な操作でスムーズに終わる点。ユーザーが新たにサービスに登録するときに最も面倒なプロセスが、個人情報登録だと考えます。しかし、筆者はソフトバンク・ワイモバイルユーザーであったため、1分もしないで登録を終わらせることができ、登録に関してめんどくささを感じることはありませんでした。

・使用できる店舗が多い点。普段の行動範囲である東京の都心部はもちろん、筆者が群馬に観光に行ったときに、観光スポットにある小さなお店でも使えることを知り、PayPay1つスマホに入れていればどこでも支払いできるのだと非常に便利に感じました。

・支払う度に数パーセント分の残高が付与される点。PayPayの残高確認ページからPayPay残高がいくらGETできたのかを分かりやすく確認できます。それによって使う度に得した気分になり、また使いたいと思わせることができるのではないでしょうか。更に1,000円以内の支払いであれば全額返ってくるキャンペーンを実施しているため、実質無料で買い物できる可能性もあり、もし当たれば、お得感が増すような仕組みも用意されています。

改善したらよいと思う点

・登録するのは楽でも、銀行口座登録が面倒な点。筆者は三菱UFJユーザーであるため、銀行を紐づけられませんでした。その代わりにジャパンネット銀行への登録を勧められましたが、新たに登録するにはモチベーションがより必要になってしまい、とても面倒だと感じました。このプロセスにおいて筆者のみならずユーザーが離脱してしまう可能性が高いと思われます。

・アプリを開いた瞬間に残高が確認できない点。買い物するときにいくら残っているのか確認したいとき、すぐに残高が分かる必要があると思いますが、PayPayのメイン画面には残高は表示されません。バーコードの部分をタップすれば表示されますが、その仕組みに気付きにくいと思いました。

■メルペイ

優れている点

・メルカリユーザーなら新たにアプリをダウンロードする必要はなく、ほぼノンストップで使い始められる点。アプリをダウンロードするまでの時間は短ければ短いほどユーザーの離脱は少ないように考えられるので、メルカリアプリ内にメルペイを設置している点は優れていると思いました。

・報酬がすぐに手に入ることで、新規ユーザーを獲得しやすい点。先日まで行われていた「すすメルペイ」キャンペーンでは、手続きは面倒でしたが、報酬として1,000円分のポイントがすぐに手元に入る仕組みを取り入れたことで、その面倒な手続きを乗り越えるインセンティブを持たせ、新規ユーザーの獲得を可能にしていました。実際に筆者も家族の何人かに「すすめるペイ」しました。

・Apple Payに紐づけることで、アプリを開くことなく支払いができる点。パスコードを解除して、アプリを探してアプリをタップする、という面倒な手間を省き、ロック画面からパスコード入力だけで支払いができるので、現金や他の決済サービスで払うよりも、素早く決済できる点が便利だと思いました。

改善したらよいと思う点

・ポイントカードの登録がメルペイ経由でできない点。PayPayではTポイントカードの紐づけが可能になっていますが、メルペイではその導線が見当たりません。ポイントカードを使うには、PontaやTポイントカードなどそれぞれをApple Walletに連携する必要があるようですが、その手続きが面倒なので、結局、筆者のようにポイントカードをお財布から取り出すユーザーが多くいるのではないかと考えました。

以上、PayPayとメルペイをUXの観点から考察しました。

今回ブログを書くにあたり、改めてPayPay・メルペイそれぞれについて調べていたのですが、両サービスに共通して、「銀行口座の紐づけ」や「ポイントカードの連携」というが煩雑なプロセスであるという印象を受けました。この2点について、更なる改善が求められると考えます。

サービスをユーザーに使ってもらうには、ユーザーにとって何がハードルになっているのかを見極め、そのハードルを解決していくというUXデザインにおける細かな取り組みが重要です。このブログを読んでいる方でUXデザインにお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にルグランにお問い合わせください。



Back to Blog Top