先週、12月11日にAppleが新型Mac Proを発売しました。この新型Mac ProはWWDC 2019で発表された、前モデルの黒い筒型からフルモデルチェンジしたモデルになります。この新型Mac Proが話題を呼んでいるのはそのスペックと価格です。最低スペックでの価格は59万9800円から始まり、カスタマイズしていくとフルスペックで550万円以上になります。そして同時に発表されたPro Display XDRとそのスタンドであるPro Standも決して安くはありません。なぜこのスペック、価格帯の製品をAppleが発売したのかを考察していきたいと思います。
まず新型Mac Proのカスタマイズできる部分とその価格設定を見てみましょう。まず中身のカスタマイズ性。プロセッサはIntel Xeon Wプロセッサで、8コアから28コアまで選ぶことができます。メモリは32GBから1.5TB。ストレージは256GBから4TBのSSDストレージから選択できます。これらをフルスペックにカスタムした時点で500万円を超えます。専門的な話になってしまうので中身の話はこのくらいにして、次に周辺機器面を見てみましょう。まず本体のボディータイプについて。12月11日に発売開始されたのはMac Proのタワー型のモデルで、ラックマウントに入るタイプのラックマウント型も「まもなく登場」との表記があり後日発売されると思われます。そして本体につけるキャスター。タワー型、ラック型共に約18kgあるのでワークスペース内を移動させたりする人にとってはキャスターが必須だと思います。そのキャスターをつけると44,000円。そして今回同時に発表されたモニターであるPro Display XDR。標準ガラスのもので約53万円。Nano-textureと呼ばれるコーティングを施すことにより約60万円にもなります。そして話題にもなっていたのがPro Display XDRを取り付けることのできるPro Stand。こちらは要するにモニター用のスタンドですが、スタンドだけで10万円するということが話題になった原因です。全てではありませんがこれらが新型Mac Proの現時点でのカスタマイズ性になります。しかし今回のMac Proは購入時のスペックで買いきりというわけではありません。一つ前の世代のMac Proではほとんど排除されていた拡張性というUXが再びMac Proに戻ってきたのです。
新型Mac Proを現時点でフルスペックにして購入する人はほとんどいないと思われます。なぜなら前述した拡張性ゆえのものです。メモリを始めCPUでさえ換装可能という拡張性を持ち備えています。AppleのMac Pro購入ページではすでに後から購入し、換装可能と思われるグラフィックスやメモリについて上位のスペックのものが登場予定と記載されています。これにより自分のスタイルにあったワークステーションを組み立てることができるのです。
しかし議論としてあがるのが今回のMac Proを含めたApple製品の価格上昇についてです。これについて私はあまり共感していません。Apple製品の価格はそのスペックの面でも、市場においても妥当な価格なことが多いと思います。近年よく発表される「Pro」という名前のつくApple製品。iPad ProやiMac Proなどプロ用機材として開発されたハードウェア達です。これらはいわばノーマルのiPadやiMacよりも高性能であり価格が高くなるのは妥当だと言えます。またMac Proに関しては同じ「Pro」の名を冠していますがいわゆるパソコンではなく、このハードウェアは業務用の「ワークステーション」。すさまじい価格はこれまで触れてきた拡張性や高効率の空冷技術、その安定性などから意外にも妥当だと言えると思います。ですがパソコンやタブレット、またそれらのプロフェッショナル用モデル達が妥当な価格であっても、多くの人が不満を覚えるのはAppleのアクセサリーかもしれません。わりかし消耗品に近いマウスやキーボードは公式では安価なモデルは出ておらず、サードパーティー製のものを使うこともよくあります。しかし今回のディスプレイスタンドが10万円といったようなことも今に始まったことではありません。過去に発売されたApple製品では、SoundSticksやiPod Hi-Fiなどのスピーカーが2~3万円だった例があげられると思います。たかがスピーカーでこの値段かと思う人もいたかもしれませんが、SoundSticksに関してはHarman/kardon製で、このメーカーは高級車のカーオーディオなどを手掛けている一流オーディオメーカーです。このようにひとつのアクセサリーにもこだわりを持つからこそ時に信じられないような価格にもなるわけです。
Apple製品の価格について考察してみました。今回のMac Proにもみられるように、とても高額な価格帯の製品が多い現在ですがその裏を見てみると思ったよりも考えられた理由があります。市場のニーズを察知して拡張性というUXを復活させたAppleのように、あなたのビジネスも見直してみると思わぬ改善点があるかもしれません。