誰しも子どもの頃、様々なおもちゃで遊んだことがあるでしょう。私もお気に入りのおもちゃがいくつもあり、大きくなるにつれ、遊ぶおもちゃも変わっていきました。一方で、以前遊んでいたおもちゃがどこにいったのか、その頃は気にも留めておりませんでした。
フランスでは毎年、4,000万個以上のおもちゃが廃棄されているといいます。いくつかの原因としては、おもちゃが壊れたが修理代がかかる、壊れたおもちゃのスペアパーツが手に入らないなど。そこで、3Dプリンターを扱うことで知られるフランスのDagomaという企業は、様々なおもちゃのパーツのデザインデータを無料で提供する「Toy Rescue」を公開。このサイトにて、パーツのデザインデータをダウンロードすることにより、誰でも3Dプリンターでおもちゃのパーツを3Dプリントし、欠損したパーツと交換できるようにしました。
さらにDagomaは、「そもそも3Dプリンターを持っていないよ」という声にも応えており、3Dプリンターを持っていない人が、3Dプリンターを持っている人に、パーツのプリントを依頼できるオンラインコミュニティを運営しています。現在、公開しているおもちゃのデザインデータは100個ほどですが、今後もさらに増やしていく予定のようです。
これらの施策を展開したことにより、地球環境の改善に繋がるのは勿論、ユーザー視点からみると、「おもちゃを修理できるところを探す」・「おもちゃを梱包して発送する」といった煩わしい手順をなくし、3Dプリンターさえあれば、費用をかけず、いつでも修理することができるので、すぐにそのおもちゃで遊びたい子供やその親御さんにとって、適切なUXを提供しているといえます。なによりこの施策は、感情移入がしやすい”おもちゃ“視点であることも、ユーザーの支持を得られやすい重要なファクターになっているように思います。
おもちゃの修理のハードルを下げることで、壊れて捨てられそうなおもちゃに一つのチャンスを与えるという本施策は、色々と学ぶべきところが多そうです。
ルグランでは業種業界問わず、様々なUXに関するお手伝いを行っており、新たなUXの創出や既存のUXの改善のために、ワークショップの企画・開催や、ユーザー調査、競合サービスの調査など、様々なメニューをご用意しております。
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[参考] AdGang