2021.10.07 | コラム

暑さ寒さも彼岸までと申しますが、ようやく夏の暑さは落ち着き、秋の気配が感じられるようになって参りました。みなさまにとっては、秋はどのような季節ですか? スポーツの秋?食欲の秋?読書の秋?それとも芸術の秋でしょうか?

ひと口に芸術といっても色々ありますが、近年デジタルアートの世界で変化が起きていることをご存知でしょうか?

NFTの登場で変化してきたデジタルアートの世界

Beeple’s Everydays: The First 5,000 Days (2021), a non-fungible token that sold at Christie’s.

今年の3月、Beepleというデジタル・アーティストの作品がクリスティーズのオンラインセールにて75億円で落札されたというニュースが話題になりました。

 時代の進化と共に、アート作品がつくられる方法も進化し、新しい手法としてCG画像や動画を作品として残したり、デジタル・データで製作される作品の可能性はどんどん広がっています。

しかし、元々デジタルアートは複製が作りやすいため、どれがオリジナルなのかを見極めることは難しく、その価値を確立することが難しいという問題がありました。

そのためデジタルアートのクリエーターには、広く作品を知ってもらうためにWebで展示したいものの、複製されることを考えると難しいというジレンマがあったようです。

それが近年、NFTの登場によって複製の心配が解消され、オリジナルであることの価値が急激に上がってきたというのです。

「NFT(Non-Fungible Token)=非代替性トークン」とは新たな認証技術のひとつで、クリエーターの作品につけるオリジナルの証明書のようなものです。そしてNFTは、ひとつの作品をオリジナルとして複数設定することもできるので、版画家が限定枚数摺るのと同じように、同じデータに複数のNFTを設定することで、限定数販売といったことも可能になります。

デジタルアート以外の市場にも広がるNFT

じつはアート以外の世界でも、NFTを利用した新しい販売形態やサービスの提供が展開され始めています。

まず、NBA Top Shotをご紹介しましょう。

NBAはご存知の通り八村選手も活躍している、世界的人気のアメリカのプロバスケットリーグですが、そのNBAの選手のプレー動画を取引・収集できるデジタルカード(コレクションゲーム)がNBA Top Shotです。

NFTを活用することで、データ(カード)の偽造や複製を防止できます。

またデジタルカードはすべてNFTとして発行されており、データであるにも拘らずそれぞれのカードが唯一性を持っています。今までのトレーディングカードと違い、選手のプレイのハイライト動画がトレーディングカードになっているところが特徴で、中には、スタープレイヤーのカードが約20万ドル(約2100万円)で販売されるなどの高額取引もあったそうです。

販売は今までのトレーディングカードと同じで、カードの内容は購入するまで分からないパック仕様になっています。価格帯はカードの希少性などにより変動し、また、すべてのカードを収集すると新たなカードが獲得できるイベントを不定期に開催するなど、カードを集めるインセンティブも組み込まれているようです。

NFTは国内でも注目されています。音楽業界の例として、人気ボーカルグループのPafume の例をご紹介します。

(Source: NFT Experiment

毎回、世界最先端の映像技術を駆使したライブパフォーマンスで話題を呼んでいるPafumu ですが、2021年6月にPerfume初のNFTアート「Imaginary Museum “Time Warp” – Reconstruction」を発売、8月には新たに制作されたNFTアート全7作品が販売され、話題になっています。

本作はPerfume結成20周年とメジャーデビュー15周年を記念して開催されたオンライン・フェス『“P.O.P” Festival(Perfume Online Present Festival)』で披露したパフォーマンス「Imaginary Museum “Time Warp”」で使用したデータを元に創られた映像作品となっていて、演出振付家MIKIKOによる振付の中のPerfume3名の象徴的なポーズが3Dデータを用いて制作されています。

音楽業界の話題をもうひとつ。

米ロックバンド「Kings of Leon(キングス・オブ・レオン)」は、ニューアルバムを初めてNFT(代替不可能トークン)形式でリリースしました。

こちらのNFTは3種類あるのですが、中でもユニークなのはライブを最前列で見られるという特典です。この特典は、2次販売マーケットで新たな購入者が購入した場合も次のバンドのツアーで同様の特典を受け取ることができるそうです。

このアルバムは、Spotify、iTunes、Apple Music、Amazonなどでもリリースされていますが、「YellowHeart」のウェブサイトで購入できるアルバムだけがNFT版の特典付きの商品となっています。(*YellowHeartとは、すべてオープンなブロックチェーン上で販売が行われるチケット発行のプラットホームのひとつ)

昨今では、ライブチケットにおいても電子チケットの販売が増えてきています。これからは、あらゆるジャンルでのデジタル化が進み、新しい生活に則した新しい形態やサービスが生まれてくることでしょう。

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