2022.10.27 | コラム

あなたは毎朝、天気予報をチェックしてから出掛けますか?

天気予報を見て、今日は夕方から雨が降るらしいから傘を持って行こうとか、いつも出掛ける時間帯は酷い降りになりそうだから少し早く出掛けようとか、そんな方も多いと思います。

近年、そんなお馴染みの天気予報だけでなく、宇宙天気予報の強化が検討されているのをご存じでしょうか?

「宇宙天気予報」って何?

宇宙にも天気予報があるの? 宇宙でも雨や雪が降るの? 何だか自分にはあんまり関係なさそうな話だよね、と思われた方もいらっしゃるかも知れませんね。

まだあまり馴染みのないこの「宇宙天気」。私たちが一般的な知識として知っている天気とは少し異なります。宇宙天気は、現在、地球から太陽までの範囲で起こる磁気や放射線などの変化が観測の対象となっています。

太陽フレアという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 学生時代の理科の時間、遠い記憶で聞いた覚えが……という方もいらっしゃるかも知れませんが(私もその一人です。笑)、太陽フレアとは太陽における爆発現象のことです。

今、宇宙天気予報の必要性が話題になるのは、この太陽フレアの影響で、高速の太陽風や高エネルギー粒子が地球に降り注ぎ、通信・放送・人工衛星、航空・船舶無線や電力網にも影響を及ぼすことがあるからです。

つまり、遠い宇宙の話のようでいて、実は私たちの生活に必須の社会インフラへの影響と直結しているのです。

今、太陽は太陽嵐の影響が大きくなる極大期という時期にあります。この太陽嵐のために、前回の極大期にはカナダで大停電が起き、数億円の被害を出しています。この話は1989年のことですから、デジタル化が進んだ現代ではもっと大きな被害が予想されます。

総務省が公表した「極端な宇宙天気現象がもたらす最悪シナリオ」

総務省では、この地球的規模の課題にグローバルに対応するべく、国際連携の強化も視野に入れています。そこで今年の6月に、最悪シナリオと提言を盛り込んだ、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書を公表しました。

「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書

100年に1回、またはそれ以下の頻度で発生する極端な宇宙天気現象の発生時に、我が国において発生し得る最悪の被害の様相を「通信・放送・レーダー」「衛星運用」「航空運用」「電力分野」それぞれの社会インフラの分野に分けて、被害の発生直後から2週間後までを想定して取りまとめたものです。

なお、このような最悪シナリオの策定は日本では初めての試みで、今後も不断の見直しと修正が行われるべき、と添え書きされています。詳細は、上記リンクより報告書をご確認ください。

以下はその内容の一部抜粋です。

■通信放送・レーダーへの被害がもたらすもの

・携帯電話システム(UHF 帯)には、太陽電波バーストの影響を受け、昼間の時間帯に最大で数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで 2 週間にわたり断続的に発生する。その結果、回線のふくそうや通信の途絶が発生し、緊急通報(110 番、119 番、118 番)を含む全ての通信がつながりにくい事態が各地で発生する。また、スマートフォンからの携帯電話事業者経由のネット接続も困難になる。

・一部のレーダーについて、太陽電波バーストにより昼間の観測能力の低下が 2 週間にわたり断続的に発生する。気象観測用レーダー、航空管制用レーダー、防衛用監視レーダー、船舶用レーダー、沿岸監視用レーダー等の社会生活を支える公共用システムに多大な支障が生じる。その結果、航空機や船舶の運航見合わせが発生し、安全保障分野にも影響が生じる

■衛星測位への被害がもたらすもの

・衛星測位システム(GPS 衛星、準天頂衛星みちびき等)は、測位精度の大幅な劣化や測位の途絶が全国的に 2 週間にわたり断続的に発生する。このため、カーナビゲーションや自動運転、ドローンの位置精度が大幅に低下し、衛星測位に係る冗長系や安全対策を持たないシステムを運用した場合、最大で数十メートルの誤差(ずれ)が生じ、その結果、衝突事故が発生する。また、安全確保のための運行見合わせが 2週間にわたり断続的に発生する。

・スマートフォンの位置情報の精度が劣化するため、緊急通報(110番、119 番等)を発信した際、緊急通報位置通知の精度が劣化し、緊急時の駆けつけが遅れる。フードデリバリーの配達業務において、利用者個人や利用宅への荷物のピンポイントの配送が困難になる。

■衛星運用への被害がもたらすもの

・全ての衛星について慎重な運用を強いられ、気象衛星の利用制限により、天気予報の精度が劣化する。通信衛星の利用制限により、衛星通信の利用が困難になる。放送衛星の利用制限により、衛星放送の視聴が困難になる。測位衛星の利用制限により、衛星測位の利用が困難になる。

■航空運用への被害がもたらすもの

・衛星測位精度が劣化により通常レベルの運航頻度を維持することができなくなるため、世界的に運航見合わせや減便が 2 週間にわたり多発する。

■電力分野への被害がもたらすもの

・電力系統においては、磁気圏じょう乱により地磁気誘導電流(GIC) が発生し、設備上・運用上の対策を措置していない電力インフラに おいては、保護装置の誤作動が発生し、広域停電が発生する。

気象情報は未来を良くするためにある

いかがですか? 遠い宇宙の関係ない話どころか、最悪の場合は私たちの日常生活もままならない状況が待っていそうですね。

太陽活動はおおよそ11年周期で変動するそうなので、次に太陽の活動が活発になるのは3年後の2025年ごろになります。必要以上に恐れることはありませんが、情報を得て備えておくことは、恐れずに日常の生活を送るためにも大切なことではないでしょうか。

日本国内でも情報通信研究機構(NICT)が宇宙天気に関する研究を推し進めています。今後宇宙天気がもっと社会に浸透していくにつれ、いずれはメディアでも天気予報だけでなく、宇宙天気予報のコーナーが当たり前になる日が来るかも知れませんね。

以前放映されていたNHKの朝ドラでの気象予報士さんのセリフに、「気象情報は未来を良くするためにある」というセリフがありました。

数日先までの気象情報の精度は、昔に比べて上がっています。少し先の未来の情報を知ることで、未来をよりよくすることができるようになってきたと言えるのではないでしょうか?

ルグランでは、そんな発想から、気象データを利用した広告でよりよい未来を提供できるのではないかと考え、気象連動型の広告配信ツールを開発いたしました。

広告がユーザーにとって迷惑なものではなく、有益な情報であるように。

ご興味のある方は、是非お問い合わせください。



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