2023.07.31 | コラム

はじめまして。6月からルグランにジョインしました石丸と申します。
2017年頃にはIBMのThe Weather Company事業部に所属しており、気象とビジネスの関係性の面白さに気づき、満を持して今回ルグランに参加させて頂くこととなりました。

さて早速ですが、日本における昔からの成句に、「風が吹けば桶やが儲かる」という言い回しがあります。
何か事が起きると巡り巡って思いがけない意外なところにも影響が出るという意味です。“巡り巡って”という所が経済活動そのものを指しているように思えますし、今の株価の反応などとも同じで、思い掛けない所で関連が発生していると言えるのではないでしょうか。
コトのはじまりが「風」という気象現象であることがとても興味深く、何かが変わる前触れである。と昔の人も考えたのではないでしょうか。
また、世界で見ても次のような同じような表現があります。

  • 北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる
  • アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる

どちらも気象現象で表現されているのが非常に面白い所です。
これらは1匹の小さな蝶からはじまり大きな影響が出る。ということからバタフライ効果とも言われています。
1つの小さな現象が、とある場所では大きな影響になっている。という示唆であり、現象を発見できれば、予測(大きな影響)も出来るようになるのではないか。と考えた方が良いのかもしれません。

「weather」どうしてウェザーなのか?

こういう時は語源を確認するようにしています。
どうやら、wedraなどの古い単語の「意味:空気、風、天気」が語源のようです。
そもそもの語根である”we-“に「吹く」という意味があり、やはりここでも「風」がはじまりであったと言えそうです。

まさに、気象現象のはじまりは「風」です。風のはじまりは気圧の変化です。気圧が変化するということは、天気が変わるというサインです。昔の人達もこれを体感して理解していたという事にほかならないと思います。
気圧という概念自体が科学的に定義されたのは、1643年にイタリアの物理学者トリチェリさんが発見した時からなので、まだまだ最近の事であると言えます。(参考元

気象は、人々の行動に大きな影響を与えている

天気図を毎日作るようになったのは、1853年のクリミア戦争でのフランス軍の当時最新鋭の戦艦が台風のような低気圧の影響によって沈没してしまったのがきっかけと言われています。(参考元)気象を予測することによって大きな損害を回避することが出来ると考えたからです。日本においても、それから25年遅れた1883年には最初の天気図が作られ暴風警報の発表があり、その翌年(1884年)から天気予報がはじまりました。

ship

気象の予測をするためには、膨大な観測データと予測するための膨大な計算式が必要です。 現在短期的な詳細(約5km四方の解像度)の予報は2週間先まで提供されています。しかし、2週間先の予報自体がそのまま的中するのは中々まだまだ難しいです。文字どおり刻一刻と気象条件が変化していってしまうためにその時の予測とはズレた内容になってきてしまいます。現在コンピューターで計算されているこの「数値予報」ですが、数値予報のアイデアを最初に考えたのは、イギリスのリチャードソンという人でした。彼は、ヨーロッパの6時間後の予報を、1か月以上かけて手で計算していました。6時間後の予報を事前に提供するためには、6万4000人もの人を一度に集めて計算させる必要がある。という並行処理の夢を持っていましたが、当時は実現できませんでした。考え方としてはその並行処理を今のコンピュータ上で実現していると言えます。ただ現代のコンピューターでも限界があり、短期予報が2週間先になっているのもこの多重処理の限界のためでもあるのです。

では、この予測性能が今後高まる可能性があるのか?

Tokyo city

この辺りの内容を8月2日の講演の時に続きお話をさせて頂ければと考えております。テレビやラジオで流れている「お天気予報」は、気象データを活用した1つのコンテンツです。ビジネスシーンでもっと気象データを活用することが出来ると考えております。そのためには企業を持っているデータと気象データを掛け合わせる必要があります。その事で将来の大きな損害を回避することができるかもしれません、大きな販売機会を獲得することができるかもしれません。ここは是非みなさんと一緒に考えさせて頂きたいと思っております。

第5回PeatixカバーWMセミナー



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