2024.12.25 | コラム

オーバーチュアが日本で検索連動型広告のサービスを本格的に開始したのが2002年の12月。オーバーチュアのサービス開始を伝える当時のITmediaの記事を見ると、「検索サイトで入力されたキーワードに連動した広告サービス」といった表現になっていますが、全く新しい形の広告サービスだったので、メディアの方々からも「このサービスを何と呼べば良いのか?」と聞かれたことを思い出します。そこで、当時、オーバーチュアのマーケティングを統括していた弊社共同CEOの山辺が、これを「検索連動型広告」と名付けたことで、以後、この呼称が広く使われていくことになります。

デジタルマーケティングのルールブック

その後、検索連動型広告市場の誕生をきっかけに、日本のインターネット広告市場は大きく成長することになり、検索連動型広告を扱うインターネット広告代理店の中から、上場企業が次々と誕生するようになったのはご承知の通りです。

2006年からデジタルエージェンシーとして活動を始めた弊社も、まさにインターネット広告市場の成長と共に18年歩んできた訳ですが、最近、特に感じることはデジタルマーケティングについて多くの企業が抱える根本的な課題は、オーバーチュアが日本に進出した22年前から、さほど変化をしていないということです。

たとえば、ここ数ヶ月の間に、弊社に寄せられたご相談を見てみると、

・検索連動型広告のキーワードってどうやって選べば良い?
・GoolgeとYahoo!って何が違うの?
・検索とディスプレイ、どちらに予算を配分するのが良いの?
・効果測定ってどうすれば良いの?タグって何?
・広告代理店から戦略的な提案がもらえない。
・数字を羅列しただけのレポートしか出てこない。
・媒体が推奨する施策をやっておけば安心なの?

などなど、多くの広告主は、私が拙著『Yahoo! Googleの検索連動型広告を最大限に活かす SEM成功の法則』を書いた2008年当時と同じような疑問や悩みを抱えています。

ただ、これを「デジタルマーケティング業界が進化してない」と片付けてしまうことは正しくないと考えています。むしろ、雇用環境や人事制度などによる影響が大きいのではないでしょうか。

1. 終身雇用 x ジョブローテーション

以前に比べれば、転職もあたりまえになりつつありますが、特に大企業においては、新卒で入社した会社で勤め上げる人もまだ多くいます。社員に様々な仕事を経験させることを目的とした人事制度を採用する会社も多く、この結果、デジタルマーケティング部門には、定期的に「新人」が配属されることになり、また、一定の経験を積んで「ベテラン」になる頃には、定期異動によって別の部署に転属されてしまいます。こうした環境では、個人のレベルでも組織のレベルでも、なかなかデジタルマーケティングに関する知識や経験が蓄積されにくいという問題があります。

2.学ぶべきことは時間の経過と共に増え続ける

日本に検索連動型広告市場が誕生した22年前には、まだスマートフォンもYouTubeもInstagramもありませんでした。こうしたテクノロジーやメディアの変化は、デジタルマーケティングの戦略にも新たな可能性や選択肢をもたらしてきた訳ですが、一方でデジタルマーケティングの経験がない「新人」にとっては、知っておくべきことが膨大に膨れ上がっています。またこうした変化は止まることが無いので、「来年の新人」は「今年の新人」よりも、間違いなく多くの情報を吸収・理解することが求められます。

弊社が開発・提供している天気に連動した広告配信システム weathermarketing.net®は「ポストクッキー時代においても広告接触者のコンテクストを理解した広告配信ができる」といったことが特長の1つになっていますが、そもそも「クッキーがどのように使われてきたのか」「コンテクストを理解した広告配信がなぜ必要なのか」といったことがわからないと、「ポストクッキー時代」にどう向き合うかもわからないということになります。

今日のデジタルマーケティングは、言ってみれば、免許を取り立ての新人ドライバーでもF1カーに乗れてしまうような環境です。ドライバーの知識や経験値を上げていかないとF1カーの本当の価値は理解できませんし、事故を起こしてしまう危険もあるでしょう。

2025年には、弊社も創業から20期目を迎えます。

検索連動型広告市場の誕生から今日まで、デジタルマーケティングに携わってきた知識と経験を活かし、本ブログでは『デジタルマーケティングのルールブック』というテーマで、特に、人事異動や入社・転職をきっかけにデジタルマーケティングに携わることになった方々に向けて、デジタルマーケティングの歴史や基本的なロジックなどを体系的に理解してもらうための情報を積極的に発信していきます。それにより、多くのマーケターの方々が、正しい知識をもとに、最新のテクノロジーやメディアを活用できる環境を提供していきたいと考えています。

2025年がマーケターのみなさんにとって実り多き1年となるよう、弊社も精一杯努めて参ります。



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