先月8/8(木)に「今年もやります!カンヌライオンズ報告会:カンヌウォッチャーがどこよりも早く包括的に解説」を開催。元カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員で多摩美術大学教授の佐藤達郎さん、株式会社DECEM 取締役CCO 小川丈人さんのご講演、ならびに弊社共同代表泉のショートプレゼンと、登壇者3名によるパネルディスカッションを行いました。
セミナーレポートの最終回は、泉のショートプレゼンと、パネルディスカッションの内容をご紹介いたします。
■今年のCreative eCommerce部門を解説
昨年のレポートでもご紹介いたしましたが、2018年より、秀逸なUXやカスタマージャーニーを実現・提供し、結果として売上の向上に繋がった施策を評価するCreative eCommerce部門が新設されました。UXデザインやデータドリブンマーケティングを行っているルグランとしては、スタッフ一同、毎年注目している部門となります。
まず、Creative eCommerce部門でグランプリを受賞した「DO BLACK」をご紹介。
事例:DO BLACK|Doconomy
概要:スウェーデンのクレジットカード会社が、購入した商品から二酸化炭素の排出量を推測し、二酸化炭素の排出量が一定の値に達すると、カードの利用が制限されるクレジットカードを開発。通常のクレジットカードは限度額に達すると、カードを利用できなくなりますが、今回開発されたカードは二酸化炭素の排出量でカードの利用が制限されるため、消費者はショッピングをする際に環境を意識することになります。
Creative eCommerce部門の審査委員長であるDaniel Bonner氏は、テクノロジーを土台としたクリエイティブな手法やアイディアが登場したことで、ショッピングの場はECサイトや店舗に留まらず、あらゆる場面に原子レベルで拡散している、と発言しているとのこと。泉はこれを受け、ショッピングの起点は地球上のあらゆるところにあるので、それを活用して行くべきではないか、と語っておりました。
このような観点から、次に紹介したのは、メキシコの製薬会社であるGSK(グラクソ・スミスクライン)の「THERAFLU TRACKER」という事例です。
事例:THERAFLU TRACKER|GSK
概要:メキシコ全土のどこでインフルエンザのリスクがあるのかを、リアルタイムで知ることができる予測モデルを構築。さらに気象情報やソーシャルデータを使い、どこでインフルエンザが流行りそうかがわかると、そこをターゲットに、適した広告を配信したことで商品の売り上げに貢献したとのこと。
Creative eCommerceで評価された事例を見ると、「ECサイトをどう改善するのか」という議論ばかりではいけないのではと、セッションを締めくくりました。
■パネルディスカッション
登壇者3名によるパネルディスカッションでは、参加されたお二人が現地の雰囲気についてお話下さいました。
今年のカンヌライオンズでは、パーパス(ブランドの存在意義)を示した事例が評価される中、日本人の参加者からは「これは日本だと難しいのでは…」というコメントがあったり等。
これに関し小川さんは、背景には自社のクリエイティブやクライアントとの関係による周りの制約条件が影響しているのではと分析、また佐藤さんは、パーパスを示す場合は表面的にやることは絶対に出来ないので、そこのハードルはあるのでは、と話されておりました。
一方で、一風堂は今年の参院選にて、投票したら替玉か玉子を無料にするキャンペーンを行ったり、パタゴニアは投票日に直営店を全店閉店とするなど、国内においても社会課題に対する企業の動きはあるので、今後は変化は見られるかもしれない等、熱いディスカッションが繰り広げられました。
ルグランでは皆さまのビジネスのヒントとなるセミナーやイベントを随時開催しております。
ぜひ、お楽しみに!