会期は今年から2日に短縮されましたが、サーチ・ディスプレイ・ソーシャルなど、様々なチャネルを俯瞰して、マーケティングの全体戦略を考えるという視点から、幅広いテーマのセッションが組まれている点では、昨年参加したClickZ Bangkokと似た構成になっています。
一方で、リスティング広告の最適化やSEO戦略について、かなり実務的・テクニカルなテーマを扱うセッションも、所々に配されており、この辺が”SES”という名称を残した理由なのかもしれません。
ちなみに、SESロンドンに参加するには、約20万円の費用がかかりますが、初日のキーノートセッションから、会場はほぼ満員の盛況でした。
初日の基調講演に登壇したのは、フランスの総合電機メーカーSchneider Electric社でデジタルマーケティング戦略を統括するShawn Burns氏。
講演のテーマは「IoTが変えるコマースの世界」というものでしたが、特に印象的だったのは「製品」よりも「サービス」を磨けという言葉でした。
これまでメーカーは、より良い製品の開発や製造に血道をあげてきましたが、今日、多くの「製品」は、ネットワークで結ばれた「システム」の中で機能する時代になり、今後、消費者は誰かが創り上げた秀逸な「システム」を使って、様々な目的・タスクを達成できるようになる可能性が高くなると考えられます。
そうなると、そのシステムの中に組み込まれていない製品は、どんなに良い製品でもスキップされて使われなくなるというリスクに直面することになります。例えば、ITを駆使したエネルギー管理の「システム」構築に長けた新興企業が、突如、GEのような伝統企業のライバルとなって表れるかもしれない。
Burns氏の講演は、IoT時代に生きるメーカーの危機感や、新たなビジネスの可能性にも言及した、非常に興味深い話でした。
本ブログでは、この後も引き続き、SESロンドンで見聞きした最新情報などをご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。