Yelpのソーシャルメディア戦略について話すAkenhead氏
登壇したAkenhead氏は、「Yelpを支えているのはレビューと、それを読み書きしている人たちのコミュニティ」であり、頻繁にレビューを書く「ヘビーユーザー」と良好な関係を築くことが、自らの最大のミッションであるとした上で、仕事を進める上で大切にしている3つの原則を紹介しました。
1. コミュニティを見つけてこちらから働きかけよ
クチコミサイトの利用者は、好きな時に、好きなことを、自分の感じたままに書き込むだけで、「本当はこうして欲しかった。」「こうすればもっと良くなる。」といったことを、わざわざ伝えにきてくれる訳ではありません。
たとえば、あるお店について、気になる評価やコメントが交わされているといったことを発見した場合には、こちらから、そういう書き込みをしている人たちに積極的に働きかけることで、彼らの「真意」を把握できる可能性が高まります。
2. 意見やアイディアを組み上げる仕組みを作る
Yelpにとって、ユーザーと同じくらい大切なのは、広告を出してくれる飲食店などのオーナー達ですが、ユーザーから、好き勝手な評価にさらされたり、「自分達からカネをむしり取ることばかりを考えている」とYelpを毛嫌いするオーナーも少なくないそうです。
そうしたオーナー達の理解や協力を得るための仕組みとして、Yelpでは、「モノ言うオーナー」達をアドバイザリーカウンシルのような組織に取り込み、彼らの意見を吸い上げるような機会を設けたりすることも有効だと言います。
3. 特にヘビーユーザーとの関係を大切にする
Yelpに書き込まれる「好き」「嫌い」というコメントや評価は、あくまでも各人の「主観的」な評価である訳ですが、一方で、読み手からすると、そうした評価も、お店の良し悪しを判断する「客観的」な基準として受け止められてしまう傾向があります。
主観にもとづく評価やコメント自体を変えたりすることはできませんが、頻繁にコメントを書くヘビーユーザーがネガティブな書き込み・評価をした場合には、他のユーザーにも少なからず影響を与えることになります。特にそうしたコメントに対しては、決して感情的にならず、丁寧な回答をすることが求められます。
クチコミサイトにおいては、ネガティブな評価やコメントへの対応が常に難しい問題となります。ネガティブなコメントや評価を受けたときほど、真摯かつ丁寧に回答することで、評価者本人の気持ちを変えることはできなくとも、そのやり取りを見ている他のユーザーに対しては、良い影響や印象を与えることができる可能性が高くなる、というアドバイスで、Akenhead氏は、講演を締めくくりました。