先日、全世界で発売が開始されたiPhone 7。
防水機能の搭載や、モバイル史上最高とも言われる液晶画面の美しさが話題になる一方、Suicaなど日本の電子マネーに使われている通信規格「フェリカ」に対応した端末を、日本だけに投入するという販売戦略にも注目が集まっています。
<Suicaも使えるようになったiPhone 7>
(Apple社公式サイトより)
世界的にはiPhoneの販売が伸び悩む中、成長を続ける日本市場を重視した戦略とも言われていますが、今回のiPhone 7の発売は、日本でどのように受け止められているのか、クチコミデータから検証してみましょう。
下図は、毎年iPhoneの新しいモデルが発売される頃の1ヶ月間(8/16〜9/15)において、iPhoneに関するブログの書込数の変化を見たものです。
ご覧の通り、iPhoneに関するブログへの書込は年々減少傾向にあり、iPhone 6sが発売されたと昨年の同時期と比べると約32%、iPhone 6が発売された2014年からは約46%減少しています。
Twitterへの書込数を見ると、昨年から今年の減少幅は約4%と、ブログよりも変化は少ないですが、2014年との比較では約34%の減少と、iPhoneに関する話題量は、Twitterでも減少傾向にあるようです。
次に、iPhoneに関するブログへの書込を年齢別に見てみます。
10代〜20代からの書込が大きく減少しているのに対し、40代〜50代からの書込は伸びていることが分かります。
Twitterでは、媒体の特性もあり、10代〜20代による書込が全体の8割近くを占めていますが、それでも、2014年と比較すると、この世代からの書込の割合は83%→76%に減少する一方、30代〜40代による書込は15%→22%に伸びており、やはり、iPhoneに関するクチコミの高年齢化が進んでいます。
ここから言えることは、日本では、iPhoneが「ガジェット」から「実用家電」に進化したことで、より多くの利用者を獲得することに成功した、ということなのかもしれません。
シニア層においても、徐々にフィーチャーフォン(ガラケー)からスマートフォンへの切替が進んでいますが、「使っている人が多いから安心」といった理由で、iPhoneが選ばれる。
一方、多くの若者も、引き続き、iPhoneを使ってはいますが、自分の親世代も使うことが当たり前になった今、iPhoneは、もはや「持っていることが自慢になる」というガジェットではない。それゆえ、Twitterやブログに登場する機会も減っているのではないでしょうか。
iPhone 7で使えるようになったSuicaも、それ自体は、極めて実用に特化した機能です。そういう意味で、アップル自身も、iPhoneの実用家電化を充分に認識した上での戦略と言えそうです。
今後も、iPhoneは「家電」として更に日本での利用者を増やし続けるのか、それとも、目新しいガジェットを求める若者層を中心に、日本でも、早晩「iPhone離れ」の動きが加速していくのか、今後の動向が注目されます。