2016.10.20 | ビッグデータ

25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たし、その後のクライマックスシリーズも制して、日本シリーズへの進出を決めた広島東洋カープ。

ちなみに、25年前、広島カープの優勝を支えたのは、江藤・川口・北別府。こう書くと、野球ファンの方なら、本当に久しぶりの優勝であることを実感されるのではないでしょうか?

実に、四半世紀ぶりとなる優勝に、カープの地元・広島は大いに盛り上がっていることでしょうが、カープの人気についていえば、今年の優勝で一気に火が付いたという訳ではなく、むしろ、ここ数年にわたり、拡大を続けたファンの支援が、ついに今年、25年ぶりの優勝という形で結実した、という見方をした方が良さそうです。

下図は、広島カープに関するソーシャルメディアへの毎年の書込数の推移と、本拠地であるマツダスタジアムへの観客動員の推移を示したものです。(2016年9月は優勝決定に関する書込などが一気に増加していることから、こうした特殊要因を排除するため、毎年4月〜8月の書込数で比較しています。)

ソーシャルデータで辿るカープ人気の高まり01

これを見ると、広島カープに関するソーシャルメディアへの書込は、2012年以降、毎年増え続け、年率に換算すると11%近いペースで伸びてきたことが分かります。

一方、マツダスタジアムへの平均観客動員数を、球場の収容人数(33,000人)に対する比率でみると、こちらも年々伸び続け、2015年〜2016年にかけては平均でも90%を超えており、どの球団が相手でも、年間を通じて、広島でのホームゲームは、ほぼ満席に近い状況になっています。

一般的には、チームが強くなると観客動員も増えると言われますが、カープの場合、確かに、過去数年間は、安定的にAクラス入りを果たしてはいるものの、2012年〜2016年の過去5シーズンを見ると、このうち3年間は負け越しており、決して「常勝球団」になったといえる状況ではありません。

では、カープ人気を支えた要因は他にあるのでしょうか?その1つと考えられるのが、ファンを増やすための球団側の創意・工夫です。

たとえば、広島カープの本拠地として2009年に完成したマツダスタジアムは、その建設にあたり、球団職員が国内外の球場を視察して、ファンに喜ばれる球場作りについて研究を重ねていたと言われています。

この結果、他の球場には無い、ユニークな観戦席が作られたほか、「サヨナラTシャツ」に代表される球団グッズの開発や、交通費を負担して首都圏のファンを広島に連れてくるという大胆な施策などが奏功し、地元広島のコアなファンだけでなく、全国にファン層を広げていくことになりました。

こうした変化は、ソーシャルデータからも見てとることができます。たとえば、広島カープに関する書込が行われたソーシャルメディアを見ると、ブログやTwitterの比率が年々減少する一方、2ちゃんねるからの書込の割合が増えていることが分かります。ソーシャルデータで辿るカープ人気の高まり02

これは、Twitterやブログで熱心にカープに関する書込を行うコアなファン以外にも、多くの人が、さまざまなメディアで、良くも悪くも、カープのことを話題にする人が増えてきた結果と言えるのかもしれません。

また、書込をした人を男女別に見てみると、特に、2014年〜2015年にかけて女性の割合が増えていることが分かります。2016年になると比率としては、前年比で減少していますが、一方で、全体のクチコミ数は増えていますので、女性ファンの絶対数は引き続き、増加していると推察されます。ソーシャルデータで辿るカープ人気の高まり03

広島を応援する女性ファンが「カープ女子」と呼ばれて注目を浴びたことは、ご存じの方も多いと思いますが、球団側のさまざまな努力と工夫によって、ファン層が、女性にも拡大していった様子は、こうしたデータの推移にも表れています。

10/22(土)からの日本シリーズでは、いよいよ日本一の座をかけて、広島カープが日本ハムと対戦します。全国に広がったファンの声援を受けて、広島カープは、32年ぶり・4度目となる日本シリーズ制覇を果たすことができるでしょうか?楽しみに、見守りたいと思います。

 



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