日本でも注目を集めたアメリカの大統領選挙。「クリントン優位」というメディアや専門家の事前の予想を覆し、トランプ氏が、アメリカの次期大統領に選ばれることになりました。
(CNNウェブサイト・大統領選挙特集ページより)
この結果については、アメリカでも、“Political Earthquake”(政界の大地震)といった言葉と共に、驚きをもって受け止められる一方、わかりやすい言葉で、一般大衆の興味・関心を上手に惹きつけたトランプ氏の戦略を、クリントン氏は過小評価していたのではないか、という見方も広がっています。
アメリカでの投票行動とは直接関係はありませんが、両候補に関する日本でのクチコミの動向を見てみると、やはり、良くも悪くも、人々の話題の中心にいたのはトランプ氏であったことが分かります。
下図は、投票までの過去半年間について、両候補に関するブログ上での累計話題量の推移を示したものですが、ご覧の通り、話題量では、トランプ氏が、クリントン氏を終始リードしていたことが分かります。
Twitterについては、その差は更に大きく開いており、今回のアメリカ大統領戦況について、我々、日本人の話題の中心は、常にトランプ氏であったことが分かります。
また、CNNが行った出口調査によると、投票した人の62%は、誰に投票するかを9月までに決めていた、と回答しています。
確かに、日本においても、9月の時点では、既に両者の話題量には大きな差がついており、「ロッカールーム発言」や「Eメール問題」など、10月〜11月にかけて注目を集めた、両候補の失言やスキャンダルは、実は、有権者の投票行動には、あまり大きな影響は与えなかった可能性が高いとも言われています。
人々の価値観が多様化していくと、日本も含め、多くの先進国では、政党や政治家も、「保守」か「革新」か、といったイデオロギー的な対立軸だけで、人々の支持を集めることは難しくなっていると言われています。
こうした状況の中、今回のトランプ氏の勝利は、人々の生活に直結する問題に焦点をあて、それを分かりやすい言葉で語りかけることに徹したコミュニケーション戦略の結果、といえるのかもしれません。
日本でも、かつて小泉元首相が、「シングル・イシュー」「ワン・ワード・ポリティクス」といった手法で、いわゆる無党派層も含めて、多くの支持を集めたと言われましたが、今後、日本の有権者も、生活に直結する、短期的で、かつ分かりやすい問題の解決を訴える政治家や政党を支持するという傾向が強まっていくのでしょうか?