みなさん、岩手県にある釜石という街をご存じですか?
(Google Mapより)
往年のラグビーファンならば、「新日鉄釜石」という名前を覚えているかもしれません。「鉄とラグビーの街」として知られた釜石ですが、製鉄所から高炉の火が消えたことで、人口減少が続き、さらに2011年の東日本大震災では、津波による壊滅的な被害を受け、多くの人命も失われました。
震災から約7年を経た今も、土地のかさ上げや防潮堤建設の工事が続いており、釜石では、震災からの復興が、まだ道半ばであることを感じさせられます。
一方で、2019年のラグビーワールドカップ招致をはじめ、釜石では、産学官が一体となって、街の未来を創るための取組も進められています。
そのような中、この度、釜石市海商工連携(6次産業化)推進事業の一環として、公益財団法人 釜石・大槌地域産業育成センターからの依頼を受け、地域の事業者の方々を対象とした商品開発のためのセミナー・ワークショップを開催することとなりました。
<セミナー風景>
主な目的は、地域の事業者の方々が、全国に向けて販売できるような商品の企画・開発のお手伝いをすることですが、ワークショップに先立ち開催されたセミナーでは、商品の企画・開発にあたり、UX視点を取り入れることの重要性を中心に、お話をさせて頂きました。
● 地元の産品を使って商品を作るという生産者・販売者視点ではなく、誰に必要とされる商品にするのかという視点を持たなければ、膨大な選択肢の中から、選ばれ続ける商品を産み出すことは難しい。
● そのためには、「誰の」「どのようなニーズやウォンツ・課題」に応える商品なのかを考えることが重要である。
● 「何を誰に売るか」ではなく、「誰が何を求めているのか」を考えるクセをつけよう!
セミナーには、約50名の方が参加されましたが、普段、UXという言葉には馴染みが薄いと思われる方もあり、「UX視点で考える」ことの意味や重要性を体感してもらうため、以下のような簡単な「ワーク」も行いました。
セミナー会場に、全国から集めた40点の土産物の写真を並べ、参加者の方々には、以下の3つのシチュエーションで、それぞれ、自分なら、どの商品を選ぶかを投票してもらう、というものです。
1. 職場の同僚に「とりあえず」何か買って帰る。
2. とても親しい友だちに「ひとひねり」工夫を感じさせるお土産を選ぶ。
3. 地元では見つからないものをネットで「お取り寄せ」してみる。
<ワーク風景>
予想通り、それぞれのシチュエーションで、全く違う商品が選ばれる結果となり、参加者の方々には「解決すべき課題や、満たすべきニーズ・ウォンツが変われば、商品の選択も変わる。」ことを実感して頂くことができました。
続いて、午後からは「モデル企業」に選定された5社の事業者の方々と、具体的な商品の企画・開発プランを作成するためのワークショップが始まりました。
ワークショップでは、まず、他の観光地で販売されている、いくつかの土産物を、実際に手に取りながら、それらの商品は「誰の」「どのようなニーズやウォンツ・課題」を目指して開発されたのかを考えてみることで、「消費者・購入者の目線」を身につけるための「脳トレ」からスタートしました。
今後、このワークショップは、3月まで継続的に開催され、最終的には、各業者の方々から、それぞれ、新商品の企画・開発プランを発表して頂くことになります。
どのようなプランが出て来るのか、今から楽しみですが、その様子については、また機会があれば、本ブログでもご紹介していきたいと思います。