ヨーロッパを中心に、新型コロナウィルスの感染が再び拡大しており、フランスやイギリスなどでは、外出制限の措置も取られるなど、ようやく回復の兆しが見えてきた経済が、再び冷え込んでしまうことが懸念されています。日本でも、このところ、北海道などでも感染者の増加が目立ちますが、報道などによると、両者に共通する原因は「寒さ」ではないかと言われています。
季節の良い時期であれば、飲食店も、ドアや窓を開けて、充分に換気をしながら営業をすることができますし、テラス席があれば、外で飲食を楽しむこともできます。しかし、北海道より緯度の高いロンドンやパリでは、既に朝晩の気温は1桁まで下がっており、換気が不十分な室内で過ごすことが増えたことが感染拡大の一因と考えられています。
TNQLによると、11/4(水)の札幌の最高気温は6度と、かなり冷え込んでおり、北海道でも、テラスで食事を楽しんだり、ドアや窓を開け続けたりすることは、既に難しい状況にあると思われます。
実際、いまこのブログは、都内のカフェで書いていますが、常時ドアは開放されていて、換気という点では安心ですが、15時を過ぎたいま、ドアから入ってくる風は冷たく、上着なしで座っているとかなり寒く感じます。今後は、北海道以外の地域でも、飲食店などが、ドアや窓を開け続けて営業するのは、だんだんと難しくなるでしょう。
冬場の感染対策として、メディアでは「換気の重要性」が呼びかけられていますが、そこで大切になるのは、室内の温度や湿度を適切に保ちながら、どうやって換気を行うか、ということになりそうです。
いくら換気が大事だからといっても、ずっとドアや窓を開け放すことで、室内が寒く(あるいは暑く)なり過ぎてしまい、心疾患や熱中症など、別の疾病・疾患リスクを増やしてしまうのでは、意味がありません。特に、小さな子供達が利用する幼稚園・保育園や習い事の教室や、疾患を抱えた人たちが利用する病院・クリニックなどでは、換気も大事ですが、室内を適切な温度・湿度に保つことも必要になるでしょう。
こうしたニーズに応えるため、ルグランでは、CO2濃度を測定できるIoTセンサーを活用し、店舗や施設の室内環境を可視化し、データにもとづいて適切な換気を支援するための新たなサービス『seeO2now(シーオーツーナウ)』を立ちあげることになりました。
このサービスは、飲食店や美容室・クリニック・スタジオなど「密になりそう(と思われがちな場所も含め)」な場所にCO2センサーを設置し、センサーから収集されるCO2データから、店舗や施設の三密状況(特に密閉や密集)を可視化するものです。これにより、ドアや窓を常時開放しての営業が難しくなる冬場に向けて、店舗・施設の運営者が、データを見ながら、適切なタイミング・方法で換気や利用人数の制限などのアクションを取れるようにします。
また、換気によって室内環境が適切に保たれている店舗や施設に関する情報を公開することで、消費者も、自分が利用する店舗や施設を安心して選択できるようになります。
現在、東京と愛媛(松山)において、飲食店・美容室・クリニック・スタジオ・事務所・カラオケ店・パチンコ店・温泉施設などにセンサーを設置し、店舗や施設の利用状況とCO2濃度の関係や、換気の効果に関する実証実験を行っています。実証実験からは、色々な気づきも得られていますので、ご参考までに、いくつか、その事例をご紹介します。
<一見、密に見える焼き鳥やさん>
店内のCO2濃度(土曜日の夜)
この焼き鳥屋さんは、カウンターと2〜4人掛けのテーブルが4-5つほどある、それほど大きく無いお店で、雑居ビルの1階にあるため、天井も低く、一見すると、密になりそうな印象があります。
訪れたのは、10月のある土曜日の夜。感染症対策のため、カウンターの座席は「間引き」がされていましたが、テーブルが、1-2つ空いている程度で、常に8-9割方の座席が埋まっている状態でした。このため、CO2濃度はかなり高くなりそうだなと思って測定を始めたのですが、実際には上図の通り、CO2濃度が一方的に上昇することはなく、滞在した約1時間半の間、CO2濃度は600-800ppmに保たれていました。
厚生労働省が定める建築物環境衛生基準によると、建物内の空気環境について、CO2濃度は1,000ppm以下に保つことが推奨されています。このお店は、カウンターの目の前で焼き鳥を焼いており、その上では常時換気扇が回っています。このため、一見、密に見えても、実際には、相応の換気量が確保されているため、店内が混雑しても、室内環境は良好に保たれていると考えられます。
客席と厨房が近い小規模なビストロなどでも同様の結果が出ており、小さくても、きちんと換気が出来ているお店であれば、こうした情報を公開することで、消費者にも安心して利用してもらえることが期待されます。
<オープンカフェの窓が閉まると>
道路に面している大きなガラス戸を開けて営業しているオープンカフェ。測定をしたのは9月の終わり頃で、オープンカフェを楽しむには申し分の無い気候で、ランチタイムの混雑時も、CO2濃度は1,000ppm以下に保たれていました。
ところが、この時期はまだ蚊が飛んでいて、テラスに置いた蚊取り線香の煙が気になるということで、一時的に道路側のガラス戸を閉めたところ、CO2濃度が上昇。そこで、再び、ガラス戸を開けると、一気に換気が進み、CO2濃度も低下しました。
これから冬に向けて、常時ドアや窓を開放しての営業が難しくなっても、こうしたデータがあれば、店舗側では、必要なタイミングで換気が実施できることを示す事例となりました。
<窓を開けられないバレエスタジオ>
スタジオ内のCO2濃度
上図は約48㎡の広さのスタジオで、6-7人がバレエのレッスンをした際のCO2濃度の推移です。このスタジオは建物の2階にあり、窓もあるのですが、住宅地の中にあるため、近隣への配慮から,レッスン中は、窓を開けることができません。
レッスンが始まると同時に、CO2濃度はぐんぐん上がり始めたため、レッスン開始から約30分後に、スタジオの入口のドアにサーキュレータを設置し、室内の空気を外に出してみたところ、明らかにCO2濃度の上昇スピードが鈍化しました。(1分あたりのCO2濃度の上昇は約16ppm→6ppmに減少)
窓が開けられないという状態でも、サーキュレータなどで強制的に室内の空気を外に出すだけでも、一定の換気ができることが確認できました。
こうした実証実験を行いながら、seeO2nowは、12月より正式にサービスの提供を開始する予定です。もし、飲食店・美容室・飲食店や美容室・クリニック・スタジオ・学校・塾・教室等々、「冬場の換気対策をどうしようか?」と考えておられる方は、ぜひ、弊社まで、お問合せ下さい。
<お問合せ>
株式会社ルグラン(担当:岡田)Email:info@LeGrand.jp
(現在、弊社はリモート体制で業務を行っておりますため、お問合せ・ご相談はメールにてお願い致します。)