2020.07.30 | イベント

7/27(月)に開催した『コロナ時代を勝ち抜くための観光マーケティング戦略とは 〜奈良県吉野町が挑むデータドリブンな観光マーケティング〜』のレポートをお届けします。

本セミナーでは、一般社団法人吉野ビジターズビューローの事務所長 山川貢太氏をゲストにお迎えし、先般公開された多言語観光情報サイト『よしのーと!の制作を決めた背景や、同社の観光マーケティング戦略についてお話いただきました。

コロナで変わる旅行者意識の変化

依然として外出自粛が求められる状況の中、旅行者の意識は例年と比較して大きな変化が見られます。株式会社JTBの調査によれば、国内旅行に行きたいというニーズが高まりつつも、経済の先行きに不透明感もあることから、旅行の支出は減らしたいと考える人が多く、旅行者はこれまで以上に行き先を吟味して選ぶことが想定されます。旅行者に選ばれる観光地になるために、本当に求められている情報やコンテンツを提供することが不可欠なのです。

新たな多言語観光サイトの開発へ

桜で有名な奈良県吉野町ですが、更なる観光振興を図る上で、吉野町には以下の3つの課題がありました。

1)来訪者数の減少・伸び悩み 

2)春に集中する来訪者 

3)短い滞在時間

吉野町でも色々な調査を行った結果、春以外の季節について、吉野の魅力や楽しみ方がきちんと伝えられておらず、それが、夏〜冬の来訪者や観光消費の減少や、滞在時間の短さに繋がっているという結論に至りました。

そこで、旅行者のニーズ・ウォンツに寄り添い、きめ細かな情報を提供することで、こうした課題を解決・克服したいという吉野ビジターズビューローのご要望に応えるべく、ルグランでは、徹底してユーザー目線に立ったコンテンツ制作を行うことを基本方針に、まずは、ターゲットとなる旅行者のプロファイルやニーズを洗い出すための調査や、吉野町関係者の方々を交えたワークショップなどを実施し、多言語観光サイト『よしのーと!』において提供すべき情報や機能を、ユーザー目線で洗い出すというプロセスを取りました。

さらに、一人ひとりの来訪者の興味・関心に応じて、最適なコンテンツを呈示できるよう、かねてより開発に取り組んでいたルグラン独自の新たなマーケティングオートメーションツール『スマートUXを、この多言語観光情報サイトに実装することにしました。

定量・定性調査でペルソナを洗い出す

ルグランではまず始めに、日本や欧米・アジアの消費者を対象に、吉野町への観光意向を探るためのアンケート調査を実施し、その結果を踏まえて、今後、桜の季節以外でも、吉野町への観光に興味を示す可能性が高いと思われる日本人および外国人旅行者(=ターゲット層)のペルソナ像を設定しました。

アンケート調査の結果を見ると、国によって吉野町に魅力を感じるコンテンツに違いがあることが明らかになりました。たとえば、アメリカ人は自然などのアクティビティ、台湾人はグルメに興味・関心が強いなど、国ごとに趣向が大きく異なることが明らかになったのです。

<米国人旅行者のペルソナ設計例>

UXワークショップで仕様を検討

次のフェイズはUXワークショップの実施です。上述のようなプロセスを経て設定されたペルソナの人たちが、吉野町への旅行を検討〜来訪する場合の一連の行動(いわゆる「カスタマージャーニー」的なもの)に沿って、それぞれの場面でペルソナの人たちの思考や感情、特に不満や不安あるいは期待などについて、ワークショップ形式で意見を出し合いました。

そこで出された様々な意見・コメント集約し、最終的にはそれを「エクスペリエンスマップ」という形にまとめることで、旅行者のニーズ・ウォンツに寄り添うために、多言語観光サイト『よしのーと!』において提供・実装すべきコンテンツや機能を洗い出しました。

<エクスペリエンスマップの作成例>

マーケティングオートメーションツール『スマートUX』の開発・実装

上述の通り、事前のアンケート調査の結果、国や地域によって、吉野町に対する旅行者の興味・関心が大きく異なることが判明しました。その結果を踏まえ、ルグランでは来訪者の言語ごとに閲覧データを集計し、来訪者の興味・関心の高いコンテンツを自動的に表示できるよう、かねてより開発を進めていたマーケティングオートメーション(MA)ツール『スマートUXを『よしのーと!』にも実装することとしました。

『スマートUX』は、MA導入時のネックになりがちな「開発」や「シナリオ設定」に関する高度な知識やリソースが無くても実装を可能にした新たなMAツールです。Webサイトの来訪者・閲覧者の興味・関心に合わせて、最適な情報やコンテンツを優先的に表示させるだけでなく、人気の集中度に応じて、自動的にレイアウトを変更できるテンプレートも兼ね備えており、データにもとづき最適なUXを低コストで実現することができます。(現在、特許出願中)

来訪者・閲覧者の行動データについては、Google Analyticsのデータを自動的に取得・集計するので、トラッキングの設定や外部データベースとの連携は必要ありません。『よしのーと!』ではコンテンツのページビューを言語別に集計して最適化を行っていますが、GAで取得可能なデータであれば、滞在時間・離脱率・売上貢献などにもとづく最適化も可能です。また、『スマートUX』は、全世界のウェブサイトで広く採用されているCMS『WordPress』のプラグイン(+テンプレート)として対応しているので、観光情報サイトの他、コンテンツサイト・ブログサイトなどにも簡単に実装が可能です。もちろんWordPress以外の環境で制作されたWebサイトへの導入も可能になっております。新たにWebサイトを制作される場合はもちろん、既存のWebサイトに組み入れる形での導入・実装も可能ですので、是非ご検討ください。

観光ビッグデータ解析のこれまで、とこれから

続いて、ルグランのCTO(最高技術責任者)であり、データインテリジェンスにもとづくマーケティングリサーチを手がける株式会社アンド・ディの代表取締役でもある佐藤哲也からは『ビッグデータの10年と観光分野での活用』というテーマでお話をさせて頂きました。佐藤が手がけた観光ビッグデータ解析の事例を踏まえ、観光マーケティングにおいては「旅行者の事前知識(アタマの中)」を把握することが重要であるとした上で、その実現方法として、

1)公式サイトのアクセスログ解析 

2)ガイドブックのテキストOCR解析

3)関連Webサイトのクローラー開発

など、旅行者が「旅前」に利用する情報源を探るための「オルタナティブデータ」の活用事例について紹介しました。佐藤の講演内容については、こちらのブログもご覧下さい。

ルグランの観光振興ソリューション
ルグランでは、上記でご紹介した「多言語観光情報サイトの構築」の他にも、「観光情報コンテンツの制作」や「観光ビッグデータ解析」「気象と連動した観光情報レコメンド」などもソリューションとして提供しております。本記事をご覧になって、興味のある方は是非弊社HPもご覧ください。

▼お問い合わせはこちら

 

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■スマートUXについて

『スマートUX』はサイト来訪者の興味・関心に合わせて、サイトに表示する情報を自動的に最適化できるマーケティングオートメーションツールです。『スマートUX』は、データ連携やシナリオ設定に関する高度な知識やリソースが無くても実装可能なツールで、ウェブサイトを訪れる一人ひとりのプロフィールや興味・関心に合わせて、最適な情報やコンテンツを自動で表示する「マーケティングオートメーション」を、貴社のサイトでも低コストで実現することが可能です。

もし、30分ほどお時間を頂けるようでしたら、オンラインミーティングにて、ツールの詳細や導入事例、貴社におけるご活用イメージなどについて、具体的にお話をさせていただければと存じますので、ご希望の場合は、弊社ウェブサイトのフォームよりお問合せ・お申込み下さい。(なお、ウェブサイトのデザイン・制作・構築も含めてお手伝いをさせて頂くことも可能ですので、お気軽にご相談ください。)

▼スマートUXの詳細はこちら

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