1月末から日本でも使えるようになったClubhouse。みなさんは、もうお試しになられたでしょうか?
日本では、芸能人や政治家なども利用し始めたことで、利用者も急増しているようで、最近、夜になるとサービスが不安定になるのは、日本での利用者が想定外に急増したからではないか、などとも言われています。(中国でも利用できるようになったことが理由、という説もありますが。)
Clubhouseはどこに向かうのか?
今後どうやってマネタイズ(収益化)をしようとしているのか?
ビジネス・マーケティングにはどう活用できるのか?
などなど、色々と気になることはありますが、ここではClubhouseの規約を読みながら、Clubhouseはどんなサービスなのかを少し考えてみたいと思います。
ちなみに、このブログを書こうと思ったのは、先日、たまたま「Clubhouseの規約を知ろう」というテーマのルームに入り、そこで色々な方とお話したことがきっかけではあるのですが、実際にそのルームでは、規約のことは殆ど話されることなく、話のテーマも10〜15分ごとにどんどん変わり、終了したのは午前4時過ぎという、Clubhouseらしい(?)盛り上がりを見せたルームでありました。
なお、ここでは以下の3つの規約の中から、興味を引いた条項などをランダムにご紹介しています。
Community Guidelines(コミュニティ利用のガイドライン)
Clubhouseを提供しているのは、Alpha Exploration Co., Inc.という会社
昨年の春頃のサービスをスタートさせたようですが、まだ利用者が1,500人くらいの段階で、投資家からは約100億円の価値がある、という高い評価を受けたと話題にもなりました。
Clubhouseの商用利用はNG
この規約を読むと特別に許可を得た場合を除きClubhouseをビジネス・商売に使ってはいけない、とされています。また、利用規約の「べからず集」の中にも、
特別に許可を得た場合を除き、ビジネスを目的として、商品やサービスを宣伝してはならない、と書かれています。
一方で、最近Clubhouseの収益化プランの一つに、「サブスクリプション、チップ、チケット販売などにより、クリエイターがプラットフォームで収入を得る機能を導入する計画」があるという報道もありましたので、将来的には、Clubhouseが提供する機能・プランを利用し、おそらくそこから何らかの手数料をClubhouse側に支払うことで、商用利用も可能になっていくのではないかと推測されます。
ルームでの会話は目的を限定して、一時的に録音される
Privacy Policyを読むと、ルームでの会話は、
・参加者からトラブルの報告が有った場合に対処することを目的に録音される
・トラブルの報告が無かった場合には、ルームが終了したところで、録音も削除する
・録音された音源は暗号化される
といったことが書かれています。
TwitterやFacebookなどと違い「ログや記録が残らないこと」がClubhouseのメリットとされていますが、運営者も基本的にルームでの会話の記録は残さないとしています。
個人を特定できない形での個人情報の利用
Privacy Policyを読むと、Clubhouse上でのユーザーの属性・行動データ(デバイス・位置情報やClubhouseの利用情報など)は収集され、サービスの改善や新たな機能の開発などに利用されると書かれています。また、個人情報については特定されないよう、合計/集計データとして活用されると書かれてます。
ちなみに、上述のルームでの会話記録(から抽出あるいは推察される会話のテーマやトピックなど)が、個人情報を特定されない合計/集計データとしても使われることがないのかは、よく分かりません。(マーケティングデータとしては、かなり利用価値がありそうですが。。。)
録音も記録もダメ
利用規約の「べからず集」の中には、スピーカー全員の書面による合意が無い限り、ルームでの会話を録音することは許されないとあります。
また、コミュニティガイドラインにも、
当事者全員の許諾が無い限り、ルームでの会話を録音することも、内容を書き取ることも、またそれを複製することも許されないと書かれています。ちなみに「スクリーンショット」については、必ずしも「禁止」するものでは無いが、その利用方法が不適切とみなされた場合には、Clubhouseの利用を禁止する、と書かれています。
ちなみに、Clubhouseに参加されたことがある方は、お分かりになると思いますが、モデレータは参加者の中からも、自由に「スピーカー」を指名することができるので、実際、多くのルームでは、途中でスピーカーがどんどん増えていきます。また、プロフィール欄に書かれているTwitterやInstagramのアカウント情報以外に、スピーカーの連絡先を知る方法はないので、「録音や記録を取られることについて、ルームの主催者が事前にスピーカーの承諾得て開催しているルーム」以外、現実的に、一般の参加者が、全スピーカーの同意を得た上で、録音や記録を取ることは難しいだろうと思われます。
なので「政治家/芸能人の誰々が、Clubhouseでこんなことを言っていた!」といった記事を書くことは、原則としてできなさそうですね。
大手のメディアなどは、コンプライアンスの観点から、こうした規約も読んで対応するのでしょうが、今後、日本でもClubhouseのユーザーが増えてきた場合、おそらく、殆どの人は、英語で書かれたこうした規約やガイドラインを読まないと思われます。なので、そうした人達が、不用意にルームでの会話を録音したり、その内容をSNSなどで公開した場合、それをClubhouse側がどういう形で管理あるいは取り締まるのかは興味深いところです。
フォロー目的の無言部屋はNG
1/6にガイドラインの改訂があり、フォローを依頼したり、フォロワーを増やすことを目的とする利用は認めないというルールが追加されました。1月下旬に日本でもClubhouseが利用できるようになると、参加者がお互いにフォローをしあうだけで何も喋らないという「無言部屋」がたくさん生まれましたが、実際には、1月の初めにそれを禁止するルールが設定されていたことになります。
こうしたルームを開設したり、あるいはそこに参加したりすることは、「ガイドライン違反」となり、最悪、Clubhouseの利用を停止されてしまうかもしれませんので、みなさんご注意を。
ちなみに、ガイドラインの冒頭には、PrinciplesというClubhouse利用の基本原則が掲げられていますが、
この最後にも「Clubhouseは意味のある、(意図できではない)自然な繋がりを持つ場」であると記されています。
今後、Clubhouseが日本で、そして世界で、どのように使われ、成長していくのか、興味はつきませんが、まずは、ルールを守って,楽しく利用してみたいと思います。