2021.05.06 | UX

第4波ともいわれる新型コロナウィルス感染の再拡大により、大阪や東京など4都府県では、昨年に続き、緊急事態宣言の中でゴールデンウィークを迎えることになってしまいました。

 不特定多数の人が利用する飲食店や商業施設、映画館・劇場といった施設においては、様々な感染症対策が求められていまが、その最たるものは、休業や営業時間の短縮です。こうした対策は「商品やサービスの供給を停めることで、社会的な感染拡大リスクを減らす」という点では、一定の効果が期待できるのかもしれませんが、経済的なダメージも大きいので、長期間に渡って継続することは困難です。

 また、ワクチン接種で先行するイギリスなどでも、ワクチン接種→集団免疫の獲得→ウィルスの根絶を期待することは難しいだろうという見方も広がっており、日本でも、しばらくの間は、感染拡大のリスクを抑えながら、経済活動を維持・継続することが求められることになると思われます。

 これまで、飲食店や店舗の利用体験・顧客体験においては「サービスが良い」「お店の雰囲気が良い」「料理が美味しい」といったことが重視されてきましたが、今後は、「新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための対策が取られているかどうか」ということも、消費者・利用者に選ばれるための重要な要素の1つになるでしょう。

 そういう意味で、いま、私たちは、コロナ対策がUXデザインのニューノーマルになる時代への転換点を迎えているのかもしれません。

 新型コロナウィルスの感染拡大から1年以上が経ったいま、多くの飲食店や店舗・施設では、様々な感染症対策を講じていると思います。ただ、「UXデザインとしてのコロナ対策」を考える場合、適切な感染症対策を実施するだけでなく、そうした対策が取られていることをわかりやすく伝えることも大切です。

 では、コロナ対策が取られていることを伝えるためには、どうすれば良いのでしょうか?

 こちらは東京の方にはおなじみの感染防止徹底宣言ステッカー。

 これは、感染防止に取り組んでいるお店であることを示す一つの方法ではありますが、ステッカーは店頭に貼るものなので、自宅や職場などで、そのお店に行こうかどうかを検討している人には、情報を伝えることができません。

 そこで活用したいのがウェブサイトですね。新型コロナウィルスの感染拡大を受け、Googleマイビジネスや食べログなど、飲食店や店舗情報を紹介するためのサービスでは、営業時間の変更やテイクアウトの可否といった情報に加えて、感染症対策の実施状況も登録・表示できる機能を追加しています。店舗や施設の運営者の方は、ぜひ、こうした機能を活用して、きちんとした感染症対策を行っていることをアピールしましょう。

 ところで、感染防止徹底宣言ステッカーにしても、Googleマイビジネスや食べログにしても、感染症対策に関する情報は、店舗や施設の運営者が記載したものです。このため、利用者からすると、「書かれている感染症対策は本当に実施されているの?」という疑問・不安が残ります。

 もっとも、検温の実施やマスクの着用・アクリル板の設置などは、店に入ってみれば分かることなので、もしウェブサイトに書かれている対策が実施されていない場合には、利用せずに帰ることもできます。一方で、悩ましいのは充分な換気が行われているかどうかの確認です。

 扉や窓を開放しているお店であれば、一定の換気が実現できているとは思われますが、特に開口部が1ヶ所だと、空気の流れが悪く、十分な換気が行われないことも珍しくありません。一方で、焼き鳥屋さん、焼肉屋さんなどでは、常時、強力な換気扇を回しているため、十分な換気ができているものの、それが見た目では伝わりづらいため、利用を敬遠されてしまうこともあるようです。

 そこで弊社が開発・提供しているサービスがseeO2now(シーオーツーナウ)です。

 弊社では、これまでもデータを活用したUXデザインによって、様々な課題の解決に取り組んできましたが、seeO2nowは、IoTセンサーからリアルタイムで収集される室内のCO2濃度のデータを活用し、コロナ下で生まれた感染症対策と集客の両立という新たな課題を解決するためのツールです。

 具体的には、CO2濃度を測定できるIoTセンサーを店舗や施設に設置して頂き、運営者の方が、必要なタイミングで換気を行って頂けるようにするだけでなく、店舗や施設内のCO2濃度をウェブサイト上でも広く公開することで、店舗や施設の利用を検討している人たちにも、安心・安全な室内環境を保つ取組が行われていることをアピールすることで、感染症対策と集客の両立を支援します。

 今般、愛媛県では県下の飲食店や店舗・美容室・クリニックなどを対象に、seeO2nowのセンサー800台分の費用を助成して頂けることが決定しました。

 愛媛県がCO2センサー貸し出し(あいテレビより)

 また、プロ野球・西武ライオンズの本拠地であるメットライフドームでは、球場の感染症対策の一環として、球場内のレストランやショップにseeO2nowのセンサーを設置して頂いています。

 新型コロナウィルスについては、まだまだ先を見通すことが難しい状況ではありますが、感染症対策と経済活動の両立を実現するために、ウェブサイトやIoTなどのデジタル技術の活用も検討されてみてはいかがでしょうか?



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