2022.10.19 | コラム

季節が急速に冬に向かっていると感じる日が増えてきましたが、皆さん、お変わりございませんか?先日、そろそろ衣替えのタイミングかと思い、寝具と衣類の入替をしたところ、その晩は気温が高く、がっかりな結果に。
気象情報を把握することの重要性を実感しました。

コロナをきっかけに変化する人々の欲望

さて、先日久しぶりにOvertureの同僚と食事をする機会がありました。かつては頻繁に、彼女の家に集合し、食べたり飲んだりしていたものの、コロナの影響もあり、パタリと行き来がなくなり、気づいたら3年以上リアルで会っていなかったことに驚きながら再会ディナーがスタートしました。SNSのお互いの投稿を見ていたこともあり、長い間会っていなかったという実感がないものの、リアルでの会話はやはり格別。3年間の空白を一気に埋めてくれました。

多岐に渡るテーマの中の一つが、購入意欲。コロナで思うように行動が取れなかった時期、拠り所はネットしかなく、いろいろと購入したものの、3年経った今、ネットでモノを探し・購入することに限界を感じるというと意見で合意。何かを買いたいという気持ちがない訳ではなく、どちらかというと、何かを買いたい物欲がみなぎっている。そんな中、求めていることは、ただサイトでポチッと購入するのではなく、購入までのプロセスを楽しみたいという欲望。人と会話をし、そこから何か新しいアイディアが生まれる、みたいな購入体験に飢えている。しかし残念ながら、山ほどある通販サイトの中で、そんな購入プロセスを体験させてくれるところはない、という結論になりました。

友人は最近購入した数少ないアイテムの一つが、テレビショッピングのフローリング用モップだそうです。(笑)
通販サイトに比べると、テレビショッピングの方が、購入までのプロセスにワクワク感があったのでしょう。

サービス業から学ぶ顧客との関係

マーケティング業界で知らない人はいない、大柴ひさみさんが定期的に開催しているオンラインイベント「ひさみっと・ダイアログ」。“日本のマーケティングをPivotする”をステートメントに、毎回ゲストスピーカーを招き、ディスカッションをされています。前回、ゲストとして参加されていたのは、スケダチ代表の高広伯彦さん。彼がトークの中で、デジタル上のサービスとフィジカルな対面型サービスや販売との違いについて、非常に分かりやすい例を挙げて説明。その内容が土曜日の朝にも関わらず、私の頭の中にかけめぐり、先日の友人との会話を含め、いろいろな事が一気に整理されていきました。

高広さんがフィジカルな対面型サービスや販売の例として挙げていたのが、ヘアサロン。どんなサービスを提供されるか分からないものに対して、事前に料金が決まっている。そして、サービス受ける側は、カットをするというゴールを達成するために、首を傾けたり、目を閉じたりみたいな協力をすることが求められている。(これは、私の解釈であり、高広さんの言葉を正確に書き起こしたものではありません。)

大切なのは顧客とセッションできているか、ということ

そういえば、私が通っているヘアサロンのスタイリストは、ヘアカットを「セッション」というワードで表現します。そして、毎回2人で「今日もセッションを楽しみましょう!」とカットをスタート。私は、細かな要望は伝えずに、スタイリストの完全にお任せし、そして、協力をする。そこから生まれるカットは毎回異なり、満足度も高い。

このセッションという考え方はフィジカル・デジタルの両方に於いて、人々が求めていることなのだと感じています。そして、サービスの提供側・受け手側の両方がバランスよく楽しめるセッションにすることが大切で、それには双方の協力が必要だとも言えるでしょう。

少し話しが逸れますが、私の回りには、常に自分に合ったヘアサロンを捜し続けている女性が多くいます。その人達の傾向として、スタイリストとの関係が対等ではなく、どちらかというと自分の好みを先に伝え(恐らく必要以上に細かく伝えている)ている。その結果、セッションが上手くいかない、つまりカットが気に入らないというネガティブなスパイラスに陥っているという気がします。

デジタル上のサービスに求められることとは?

このセッションというワードを様々なシーンに適用すると、よい関係、満足度の高さの根本には相手と良いセッションができているか、に尽きることが分かります。そんなの当たり前だと思う方も多いかもしれませんが、自分が良いサービスを受けられないとか、満足できないといった場合は、果たして自分はサービスを提供する側に対して、セッション、つまり、自分も協力できているかと考えると見えるものが変わってくるかもしれません。

さて、では、相手が見えないデジタル上では、サイトを訪れる人達と、どのようにセッションしていったら良いでしょうか?

ヘアサロンのスタイリストのようにサービスの受け手側に協力を求めることが出来ない状況で、フィジカルな対面サービス以上に、サイトを訪れる人達に対して、求めているものを提示、そして時には新たなモノを提案し、気持ちよくチェックアウトをしてもらうためのUI/UXが不可欠だといえるでしょう。また、購入プロセスだけではなく、フィジカルで実施している顧客に合わせた営業活動も重要です。例えば、私を含め、衣服が必要な女性はいないでしょう。すでに、沢山のモノに囲まれ、どちらかというと断捨離をしたいと考えている人の方が多いと思います。一方で、そんな状況でさえ、お気に入りのショップから秋冬物のご案内、みたいな連絡が来ると、とりあえずショップに見に行ってしまうものです。

デジタル上でビジネスを行う企業は、購入した顧客をコンバージョンとしか考えない、また、客単価の計算ばかりをするのではなく、デジタル上に於いても、フィジカル並み、あるいはそれ以上に顧客にセッションを楽しんでもらう、相当な工夫が求められると言えるでしょう。

良いセッション体験で広がる可能性

昨年、海外のお気に入りの通販サイトのセールで夏物を購入。この時期は、夏物のセールがあり、また、秋冬物がスタートするため、アパレルメーカーにとっては多忙な時期になります。通常価格で購入した際は、アメリカから東京まで1週間もかからず商品が到着したものの、セール時期は1週間過ぎても何の音沙汰もなく、気になってブランドのインスタグラムをチェック。「まだ届いていません〜」というフレンドリーリマインダーを送ると、なんと他の複数の顧客から親切な投稿。その内容は、「私の手元にも通常より遅れて届いので、そろそろ到着すると思うわよ」とか、「驚くほど素敵な秋冬を作っている最中だと思うので、もう少し待ちましょうね」といったブランド側に好意的なユーザーからのコメントばかり。これらのコメントに簡単に洗脳され、私もおとなしく待つことにしたという経験があります。

つまり、デジタル上で顧客と良いセッションが生まれると、そこからSNSを通じて、まるで自社のセールスパーソンのように顧客が顧客へセッションをしてくれるという、フィジカルにはない、大きな可能性がデジタルにはある、とも言えます。

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ルグランが昨年ロンチした気象に連動して広告を配信するツール「weathermarketing.net」はお陰様でたくさんの企業・代理店の皆さまにご利用いただいております。これまで複数のイベントに参加しましたが、サービスの説明をさせていただくと、「こんなツールを捜していた!」と喜んでいただけるケースが多く、弊社ツールの営業活動にもセッションが不可欠だと感じています。

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