2022.02.02 | コラム

新型コロナウィルスの感染者数急拡大を受け、政府は「まん延防止等重点措置」の適用地域を34都道府県に拡大するように調整を行っているようです。全国で飲食店の時短営業などが要請されることが予想される中、福岡市博多区内の店では、新たな取り組み“ふんべろ”を始めました。“ふんべろ”とは、1分20円で飲み放題、分単位で自分が飲みたいだけ飲んでベロベロになって帰ってもらうサービスとのことを言うようです。

このお店では再び時短営業が要請されることを見据え、短時間で飲んで帰れるサービスを始めたのです。感染者が増加すると、感染を恐れて飲食店の長時間利用は少なくなると予想されるため、このサービスは利用客側からも喜ばれているようです。

コロナ禍で変化する客の行動に伴い、飲食店の生存戦略も変化しています。飲食店にデリバリーサービスやお弁当、テイクアウトを選択する人が増えている中、周辺の飲食店のテイクアウト料理を事前注文・決済できるスマホアプリ「PICKS」では、待ち時間や決済の手間がなく、お客にもお店にも時間短縮につながるサービスを提供しています。


(PICKS)

従来、テイクアウトが人気な飲食店や調理に時間がかかってしまうような飲食店では、行列で待ち時間ができてしまっていました。しかし、このサービスを導入することで、お客さんをお待たせすることなくスムーズに料理を提供することが可能になり、行列を解消し失っていた販売機会の新たな獲得が期待できます。同社が行ったテスト運用ではユーザーのおおよそ10%が月に4回以上のペースで当サービスを使用することが実証されており、1ユーザーあたり最高8ヶ月で約50回使用されているようです。また、PICKSは初期費用・月額費用・利用料などが一切かからない、飲食店に無料で導入できるサービスです。Uber Eatsなどのフードデリバリーサービスでは、配達のコストから、だいたい35%ほどのサービス手数料が注文ごとにかかってしまいます。今までのフードデリバリーを使用している場合は、手数料を補うため、提供する料理の価格設定を高めるしかありませんでしたが、PICKSではそのままの値段で料理を提供することができるというメリットがあります。お客さんの財布にも、お店の財布にも優しいテイクアウトサービスの需要はこれからも増えていくのではないでしょうか。

一方で、NYではデリバリー専用の「ゴーストレストラン」が注目されており、店舗を持たない飲食店ビジネスの人気が高まっています。日本でもいくつかゴーストレストランが導入されてきていますが、目にしたことがあるでしょうか?私は何度か目にする機会がありましたが、まだ単に店舗を持たない飲食店に過ぎないといった印象を受けました。先行するNYでは、同業他社がお互いのキッチンの貸し借りを行い、協力する、いわゆるゴーストキッチンが見られます。コロナ禍により、多くの飲食店が低い稼働率の中での高い家賃負担に苦しんでいる状況の中、同業他社同士で協力していこうというアメリカらしい斬新な生存戦略です。

マンハッタンにある日本の居酒屋風レストラン「Moonrise Izakaya」では、City Dumplingというゴーストレストランの共同キッチンの申し出を請け、自らのキッチンで他社の餃子を上げているそうです。負担が大きい家賃の一部を分散できるだけでなく、宅配範囲を拡大し売り上げの増加を見込める、有効的に人材を活用できる、食材の無駄を削減できるといったメリットがあります。
さらに、NYではゴーストレストランの需要の増大を受け、ゴーストレストランのスペースのレンタルを行う企業も出てきています。2018年設立のシェアキッチンのスタートアップ企業Zuulでは、2020年7月に900万ドル(約9億4500万円)の資金を調達し、ニューヨーク市内5か所にシェアキッチンを開設しました。Uber創業者トラビス・カラニック氏率いるクラウドキッチンズも、昨年11月にサウジアラビアの公的投資ファンドから4億ドル(約420億円)もの巨額の資金を調達しています。日本でも、追随する企業が増えてくるかもしれません。

このように飲食店でも「サービスのオンライン化」が進んでおり、店舗での感染リスクを減らそうという動きが見えます。弊社では店舗や施設内のCO2濃度を測定するIoTセンサーを使い、適切なタイミングで換気ができるようにすると共に、換気の状況をウェブ上で可視化することで、安心・安全な店舗・施設であることをアピールできるSeeO2nowというサービスを提供しています。

新型コロナウィルスがいつまで続くのか見通しの立たない日々ですが、感染症対策と経済活動の両立にお悩みであれば、是非ご相談ください。



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