ルグランの泉です。
既にご案内している通り、12月12日(火)に、4年ぶり・第3回目となる Weather Marketing Summitを開催します。
そこで今回は、日本で検索連動型広告市場を創り上げた20年来の「同志」でもある高広伯彦さんに、
「コンテクストとマーケティング〜マーケターが ”触れない” ものをどうマーケティングに活かすのか?」
というテーマで基調講演をお願いすることとなりました。
先日、事前の打ち合わせも兼ね、神田にあるベルギー料理のお店で、バケツに山盛りのムール貝をつまみながら、色々とお話をする機会がありました。その時の様子も交えながら、今回、なぜ高広さんにこのようなテーマでお話を頂くのか、その背景について、少し書いてみようと思います。(高広さんが最近凝っているという「ハゼ釣り」の話もとても面白かったのですが、それはまた別の機会に。。)
なぜ気象データ x マーケティングなのか?
ルグランが、なぜ気象データの活用に着目するようになったのか。そのきっかけは、ヨーロッパで個人データやプライバシーの保護に関する新たな規制、いわゆる「GDPR規制」が制定された2016年まで遡ります。
細かい説明は省きますが、インターネット広告の配信先となる対象(オーディエンス)を選定するにあたって広く利用されているのが、ブラウザに蓄積されるCookieを介して収集されるインターネットユーザーの閲覧・行動履歴データです。しかし、GDPR規制がきっかけとなり、いま日本を含む世界各国で、その利用には制限を加える動きが進んでいます。
折しも、人々の状況や興味・関心を無視した不適切な広告が蔓延し、それを不愉快に思う人達が広告をブロックしたり、「広告を見なくて済むよう有料プランに加入する」といった動きが出てくる中、人々の状況や興味・関心を知る貴重な手がかりとなるはずのCookieデータの利用を封じられるという皮肉な結果を招いてしまった訳です。
一方で、寒くなれば暖かいものが欲しくなるし、雨の日は出かけたくなくなるなど、天気は私たちの気持ちや行動に大きな影響を与えることは、経験則を通じて広く理解されています。そして、天気による気持ちや行動の変化は、必ずしも、過去の行動履歴の延長線上で起きるとは限りません。普段はコンビニでサンドイッチとペットボトル入りの冷たいコーヒーを買っている人が、冷え込んだ日には、おでんやホットコーヒーを買うように。
そうした思いからルグランが2017年に開発・提供したのが、お天気に合わせて女性のコーディネートを提案するサービス TNQLでした。
TNQLはこれまでに25万人以上のユーザーにご利用を頂いていますが、コーディネート提案の中に、アパレルブランドの商品も入れてみたところ、コンバージョン率が非常に高くなることが確認されており、この発見をもとに開発したのが、天気に合わせた広告配信ツールweathermarketing.net ® です。
ちなみにIBMは、2016年に気象サービス「ウェザーチャネル」を運営する The Weather Companyを買収し、Watson Advertisingという広告事業の中核に据えていますが、その理由も、「ポストクッキー時代において、気象データは、人々が置かれた状況やニーズ(コンテクスト)の理解を通じて、マーケターと消費者をつなぐ新たな手段になる」というものでした。
コンテクストの理解と気象データ
広告やマーケティング・コミュニケーションにおけるコンテクスト理解の重要性は、Cookie規制の有無に関わらず、全てのマーケターが理解しておくべきことです。
今回登壇頂く高広さんは、2012年に『次世代コミュニケーションプランニング』という本を上梓されていますが、この本では1つの章を割いて「コンテクストプランニング」について詳述されています。
この本の中に、コンテクストとは何か、なぜそれがコミュニケーションにおいて重要なのかを非常にわかりやすく書かれている一節があるので、ご紹介します。
“「ママ」という誰もが知っていて、口にすることがある言葉がある。しかしこの言葉でさえも、コンテクストの違いによって、その意味するところは変わってくる。例えば、兄弟であるふたりが「ママ」という言葉を口にすれば、それは彼らの母親のことを指すが、もしこれが夜の世界にその筋のお店で客とホステスが話をしている中に出てきたとすると、それは店の女主人のことを指す。つまり、「ママ」という言葉は相対的なもので複数の定義を持つが、その定義が共有されるふたり以上の間であれば共通の意味・解釈を行うことができる。こうしたコュニケーションを可能にさせるための背景や状況、またその人々の関係性、共通の知識・体験、ロジックなど、共有された情報のことを「コンテクスト」という。”
今回の講演について、高広さんからは、こんな話も頂きました。
気象そのものは、マーケターはいじれない。同じように、マーケターがいじれないけれど、”活かす”べきものは多数ある。気象情報も含めたコンテクストをマーケティングにどう活かしていくか。
来たるべき2024年のマーケティング戦略に関するヒントを得たい方、なぜ気象データをマーケティングに活用すべきなのか。そんな思いをお持ちのマーケターのみなさん。ぜひ、12/12(火)のWeather Marketing Summitで、高広さんのお話を聞きにいらしてください。
●日付:2023年12月12日(火)
●時間:15:30〜18:00(開場 15:00)
●場所:札の辻スクエア 11階、大ホール(東京都港区芝 5-26-4)
JR 田町駅三田口・都営地下鉄三田駅 A3 出口より徒歩4分
●費用:無料
●主催:株式会社ルグラン
お申込みはこちらから