寒い日が続き、春が待ち遠しいこの頃です。この時期は少しずつ日が長くなり、日差しも春めいてくる一方、北風が強い日があったり、かなり気温差が激しくなります。外出する際は、正確な天気情報を入手することが大切ですね。
「西新宿スマートポールプロジェクト」がスタートしました
さて、ルグランでは、東京都が 5G と先端技術を活用したサービスの都市実装に向けて取り組んでいる「西新宿エリアにおけるスマートポールを活用したプロジェクト」のメンバーとして、昨年 11 月からその日の天気に合わせた広告をデジタルサイネージに配信する仕組み作りを進めてきました。そのプロジェクトが2 月 13 日からいよいよスタート、西新宿エリアに設置されたサイネージ 5 機にアパレルブランドDoCLASSE、グローバルティーカフェチェーンのゴンチャ、サンドイッチチェーンのサブウェイと地元の飲食店2店舗の(手打ちうどんで有名な三国一と居酒屋旅籠)の広告がその日の天気に合わせて掲出されます。
プロジェクトの初日は、雨がしとしと降り気温も低く寒い日。サイネージには、以下のような広告が表示されていました。冷たい雨でダウンが濡れてしまった私は、この広告を見て、暖かいドリンクを飲みながら、やはりもう一枚、暖かなパンツを買っておこうと思いました。手前味噌ではありますが、気象連動型サイネージの効果を実感した次第です。笑
気象連動型サイネージの魅力とは?
天気が掲載されているサイネージはよくありますが、殆どの場合、東京のその日のまとめ天気や降水確率が表示されているだけ。天気情報を求めている人は、この先の自分の身に起きることは何かを知りたい訳ですから、これから1時間先のこの地域の天気といった、より詳細な情報でないと意味がありません。
さて、海外では、気象連動型サイネージを活用した、なるほどと思うケーススタディが多数あります。例えば、カナダのシューズブランド SOREL(ソレル)は秋冬のコレクションのプロモーションとして、天候だけでなく時間帯によってコンテンツを出し分けるという気象連動型キャンペーンをイギリスで実施。サイネージには天気に合わせてソレルの様々なウォーキングブーツを紹介されました。乾燥や雨、気温等、予め設定された気象条件に合わせて、異なるブーツが表示され、さらに、それぞれの商品をその時間に合わせて撮影、昼間と夕方で内容が切り替わるような仕組みにしたそうです。
SOREL側はこのプロモーションについて、人々に対して自社のコレクションの中から最適なスタイルを最適なタイミングで提案することができ、また、自分達のメッセージが、どんな時でも人々の考え方や環境に寄り添った内容である、ということを伝えることができたと、コメント。
人々のニーズに寄り添った広告を配信することで、人々の課題の解決につながる有益な情報を発信するブランドとして、その存在感を高めることにも繋がると伝えてきている私としては、SORELのコメントに深く頷いています。w
成長を続けるデジタルサイネージ市場
海外では、デジタルサイネージの市場は今後大きく伸びることが予測されています。また、日本に於いても2025年に3,186億円*まで成長、このうち約2,200億円はコンテンツや広告の制作・配信システムの成長によるものと予測されています。一方で、今、街のあちらこちらに設置されているサイネージを見ると、その成長の実現性に疑問を感じてしまいます。
弊社オフィスがある南青山近辺には、都内でも大がかりなサイネージが多く設置されている地域ではないかと思われます。246沿いのバス停には外資系サイネージ会社のサイネージが設置されていますが、高級ブランドやコスメの宣伝が中心で、しかも、かなり長期にわたり同じ広告が掲出されているのを見ると、バスを利用するユーザー(比較的高齢の方が多い)のニーズに合っているのかどうか疑問に感じてしまいます。
海外ではデジタルサイネージの活用がかなり進んでいます。サンフランシスコの大規模なショッピングモールには、5年以上前から、その日の天気や、郊外へ向かう電車のスケジュールの最新情報が表示されています。人々にはサイネージには目を向けるに値するコンテンツがあるという認識があり、その延長線上に広告があるという流れが創れていることが、市場の成長の理由の1つではないでしょうか?
人に役立つサイネージにするためには
コロナで外出が制限されていたこれまでの3年間と比較して、Weekdayでも青山近辺は沢山の人達で賑わっています。海外のサイネージ市場もコロナの影響で一時期成長が鈍化したと言われていますが、多くの人たちが外出する夏にかけて、サイネージ市場の盛り上がりが期待されています。
日本に於いてはどうでしょうか?
先日、都内に多数ある商業施設をもつ企業から気象連動型サイネージに関するお問い合わせがありました。多数あるサイネージを施設に出店している店舗と訪れるお客さまのための両方にとって有効なツールにする方法を模索したいとのこと。お話を聞くと、商業施設を訪れるお客さまのタイプはその街毎に異なり、それにより、ライフスタイルやニーズが違うため、それぞれのユーザーに合ったコンテンツの掲出となると、どうしていいのか分からないとのこと。
こういったケースでは、当たり障りのない一般的な情報を掲出する、というになってしまうでしょう。
一方で、気象連動型サイネージを利用すると、朝通勤する人達には、その日の天気に合わせたモーニングのメニューとそれを提供する店舗を紹介、昼にはゆっくりランチやショッピングをしたいと考える人達へその日の天気に合ったアイテムやランチメニューを、そして夕方からはその夜の気温に合わせたレシピと材料を購入ができるお店へ誘導する、みたいなことが簡単にできるようになるのです。そんなサイネージがあったら、どうですかね?サイネージの前を通る度に、どんなコンテンツが掲出されているのか気になって、見る習慣がつきそうですよね?
デジタルサイネージ市場の成長には、人々の役に立つコンテンツ創りが鍵になると言えるかもしれません。